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17〜18世紀にイギリスで繁栄した、非アルコール飲料を提供する社交の場、コーヒー・ハウスについてその歴史と意義を解説した読みやすい本です。
昔の郵便ってのは戸別配送でなくて局留で、コーヒーハウス宛に留めておくのも多かったとか。新聞がいかにして誕生したか、保険組合ロイズがどのようにできたか、などもあります。今はあたりまえになってしまっているものの来歴を知ることは、楽しいものですね。
新聞や雑誌が誕生し泡沫のごとくあらわれ消えていくプロセスは、今のメールマガジンを思わせます。
そのせいか全体としての印象は、コーヒー・ハウスは17〜18世紀におけるインターネットであったのだなということ。
雑多な人間が交流し、悪所として排斥されつつも商売と交友の場として人々の支持を得て、思想や団体、新商売を産み出す拠点というやつです。
効能確実と書かれた薬が売られ、根も葉もない噂話に興じ、あまり影響力のない政治談義に熱を入れ、誇大広告やケレンばかりが流行し、口ばかりの新ビジネスを売り込む人間が横行、コミュニティはちょっとしたことで集散統廃し、流言蜚語をばらまき操作しようという輩も居る。などと、あやしげなところも今のインターネットとまったく変わりありません。
なにせバブル経済という言葉は本来この時代の一時期を指した言葉ですし。
多様な人間が集まる場が階級や団体別へと分化し閉鎖的になっていったクラブのように、インターネットも固定的集団に囲い込まれて分断されていくのだろうか。いや、既にそうなっているのか。などと考えなくもない今日このごろです。