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人が何をなぜかわいらしいと感じるのか、どのようなものを普遍的に美しいと感じるか、美の感覚とはどのように進化してきたものなのか。認知科学や進化心理学、文化人類学などの知見をもとに解説した本です。
草思社らしい内容をショッキングに提示して読みたくさせる題名の本です。内容にもきっちりあってますが。原題は『 SURVIVAL OF THE PRETTIEST TheScience of Beauty』で、 「可愛いものほど生き延びる 美の科学」といったところですか。survival of the fittest が適者生存なので、それにひっかけてるんでしょうね。
基本的な主張は、健康で子孫を残しやすい形質を美しいと認識するように進化してきたということ。
ただし、これを読んで「進化によって決定された美を絶対のものと考える」本だと読んだら誤読ですね。進化的に得られた美の認識はあくまで基層ですから。そのうえでの学習された人間の価値感や文化についても目配りされています。進化的に体得された美の認識とは別の移ろいゆく存在としての流行ファッションについての章などが典型ですが、全体にもありますね。
なお、美の認識についての共通部分が何なのか、文化によりちがう部分がどのあたりなのかについては、架空世界を構築するうえで有用だと思います。