Last Update:2001/6/13


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今週のPickUp 第21回  Xenoscape.net

かわの

 「輪廻戦記ゼノスケープ」(以下、ゼノスケープ)というゲームをご存知だろうか?2001年3月に生まれたばかりのシステムだ。どのようなゲームかということを説明するには、とらえどころ(もしくは「コレだ!」というウリ)がなく、なかなかに大変なのだが、我々の日常生活を脅かす「光の使徒」と呼ばれるさまざまな秘密結社と、それに対抗するPCのストーリーととらえてもらってかまわないだろう。ベースは現代日本なのだが、敵方も味方も転生を繰り返し、常に歴史に干渉する「覚醒者」というのが、タイトルに「輪廻」とついている謂われだろう。

 さて、そんな秘密結社の中に「ゼノスケープネットワーク(通称Xネット)」という結社がある。光の使徒の情報を集め、秘密の暴露を行う結社なのだが、さまざまな妨害や危険から身を守るために、今ではとあるTRPGの広報サイトという形態をとっている、という設定だ。いうまでもなく、このXネットと今回紹介する「Xenoscape.net」は、関連があるのだろう。しかし、この2つは決して同じモノではない。

 「Xネットの情報は完全に信用できるわけではない。」この文言は、ルールブックに記述されたXネットの解説文である。いわく、光の使徒による情報操作の可能性が捨てきれないからだ。さて、「Xenoscape.net」の管理人は、海法紀光と名乗る人物である。このゼノスケープや、魔獣の絆といったシステムの製作者の1人と同姓同名だ。

 筆者は、個人的に製作者の海法氏にお会いしたことがある。もちろん、彼が本当に海法氏であるかどうかなど、彼の自己紹介を信じる以外に確かめようがない。この海法氏の言を信じれば、「Xenoscape.net」の管理人も彼である。もっとも、同時に彼は、それさえも「本当のことかどうか誰にもわからないけどね」と笑いながら付け加えていたが。

 Xネットと「Xenoscape.net」の関係は、インターネットというデジタル情報の海を使った面白い試みである。おそらく、「Xenoscape.net」は、ゼノスケープの公式サイトと言ってかまわないのだろう。しかし、提供される情報のうち、信じられる情報は、自分の判断に大きく依存しているのだ。ましては、複製や書き換えが容易なデジタルな情報だ。こっそりと書き換えられていたとしても、誰も書き換えられたことに確証を持てないし、そもそも公開当初から、「Xenoscape.net」の全てがレプリカであり、本物は別の場所にひっそりと存在しているのかもしれない。この「存在の危うさ」が、ゼノスケープのつかみ所のなさとリンクして面白いのだ。

 ひょっとしたら、ゼノスケープの製作者達は、Jay David Bolterの著作「Writing Space」を知っているのかもしれない。電子メディアを使った茶目っ気たっぷりないたずらだ。彼の著作の電子テキスト版には、次のような文字が躍る(抜粋)。

「このテキストを、電子的メディアのうちに保存しておく限りにおいては、あなたは気に入るようにテキストを書き換えたり、その書き換えを他人に渡してもかまいません」

「このテキストのいかなる箇所も、原著者以外の誰かによって書き換えられているかもしれない、ということを心に留めておいてほしい」

「このことは当然、この警告自体にも当てはまることです。」

「もしかしたら、原著者は、次のような伝統的な著作権表示をしていたかもしれません」

「Writing Space (c) 1990 Jay David Bolter
本書は著作権上の保護を受けています。このテキストのいかなる部分も、著者の許諾を得ずに、電子的機械的に複写複製することは禁じられています」

 最後に、「結局サイトの説明がないじゃないか」といぶかしむ貴方、このコラムだって、書き換えられたのかもしれませんよ。電子の海には、きっと魔物が潜んでいますから。

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