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主にフランスの資料を元にして、西欧の中世後期のパンの材料・製法・販売方法・価格、パン屋に関する法令・組織・都市における位置づけなどを解説た本です。
パンが主食であり、その提供が保証される必要のある社会というものは、我々のように家庭で料理しやすい米食の文化圏には実感しにくいものもあり、興味深いですね。パンは調理後の食品であるという性質から来る、統制価格で穀物の供給量や価格の変化に応じて「分量を減らす」という政策とか、法定通りの重量やないようであるか確認する制作テストなど、言われてみれば合理的です。
全体として体系的に整理されているわけではないものの、データも豊富で文章も比較的読みやすくなっています。用語や概念について順序良く解説されているわけではなく全体に散らばっているため、一度通読してから再読すると細部が理解しやすくなるでしょう。