[KATARIBE 649] [HA06]不幸のラブレターAパートまとめ

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Date: Thu, 10 Apr 1997 21:21:56 +0900 (JST)
From: myanagi <a60132@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 649] [HA06]不幸のラブレターAパートまとめ
Sender: owner-KATARIBE@po.teleway.or.jp
To: KATARIBE@po.teleway.or.jp
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  ども、D16です。

  不幸のラブレターAパートをひとまずまとめてみました。
(と言うより、参加できなかったときに進んだエピソードで、十が絡む所について
は修正を他の所は事件が起きた順に並べたってだけですが)
  一応、僕でわかる範囲で重複、つじつまは合わせました。今までまとめられた所と
重なるところも多くありますが、一応現状確認ってことで。

  皆様の修正、意見よろしく。

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》 十            :「動かざること、山のごとしってね」
》 そしてしばらくすると寝息が聞こえてきた。

 少女          :「(くすくすくすくすくす)」
 十            :(熟睡中)
 少女          :「せっかくおねえさんのこと、殺せると思ったのに。邪魔
                :しちゃダメって、言ったじゃない。
               : しかたがないから、あなたから殺してあげるね」

 くすくすと笑いながら、少女の姿が薄れ、輪郭がぼやけてゆく。そして、ほ
んの数秒後には、少女としての存在は消滅し、本来の姿に戻る。
 桜色の便箋に。
 封じる対象である少女が存在しなければ、陣は意味を失う。そして一陣の風。
 ひらひらと宙を舞い、眠っている十の真横に落ちる。
  
  キノト	:「キィィィィッ!」
  キノエ	:「キュイッ、キキッ!」
 
  二匹のオコジョが警告の声をあげたが、人形をとっていないのでその声は十
を起こすには至らない。
  
  少女          :「ねえねえ、こんなところで寝てると……うふふふ、死ん
                :じゃうよぉ(くすくすくすくすくすくす)」

  少女はそのたおやかな指を十の太い首にそっと絡ませる、羽が触れたかのよう
にかすかな感触、そして、ぷつりと首筋に赤い点が浮いた。
  だが、十は動かない。この陣を完璧とするため自分に念じつけた「山」の性質
のためだ。万全を期したつもりの術法が裏目に出ている。

  少女          :「知らない、から。(くすっ)」
  十		:「うっ?」

  一方そのころ、道を急ぐ別の姿があった。

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  琢磨呂        :(お……気のぶつかり合いにもう一人参入者!?お……急速に
                :全ての気が弱まって……・消えた。ふうむ、何だったんだろう
                :な。ヤな予感がするぜ。さっさとベーカリーに行こう)
  琢磨呂、ベーカリーへと駆け出す。
  と、その時。

 慎也          :「何や。やっぱ相方やないか」
 琢磨呂        :「(立ち止まって振り向く)と、その声は…、シン。お前か」
 慎也          :「よ、おひさ。しかし、なんちゅうかっこしてんねん(^^;」
 琢磨呂        :「うっせぇ、ほっとけ!(^^;」
 慎也          :「まあ、まあ…。(^^;それより、えらい慌ててたけど、デー
         トか?(笑)そーか、そーか。麗衣ちゃんにここんとこ電話
         してないから会って脅かしたろうっていう魂胆か。いやあ、
         らぶらぶやね(にやり)」
 琢磨呂        :「きぃさぁまぁ……、頭吹き飛ばして欲しいんか(ちゃき)」
 
 と、懐からM93Rを取り出す、琢磨呂。怒ったときは大体いつもこんな感じなん
 で気にせず会話を続ける、慎也。

 慎也          :「何や。ちゃうんか。じゃあ、何やねん?」
 琢磨呂        :「姐さん探してんだよ。シン、お前見なかったか?」
 慎也          :「いんや。知らん。なんか用なんか?」
 琢磨呂        :「まあ、ちょっとな。知らんならえーわ。じゃあな、グッド
         ラック」
 慎也          :「おい、こら、待てよ!何をそんなに慌ててんねん!」
 
 走り去ろうとする、琢磨呂のコートをつかむ慎也。そのせいで、こけそうにな
 る琢磨呂。すると、コートのポケットから例のラブレターがひらりひらり。(笑)

