読書案内:空想刑事読本

テレビドラマの刑事たちの画面上の行動や統計的事実を分析し、実際の警察の行動と対比してつじつまがあうように再解釈していくというものです。どっちかというと好意的に解釈しているために、いろいろと面白いですね。楽しく刑事捜査について学ぶことができるかと思います。

べつにドラマ同様に簡略化して都合の良いように調整したり都合の悪い部分は無視したり、活劇のカタルシスのために実際の制約を無視するのもおもしろいわけではありますが。警察の強力な権力とそれを行使するための厳しい制約は、ゲームを組み立てる上で極めて興味深い道具立てになりえます。

鑑識の結果を待ちつつ聞き取り調査や遺留品の来歴調査などを行って証拠固めを行う。本部からの刑事の下働きをしつつ――もしくは本部からやってきて所轄署の刑事を手足としてつかいつつ――他の班と競争する。所轄署の刑事ならば他の所轄署とのなわばりには気をつけて行動し、余所のなわばりならまずは仁義を切ってからでないといかん。ほぼ犯人であるという証拠が得られれば逮捕状を請求し……あるいは確実かが不明確なら任意同行を求めて問いただす。そして最後には検察と交渉しつつ起訴に持ち込む……というセッションは、なかなかに面白そうです。

書誌情報
ぶんか社『空想刑事読本』斎藤直隆 ISBN4-8211-0609-4 本体価格1200円
語り部日報掲載日
1998/09/07
文責
sfこと古谷俊一
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