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Date: Sun, 17 May 1998 22:38:15 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 9860] HA06:EP:「闇ぬい誕生秘話」
Sender: owner-KATARIBE@teleway.ne.jp
To: KATARIBE@teleway.ne.jp
Message-Id: <9805171338.AA01293@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
In-Reply-To: <355AFA41348.9A32HANZAWA@mailhost.din.or.jp>
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こんにちは、いー・あーるです。
皆さん、こんにちは。
この前、一行掲示板に、「闇ぬい」なるものが出現致しました。
……さて、その誕生秘話、とは(おい)
#いー・あーるは、正気です。
#但し、正気とまともとは食い違うものでもあります(居直るな)
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EP 「闇ぬい誕生秘話」
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某日、春雷の轟く夜。
SE :ごろごろ……
雨は、まだ降らない。
その季節にしては、妙に生ぬるい風が吹いている。
SE :ぴかっ
街の片隅に放り出してある、屑布でいっぱいの箱が、稲光に浮かび上がる。
いつのまにか一杯溜まった、布の切れっぱし。
小さすぎて、型紙が置けないもの。
布の端っこで、機織りの際に穴が開き、使えない部分。
大きさが規定に合わない為、捨てられた目のボタン。
恐らく、ぬいぐるみの工場からのゴミだろう。
明日になれば、全てまとめて、焼却炉の中に放り込まれるのだろう。
くやしい、と、小さな声が呟いた。
:「くやしい」
:「ほんとうは、くまさんになるはずだったの」
:「りすのしっぽ」
:「ねこの金の目だったのに」
:「切り捨てられて」
SE :ごろごろごろ……どどーん(遠雷)
くやしい、と、また、小さな声が呟いた。
:「みんなとあそびたかったの」
:「その為に、織られたの」
:「なのに端っこは伸びちゃうからって、切られたの」
:「毛並み、間違えたから、捨てるって……」
くやしい、と、呟く声は、だんだんと低く、間延びしてゆく。
:「あそびたいのにあそべない」
:「まもりたいのにまもれない」
:「泣きたいのに泣く目もない」
ごろごろ、と、雷の音が近づいてくる。
:「欲しいの」
:「だから、頑張るの」
:「あそべないなら、あそばさないの」
:「まもれないなら、こわすの」
何がきっかけだったのか。
何がそうさせたのか。
SE :がらがら……ぴっしゃあんっ☆
耳をつんざくような、雷の音と、稲光。
それが、一瞬にして掻き消えた、その後に。
闇の中に、蠢く影が残った。
SE :もこ……もこもこもこ☆
様々な色の布が、ざくざくの縫い目でつぎはぎされている手足。
右目は少しひびの入った黒の硝子、左目は形が少々いびつなアンバー。
目つきの悪い、それは、巨大なくまぬいである。
あくまで「くまぬい」であって、間違っても「テディ・ベア」ではない。
先程まで布でいっぱいだった箱は、いつのまにか、空になっている。
SE :ごろごろごろ……
雷に照らされて浮かび上がる、どーもいびつな輪郭。
目つきの悪いくまぬいは、指の無い手をぐっと握り締めた。
この体に残る、怨念と無念。
それを、むげに出来ようものか。
ぬい :「……ゆくぞ」
ぐっと握り締めた手の先から、綿が少々こぼれたが、そんな事は気にしない。
ぬい :「……するぞ」
SE :ぴかっ☆
ぬい :「わるいこと、するぞーーーっ!」
SE :がらがらどっしゃーんっ
そう、ここに。
恐るべきぬいが誕生したのである。
闇ぬい、と、後に名づけられる、それはぬいであった……
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…………………。
……何書いてんだろ、いー・あーるって……
はあ(脱力)
で、これが、恐らく、通り掛かりのとらっくに乗り継ぎして
松蔭堂に行くんだろうな……
がんばれよー、やみぬい(をい)
でわっ
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『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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