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尾張藩の朝日文左衛門重章なる藩士が、18才から26年間書きつづけた日記をもとにして、当時の世相を描き出そう、という本です。時期的には1991年から1717年、元禄の好景気とその崩壊の時期に相当します。
この文左衛門なる人物ゴシップ好きの男だったようで、当時の噂や事件を克明に記録しています。また遊びのすきな男で、月に三度の仕事を片付ければ暇なためもあって、芝居見物やら釣りやら女遊びやらと、これまた遊び歩いては日記に書き残していたのだそうで。
江戸の風俗などについては比較的書物も多いのですが、それ以外の都市についてはあまり情報がありませんよね。当時の地方都市の下級武士が、いかに軟弱で、仕事をサボリ、ひまだらけで、接待三昧であったか……そしてどれだけ妻の尻に敷かれていたのかを、日記を引用しつつ軽妙に解説してありまして、この本はなかなかの拾い物でした。
ゲーム上は、当時の日常的な描写の参考にするだけでなく、事件の実例を拾い出して(紹介されているだけでも何十件もありますから)シナリオの元ネタにする……といったことができるでしょう。時代劇ふうのものには特に役にたつでしょうけど、異世界ファンタジーに翻案しても問題ないようなネタもありますし、接待でうはうはいってるさまやら離婚騒動やらを見てますと、現代日本に翻案しても問題ないようにも思われます。