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妖精についての概説的な入門事項を要領良くまとめた一冊。コンパクトな妖精小辞典もなかなか便利ですし、妖精絵画のカラー・モノクロ図版も大量に掲載されており、それだけでも価値があると思います。
近現代の諸作品……とくにシェイクスピアによりもたらされた妖精観の変化が現代の妖精像に与えた大きな影響、なども含めた妖精観の移り変わりが興味深く感じられました。娯楽作品とはあれだけ大胆な再解釈をやっていいものなのだと思うと、たいへん勇気がでます。伝承では○○だ、慣例的にはその用語がさすものは別のものだ……とかいった主張がむなしく思えてしまうほどです。
全体として、妖精とはケルトにおける妖怪である……という印象を強く受けましたが、日本の妖怪もまだまだ料理のしかたはありそうですね。