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文献をもとに忍者の実像と事績を雑学的に解説したものです。後半は、忍者に関りがある呪術や芸事の話が、忍者への影響を絡めて語られています。日本武道館の月刊誌『武道』に連載された内容で、毎日新聞社より単行本化されたものが文庫落ちしたものです。
題名から想像されるような伝承上・創作上の忍術のようなものについての本ではありません。現実の忍者のありかたを解説しています。工兵として、スパイとして、ゲリラ戦の専門家としての忍者、ですね。世界のどの社会でも現実的な戦いに必要とされた専門家という感じです。
芸事関係などの記載や考察は甘いので、『大江戸奇術考』などと照らし合わせると、より面白いものが見えてくると思います。
都市によらない盗賊・義賊のあり方などの参考になりますね。命令を受けて任務のために盗みの技術を用いるのが行うのが忍者、自らの欲のために用いるのが盗賊。という理念もありますし。