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かつてのソ連のスパイたちが、世界の都市で活動をしていた経験を交えて、都市と国家の紹介をエピソードで語る本です。登場するのは、ロンドン、ベルリン、ワシントン、バンコク、パリ、カイロ、ニューヨーク、東京、リオ・デ・ジャネイロ、ローマの十都市。
駐在年代はぼかされているものの、問題が起きない程度に過去であるようです。かつて首都高ができたころには、ちゃんと機能して交通状態が良くなったもんなんですねえ。
読みやすい文章で、ユーモラスな逸話が各ページにたっぷり詰まっています。密度はたいへん濃いうえにページ数もたくさんあります。
たとえば東京編には。あるカクテルセミナーで、ウェイトレスが敬意を払っていた肩書きのない名刺をくれた謎の人物の正体をあれこれ調べたり憶測したりして脅えた話なんかがありまして。正体は寿司屋の主人だったんですが、それがわかるまで大騒動。なんせ寿司屋の二街区先に公安調査庁東京支所があったということで……。これで一ページ半のネタなんですね。こういう楽しいエピソードが、各都市の名所や習慣とともにたくさん詰まっているわけです。
近代から近未来の地球を舞台にしたスパイものやアクションものの参考にもできるかと思います。むろん読むだけでもたいへん楽しいので、たいへんおすすめです。