 琢磨呂        :「何すんだよ、シン!俺は忙しいんだって!」
 慎也          :「おやぁ?(ラブレターを見つける)これは何かなあ?岩
         沙君(にやり)」
 琢磨呂        :「だぁああああ!!返せ、シン!それは最重要機密文書だ!」
 慎也          :「このハートのシールで封したのがか?いやぁ、もてもて
         やねえ、お前(にやり)心配すんな、麗衣ちゃんには秘密に
         しといてやるから。誰からのかお兄さんに言ってみぃ(笑)」
 琢磨呂        :「お前なあ……。(呆)そんないいもんじゃねーよ。姐さん
         探してんのも、これが原因なんだよ。」
 慎也          :「どういう事やねん?」
 琢磨呂        :「しゃーねーな。だからよ……」

 事の一部始終を語り出す、琢磨呂。
 
 琢磨呂        :「……だから、姐さんに見てもらおーと思ってさ」
 慎也          :「何や。そんなんやったら、俺でも見れるやん」
 琢磨呂        :「お前、そんなん出来たか?」
 慎也          :「まあね。(笑)もともとは人間の心に干渉するもんだけど
         な。でも、お前の予想通り呪術の類やったら、このラブレ
         ターにもかなりの残留思念があるはずなんよ。ただ、お前
         が長いこと持ち歩いてたのと、俺が物に対して『力』をあ
         んまり使ったことがないって言うのが問題やけどね」
 琢磨呂        :「この際仕方ねえ。シン、頼むわ」
 慎也          :「りょーかい、やってみるよ」

 琢磨呂の手からラブレターを受け取り、左にラブレターを持ち、右手を額に
 当てる慎也。目を瞑り、深呼吸をし、気持ちを落ち着け、ラブレターの中に
 入っていくようなイメージを頭の中に描く。しかし、頭の中に語り掛けてく
 る物はない。

 慎也          :「(くそっ……!やっぱ、物には干渉出来ねえか。)」
 
 と、その時、頭の中に何か大きな物が流れてくるのを感じた。

 慎也          :「(なっ……、なんだこれは?赤一色だ!なんだろう?恋
         愛感情のイメージか?いや、そんないいもんじゃない。
         じゃあ、なんだ?血か?)」

 考えてる慎也をよそに、さらにイメージは流れ込む。まるで慎也を飲み込む
 かのように……。
 
 慎也          :「(やばっ!まだ流れてくる。おれを乗っ取るつもりか!
          遮断しねえとまずいな、今の俺にはこれが限界か)」

 頭の中で遮断するイメージを描く。血のような赤色から徐々に闇が支配する
 無の状態へと戻る。何とか無事らしい。息が荒い。深呼吸をし、息を沈める。
 徐々に瞼を開ける。目に入る光が眩しい。

 琢磨呂        :「どうだ、シン?」
 慎也          :「ハァ……ハァ……。正直、よくわからねえ。ただ、これ
         は普通のラブレターじゃないことは確かだ」
 琢磨呂        :「呪い系ってことか?」
 慎也          :「多分な。断片的なイメージしか入ってこなかったから、
         断定は出来ないけど。これを処分する為の弾はあるけど、
         どうする?」
 琢磨呂        :「今、処分した所で解決する問題じゃなさそうだな」
 慎也          :「呪いかけた本人見つけて何とかせん事には、めでたしめ
         でたしって、訳にはいかんだろうな。」
 琢磨呂        :「本人見るけるしかねーかな、やっぱり」
 慎也          :「そーいや、お前。さっき話の中で大きな力がぶつかって
         るとか何とか言ってなかったか?」
 琢磨呂        :「ああ、それが何か?」
 慎也          :「もしかすると、そこに行きゃあ、なんか分かるかも知れん」
 琢磨呂        :「ベーカリーに行くつもりだったが、そっちを先に押さえ
          るべきかもな。急ごう、シン!」
 慎也          :「りょーかい!」

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  声1(慎也)  :「ほんとにこっちでいいんだろうな?」
 声2(琢磨呂):「信じろ。この先、すぐだ」

 少女          :「あ……」

 まさに十の首を掻き斬らんとしていた少女の指が止まる。

 少女          :「ダメ……」
 琢磨呂        :「ここだ!」
 慎也          :「だれもいないじゃないか。……おや?」
 琢磨呂        :「よぉ、にーちゃん。風邪ひくぜ、こんなとこで寝てっと」
 
  琢磨呂はそう言って、軽く十の腰の当たりを小突く。田が、十はみじろぎ一つし
  ない。

  琢磨呂        :「にーちゃんてば!」
  十            :「後五分だけ……」

  するとどこからか、二匹のオコジョがやってきていきなり、十の鼻先に噛みつい
た。
  三十平方メートルに響き渡る叫びに顔をしかめると、琢磨呂は十の顔を正面から
見据えた。

