TRPG.NET > 書籍情報 > 読書案内 > 1998年 > 09月 >
題名に引かれて購入したものです。正直なところ、あまり読みやすい翻訳文とは言いがたいのですが、内容はけっこう興味深いですね。
二つのあまりにも異なった概念を持つ言葉を結びつけることによって派生する異化効果を利用する、ファンタジーの二項式とロダーリの呼んでいる技法についてを中心とした、ファンタジー制作のための発想法についてが内容の半分を占めています。残り半分はファンタジー(創造的想像力)の教育における効果についての話と子供たち相手の実践の話です。
ファンタジーの二項式とは、たとえば、ガラス瓶と山、で、山の中のガラス瓶、ガラス瓶でできている山、ガラス瓶のなる樹のはえている山、ガラス瓶に入った山、などなどと発想していって、その違和感のようなものから、物語を広げていくと言うような発想法のことです。TRPGでは有名な事例としては、サイバーパンクとファンタジーRPGをくっつけることにより面白い世界を創出したシャドウランなどが、異化効果を生かした設定の一種だと思います。
なお、この本の教育的側面についてのはなしも、創造的な遊びとしてのTRPGを考える上で、そのつもりで読んでいると示唆的な部分が多々あります。論理的思考や技術による即興性の支援とか。
そうそう、なぞなぞを組み立てるための方法論なんかにも触れていますから、最近はあまり使われていない要素ではありますが、リドルを作りたい人にも役にたつでしょう。