読書案内:西遊記の神話学

西遊記の物語構造や登場人物のもつ機能を分析し、各種の神話との比較を行うことで、西遊記のもつ神話性を分析しています。

他神話との類似性の分析には牽強付会に思える部分がけっこうあったりしますけど、パターンの分析や役割の分析あたりはシナリオを考える上でも役に立 つとおもいます。

流浪の貴人が最高神に委託された女神(変身して手助けをする)の庇護のもと苦難を乗り越えて目的地を目指す……というパターンは、キャンペーンの主軸としてつかってみると……NPCによる補佐をしつつ絶対的な目的に向けて旅する……ものとなりますか。けっこう楽しいだろうな。

あとはまあ、三機能(統治・武力・生産)による登場人物分析とか、孫悟空のトリックスター性とかいったものは、キャラクターのひな型とか役割分担を考える上での参考になります。

変ったところでは、猪八戒の分析に出てくる猪・豚に仮託される神話的イメージの話題なんかは、猪のシャーマンなりをやるときに役にたつかな。水中(神話では空中も……)を高速で移動し興奮すれば強力な殺戮者でもある猪、犠牲獣としての豚。この手の神話的イメージをおもいつつ、オークを考えてみると、けっこう面白いかも知れんなぁ……。

書誌情報
中公新書1418『『西遊記』の神話学 孫悟空の謎』入谷仙介 ISBN4-12-101418-9 本体価格700円
語り部日報掲載日
1998/07/12
文責
sfこと古谷俊一
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