TRPG.NET > 書籍情報 > 読書案内 > 1999年 > 01月 >
変な本です。現実と平行して存在し、分析を拒否する植物体系……ってのを博物学的に書くというやつでして、まあ鼻行類とにたような種類の本ということになりますね。
作者は絵本作家として有名だそうで、著書の一つとしてあがっている『あかくん きいろちゃん』なる書名には聞き覚えがあるようなきがします。
現実と並行して存在し、現実世界に依存しない、認識の結晶としての植物って感じの説明がされていまして。そのあたりを多数の引用文献、執拗なまでに数量・年月を記載するところ、命名法などで、学術書風というか、学会誌にある研究史のサマリーのような雰囲気で書き綴ってあるところがいい感じです。挿話としてはいっている架空植物にまつわる架空の説話の再録というやつも、壮大過ぎずいかにも民族学的に収載された神話っぽくできています。現実世界に架空の存在体系を組み込むなら、これくらいにそれらしく書けていると良いんだろうなぁ。
架空植物に植物らしさというものを付与する上での参考に買ったのですが、なんとなく奈良出身で大阪大学所属の平行植物学者の上高地清正とか、出したくなってしまいます。