読書案内:都市型住宅の文化史

古代ローマの複合高層建築物であるインスラを中心として、中世フランス・中世ドイツ・近世イギリスなどの集合住宅の構造と思想について述べたものです。

貴族・豪商の館といえば、庭つき一戸建の建物を想像してしまいがちですよね。しかし実際にはラテン系の都市文化においては、富めるものの屋敷と貧困なものの住宅とがひとつの建物として成立していることが、ローマ時代よりありきたりのことであったのだそうです。

五・六階建の粗悪な集合住宅が立ち並び、夜中には高層建築の崩れる音がうるさい……というような恐るべきローマの市街。道を歩いているさいに建物が倒れてくる可能性を考慮する必要があるというのは、なかなか素敵なシチェーションを産んでくれそうですね。

フランスの町屋の構造や、ドイツの商館の構造などもあり、TRPGで建物を出すための基本的な参考になります。

巻末には古代ローマの発掘された各種市街と一般建造物の簡単な地図などがありまして、マップ書きにも便利であります。そもそも、最初にこの本を買ったのは、地図が目当てにだったりしました。

書誌情報
NHKブックス『都市型住宅の文化史 石の文化と木の文化』後藤久 750円 ISBN4-14-001497-0 1986年03月発売
語り部日報掲載日
1998/09/10
文責
sfこと古谷俊一
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