[KATARIBE 9748] HA06:EP:「守護ぬい誕生」

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Date: Wed, 06 May 1998 09:41:18 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 9748] HA06:EP:「守護ぬい誕生」
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              こんにちは、いー・あーるです。
            皆さん、こんにちは。

これだけ、時間を費やしている対象を、
書かないのは勿体無いじゃあないか、ということで。

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EP 「守護ぬい誕生」
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     これが、あなたを護りますように。
     ……どういう形でかは、わからないけれど。

1。発生初期
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  発現は、やはり、一番近しいひとびとからおこる。

  譲羽     :「……ぢい(退屈だよう……)」

  それは某日、花澄の部屋で。
  いつもならば花澄の留守中、松蔭堂に遊びに行くところなのだが、
  今日に限ってはそれが出来ない。

  花澄     :『ごめんねゆず、今日、私の友達から電話があると思うの。そしたら
           :瑞鶴の電話番号教えてあげてくれる?』

  念願の、お手伝いである。
  しかし、故に、遊びに行けない。

  譲羽     :「ぢい……(溜息)」

  お手伝いとは……退屈なものである、と、実感する譲羽であった。

  部屋は、しいんとしている。
  カーテンを通して入ってくる光も、何だか柔らかくて、何だか淋しくて。

  譲羽     :「……(みゅう……)」

  ぽてころん。
  腕に羊のぬいを抱っこしたまま、譲羽はころんと横になり、クマのぬいの
  おなかに頭を埋める。

  ふくふくの手触り。
  カーテン越しの光に、ほんのりと暖まって。
  その暖かみが……なお淋しくて。

  譲羽     :「……(みゅう………)」

  涙こそ出ないものの、半泣きの顔になったところで。
  ぽふ、と、何かが少女の頭に乗っかった。

  譲羽     :「……?」
  ?       :「泣かない、ね」

  もこっとした、低い声。
  頭を撫ぜる、ふかふかした手。

  ?       :「ゆずちゃんは、いい子だものね」
  譲羽     :「ぢ?」

  頭を上げる。
  と、じっと見下ろしているまあるいクマの目と視線がぶつかった。

  クマぬい :「もうすぐ、電話が来るからね」
  譲羽     :「ぢ(うん)」
  クマぬい :「そうしたら、起こしてあげようね」
  譲羽     :「ぢい(うん)」

  赤い服の、サンタの格好のクマぬい。
  日の光の匂いが、ほんのりとして。

  まあるくなって、まあるく、まある…………

  SE     :じりりん☆
  クマぬい :「ゆずちゃん、おでんわだよ」
  譲羽     :「ぢいっ(あせあせ)」

  手近に降ろしてあった受話器を掴んで持ち上げる……前に。

  譲羽     :「ぢい(くまさん、ありがとね)」

  クマぬいは、それには何も答えなかった。


  発生初期、其の二
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  そしてまた、護る、という言葉の意味は広い。

  某日、FLOWER SHOP Miko。

  花澄     :「こんにちは」
  尊       :「いらっしゃい…って、花澄さん(にこ)今日は…」
  花澄     :「ゆずからお花が欲しいってせがまれて(苦笑)尊さんの
           :お勧めの花ってあります?」

  小さな花束を作りながら、ふと、思い出したように尊が首を傾げた。

  尊       :「そういえば…花澄さん」
  花澄     :「はい?」
  尊       :「ぬいって……動きます?(結構真剣)」
  花澄     :「……え?」

  小首を傾げて見やると、尊は困ったように微笑んだ。

  尊       :「あの、花澄さんから貰った守之助、なんですけど……
           :いつもは本棚に置いてあるんです」
  花澄     :「はあ」
  尊       :「で…何の時だったか…置く時に、『この棚の本、護ってね』って
           :言ったんです」
  花澄     :「ええ」
  尊       :「そしたらこの前、本棚片付けてたら、手が滑って、
           :文庫本を数冊落としたんですけど……その下に、いつのまにか
           :守之助がいたんです」
  花澄     :「は?」

  いまいち、話が飲み込めない。

  尊       :「片付けていたのは三段目。邪魔になるから、と思って守之助は
           :ベッドの上に乗っけてたんですけど……だからどう考えても
           :守之助が本の下敷きになるわけがないんですけど」
  花澄     :「でも、落ちた本の下に……」
  尊       :「文庫本三冊、しっかりおなかで受け止める格好で……
           :まるで、本を護ってくれたみたいに」

  それは、一体どういうことなのか。

  花澄     :「……どういうことなんでしょうねえ(苦笑)……」
  尊       :「花澄さんにも、わからない?」
  花澄     :「はあ(苦笑)」

  頷きながら、花澄はふと、首を傾げた。


     これが、あなたを護りますように。
     ……どういう形でかは、わからないけれど。

  確か、そう、自分は願わなかったろうか?

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切るっ。

結局、休み中に、二体しかねこが作れなかった為、
ねこぬい発送は、来週くらいになりそうです(汗)
#いいんだあとふたつだいっ(壊)

しかし……ぬいたちに動き出されたら、うちではこわいっす(汗)
待遇改善要求されそうだもん(爆)

ではでは。

 
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  『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
 
          いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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