読書案内:火星の人類学者

脳のわずかな障害と思われることが原因となり、大きく特殊化した行動や感覚に適応していくプロセスについて、事例を追う本です。

の七人の話が中心となっています。

脳の変化により再統合された新しい自我、新しい自分。その存在を異常ではなくある意味で「当然のもの」とし把握できるようになると、人間の可塑性や可能性について理解し、より広い視野で人間を見ることができると思います。

なお題名は自閉症(アスペルガー症候群)から科学者・工学者への道を歩んだ女性の言葉から取られています。自分が火星人の人類学者のように、人間の行動を分析し理解することで社会での活動を予測でき上手くいくようにしたのだ、ということです。我々、感覚だけに頼ってますが、それだけの努力を払って他人を理解しようとできているのか、誤解でなく理解しているのか、などと感じました。

書誌情報
ハヤカワ文庫NF『火星の人類学者』著:オリヴァー・サックス/訳:吉田利子 文庫判409ページ ISBN:4-15-050251-X 発行年月:2001.4 本体価格: \800
語り部日報掲載日
2001/08/10
文責
sfこと古谷俊一
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