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ロールプレイングの概念、進行方法、注意点、そしてシナリオの作りかたと、詳細な資料を含めたサンプルシナリオが二本ついた、書籍です。第一章はフルカラー、それ以外も二色刷りで読みやすくしあがっています。
……嘘ではありません。ただし、これは遊戯としてのロールプレイングをあつかったものではなく、訓練としての防災用のロールプレイング訓練についての書籍です。
ロールプレイング(この本ではロールプレーイングと表記されていますが)とは、役割演技法などとも呼ばれる訓練の手法です。地震や水害などの自然災害の発生時の対処や組織運営を行ない、問題点の摘出や実践的な行動の勘所をつかむために行われるものについて、実際の運用例やシナリオ・運用の手順や方針などをまとめてあります。
軍の図上演習……つまりウォーゲーミングが元になっているあたりや、コントローラーと呼ばれる多人数型のゲームマスターの存在、状況提示とそれにたいするプレイヤーの行動の宣言を人間が解釈して状況に反映する、などの特性からも分かりますように。TRPGの兄貴分ですね。
全体の構成が分かりにくいので、通読して理解したり、マニュアル的に利用するのにはあまり向いていないようです。派手な色づかいですが、写真週刊誌風で、見栄えはするけど検索性や構成には難があるといったところ。
用語としてカタカナ語などをあまり利用せず、日本語を用いた表現を行っているあたりは、一般向けのTRPGのルールブックや紹介を考えるうえでの参考になりそうです。
また、シナリオとは初期状況や時間の推移にともなう組織・状況の変化を提供する、膨大なデータであるというあたりは。ゲーミングの元来のシナリオとはどのようなものなのかについて色々と示唆してくれます。
発行元:災害危機管理研究会/発売元:毎日新聞社 『ロールプレーイングマニュアルBOOK 災害時の危機管理訓練』災害危機管理研究会編 ISBN4-620-90589-5 本体価格1200円 A4判136ページ 2001年05月発売