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Date: Wed, 06 May 1998 09:40:19 +0900
From: "E.N." <nakazono@ss.ffpri.affrc.go.jp>
Subject: [KATARIBE 9747] Re:Re:Re: HA06:EP:「無道邸……」
Sender: owner-KATARIBE@teleway.ne.jp
To: KATARIBE@teleway.ne.jp
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In-Reply-To: <9804280924.AA01276@150.26.109.137.ss.ffpri.affrc.go.jp>
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こんにちは、いー・あーるです。
K’さん、こんにちは。
無道邸七不思議(?)、さて最後……になるかな?
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> 千影 :「え、えと、えと……あ、花澄さん、こっちの部屋面白いですよ」
> 花澄 :「はい?」
重い扉をよいしょ、と開けると。
花澄 :「…………わ……」
千影 :「はい、図書室です☆」
花澄 :「………(沈黙)」
千影 :「先刻届けて頂いた本なんかは、ここに置くことになると思い……
:……花澄さん?」
花澄 :「…………(上の空〜)」
視線が本の列に吸い付いて離れない花澄である。
千影 :「かーすみさんっ(ぽんっ)」
花澄 :「わっ……は、はいっ」
千影 :「本、お好きなんですか?」
花澄 :「……好きなんてもんじゃありません(握り拳)」
譲羽 :「………ぢ(はあ)」
譲羽が小さく肩を竦めた。
千影 :「そしたら、少し中、見ていかれます?」
花澄 :「え?!(嬉々)…え、でも、ここに入ったら私、出てこなくなって
:しまいますから……(残念)」
千影 :「大丈夫です(にこ)少しくらい待ちますから」
譲羽 :「ぢーーぃ(えーーっ)」
千影 :「(小声で)大丈夫よ、ゆずちゃん。そんなに待たないから(クス)」
花澄 :「じゃ、少し覗かせて下さいな(嬉々)」
千影 :「あ、但し、本のカバーとか、絶対に外さないで下さいね」
花澄 :「はい」
火炎に引き寄せられる夏の虫の如く。
ふらふら、と、花澄が本に近寄ってゆく。
譲羽 :「ぢいーーっ(花澄、本に近づいたら出てこなくなるのっ)」
千影 :「大丈夫。そんなに時間経たないから」
譲羽 :「……ぢ?」
待つこと暫し。
と、慌てたように花澄が出てくる。
花澄 :「す、すみません、何かつい長居してしまって(汗)」
譲羽 :「ぢ?(そんなに長くなかったよ?)」
花澄 :「え?」
横で千影がくすくす、と笑った。
花澄 :「千影……ちゃん?」
千影 :「この中、ちょっと……変わってるんです」
花澄 :「……時間が…まさかゆっくり流れる?」
返事はない。
花澄 :「それに……何だか広くて、異様に奥行きがあって……空間にも
:異常があるん……ですね?」
やはり、返事はない。が、千影の表情が何よりの答になった。
花澄 :「……そう、なの………」
ゆっくりと、花澄の両手が握り締められる。
花澄 :「………そう…ょ……」
千影 :「は?」
花澄 :「理想郷ですっっ!!」
千影 :「はい?」
花澄 :「理想郷……嗚呼何度留学中夢に見たことか(感涙)」
……泣くなよ。
花澄 :「千影さんっ」
千影 :「はい?」
花澄 :「もし宜しければまたこの部屋入らせて下さいませんっ?!」
言葉こそ丁寧だが、殆ど「入らせてくれなきゃ取って食う」の乗りである。
花澄 :「偶にでいいんです。こちらに、本を届けるついでにでもっ」
千影 :「え、そんな限定しなくっても…」
花澄 :「その為でしたら、私、どんな本でも届けますからっ。危険だろうが、
:振ったらお化けが出てこようが……ええ、どんな本でもっ!」
人の言うことを聞けってば。
千影 :「(うーん、危険な本も結構あるんだけどなあ……ま、いっか☆)
:はい、いつでも読みに来て下さいね(ニコ)」
花澄 :「有難うございますっ……わぁ……(歓喜)」
譲羽 :「……ぢい(頭痛がするってこういうことだろうか、と考えている)」
なぞとやっている後ろから、重い足音が聞こえて。
ブラッド:「お嬢様、お茶の用意が出来ましたが」
暖かいお茶と、小さな色とりどりのケーキ。
灰色の空間が、なんだか和んで見える。
千影 :「本当は、さっきの図書室、早く何とかしないとなって思うんです」
花澄 :「どうして?」
千影 :「昔一度、整理したんですけど、それ以来どんどん増えて、
:いまいち整理が追いついてないんです。それに古い本も多くって
:結構痛んできてるみたいだし」
花澄 :「あら、勿体無い。あれだけの本なのに」
千影 :「でも、整理するとなると、他のこと何も出来なくなっちゃう」
花澄 :「うーん……」
食べられないくせに、綺麗なケーキに手を伸ばす譲羽の手をそっと抑えながら。
花澄 :「それ専用に、人を雇う、とかは?結構ここら辺、大学生が多いから
:募集すればすぐに見つかると思いますよ」
千影 :「あ、そうか……そーですね、他にいっぱい雑用あるし☆」
花澄 :「ベーカリーに募集の張り紙、貼らせて貰ったら?瑞鶴でもいいけど
:ベーカリーの方が人の出入り多いし」
千影 :「そーですね。じゃ早速張り紙作ろっと」
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で、落とす。
修正、訂正、加筆、宜しくお願いします。
某前野さん話への伏線、しっかり引きましたんで宜しく〜〜(をい)
#前野さん、そこで花澄を恨まないように(爆)
で……「無道邸には『御本を持って』」になるわけだ(をを、何とか筋が通った)
いー・ :「しかし、理想郷だよなあ……」
花澄 :「本が一杯で、時間がゆっくり過ぎる。もう……(感極まっている)」
いー・ :「想像するだけで羨ましいぞっ」
いやあ、留学中、よく、本屋の夢見たですよ。
日本語の本がだーーーーーーっと並んでいる(涙)
ああ、これも読める、これもすっと分かる、題名を顔を真っ直ぐにしたまま読める!
……みたいな(をい)
ではっ。
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『Hitch your wagon to the Star in Heaven』
いー・あーる(nakazono@ffpri.affrc.go.jp)
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