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発掘・伝来している古代中国の書物や銘文を、天文学などと照らし合わせて 年代を検討し。その過程で採用した仮説から「後の史書では覆い隠されている 殷周時代の世界認識や制度」を提示した本です。
繰り返して同じことをぐるぐると書いている部分があるとか、他の説の支持 者への私信めいた挑戦のようなものが新書としては多すぎるなどはありますが、 提案されている論は面白いものだと思います。
他の説とどちらが正しそうなのかなどは良くわかりませんが。文字を呪術の 道具として用い、権威を作り上げていた古代社会という概念は魅力的です。
文字を記録の道具として理解し多用している現代人、特に識字率が高い時期 の長い日本人にとっては理解しにくいことではありますが。文字の呪術性は長 い間、世界中で存在したものですし。そのあたりの違和感や概念の違いを理解 して歴史を考えるというのは、たいへん楽しいですよね。 $$