読書案内:ヨーロッパ中世社会史事典

中世の社会についてのテーマ別辞典。154項目からなり、それぞれの項目について、2ページ程度の良くまとまった文章で解説がなされています。基本的にフランスのアナール学派の研究を中心としているためか、フランス・イギリス・イタリア中心に西ヨーロッパについて書かれているようです。

翻訳は正直なところ良くはありません。あまりに直訳風であり日本語としてこなれていないだけでなく、文章の捻じれなどもあり、かなり読みづらくなっています。専門家なだけに正確さはあるんだと思いますが。

中世ヨーロッパに対するイメージをくつがえし、生活と社会を理解するための情報が大量に盛り込まれていまして。一項目一項目に、多数の発見があります。

中世とは農業革命の時代であり、それがゆえの過剰による荒廃と飢饉があったこと。大規模な魔女狩りは中世ではなくルネサンス以降のものであること。などなど、興味深いことが盛り沢山です。村落部についての情報もきちんとありますし、城砦の一般様式なんかも興味深いところです。

中世西洋の人々の社会生活について知りたいというひとには、お薦めできますね。高いけど。

書誌情報
藤原書店『ヨーロッパ中世社会史事典』著:A.ジェラール/訳:池田健二 ISBN4-89434-182-4 本体価格6000円 A5判367ページ 2000年06月発売
語り部日報掲載日
2001/04/13
文責
sfこと古谷俊一
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