  琢磨呂        :「何やってんだよ、あんた?」
  十		:「イタタタ、あれ?お前さんは?」
  慎也          :「聞きたいのはこっちだって」

  下駄バキ銭湯がえりの大学生に、ロングコートと学生服の高校生(二人とも精神
年齢は鼻を押えてる大学生より高く見える)と言う図は畑から見ても十分間抜けだ
ったが交わされた会話はそれをさらに上回る間抜けさだった。

  十            :「あれ? あの女の子は?」
 琢磨呂        :「あぁ? にーちゃん、夢でも見てたのか?」
 十            :「いや、いま確かに……」
 慎也          :「だれもいませんけど」
 十            :「おかしいなぁ」

  琢磨呂と慎也は顔を見合わせる、どうも状況がうまく掴めない。と、その時オコ
ジョが一声鳴いて、桜色の便箋を示した。三人の視線はそこに集中する。

 十            :「ふむ?(手に取る)」
 慎也          :「なぁ。ほんっとに、ここでいいのか?」
 琢磨呂        :「あぁ? 俺の索敵能力が信じられねぇってか?」
 慎也          :「岩沙、安心しろ。失敗は誰にでもある(笑)」
 琢磨呂        :「きぃさぁまぁ〜(ちゃき)」
 慎也          :「ん? なんです、それ?(十の手元をのぞきこむ)」
 琢磨呂        :「シン、話をそらすな」
 十            :「書きかけの手紙……だな。どうも……ラブレター
                :らしいが」
 琢磨呂・慎也  :「ラブレター!?」
  十		:「桜色の便箋で果たし状出す奴もいないだろう」
 琢磨呂        :「おい……まさか……」
 十            :「それにしても……(あの結界を越えられるとは思っても
                :みなかった、あいつは見た目通りのものじゃないってことか?)」
 慎也          :「ちょっとすんません(十から便箋をひったくり、リーデ
                :ィング開始)」
 琢磨呂        :「どうだ、シン」
 慎也          :「…………だめだぁっ。残留思念が弱すぎて話にならん」
 琢磨呂        :「畜生っ。よぉ、にーちゃん。この手紙持ってきたの、ど
                :んなヤツだか憶えてねぇか?」
 十            :「ん? 手紙だ? 誰も手紙なんか持ってきてはいないが」
 琢磨呂        :「ンなわきゃねぇだろ……」
 慎也          :「おい……岩沙。おいってば!」
 琢磨呂        :「ンだよ、シン!」
 慎也          :「見ろ」
 琢磨呂        :「あぁ?」
 慎也          :「いいから、見ろ! 読んでみろ!」
 琢磨呂        :「ったく、なんだってんだ。(読んでいる)……お、おい。
                :これ……」
 慎也          :「拝啓、親愛なる岩沙琢磨呂さま。突然このような手紙を
                :さし上げる無礼をお許しください。はじめてあなたの姿を
                :見たときから、胸の高鳴りが止まりません……そこで終わ
                :ってるがな、明らかにおまえあてのラブレターだよな」
 琢磨呂        :「う……、どうやらこっちのラブレターの主と同一人物だ
                :と考えたほうがよさそうだな」
 十            :「ん? (どうした? キノト、キノエ?) へぇ? こ
                :の波長はあれじゃないか」
 琢磨呂        :「な……にぃ? (さっき感じた気配と同じじゃねぇか!)
                :畜生っ! どーなってやがんだっ!」
 慎也          :「ところで岩沙、おまえがラブレターもらったこと、麗衣
                :ちゃんには黙っててやるからな(指で輪を作る)」
 琢磨呂        :「うがぁっ! 本っ気で死なすぞっ!」
 十            :「よし、行け。(式神を先行させ、後を追う)」
 琢磨呂        :「あ、おい! にーちゃん、話しはまだ終わってねぇぜ!」
  十		:「後でいくらでも聞いてやる、危ないから早くここからいなく
		:なった方がいい」
  琢磨呂        :「何言ってやがる、あんたの方がずっと心配だぜ」
  
  琢磨呂のぼやきも聞かず、十はMTBに跨り、二人の前から姿を消した。

 慎也          :「俺たちも行った方がよくないか?」
 琢磨呂        :「ンなこたぁ分かっとるわ!(走り出す)」
 慎也          :「(走り出す)忙しい一日だな」

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チャ〜ラッチャラ〜(デストロンマークからサイバトロンマークへ、場面変わる)
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》尊            :「わかりました、待っていて下さい。すぐに戻ってきます!」

 尊            :「急がなきゃ、……いつまでも閉じこめておけるようなも
                :のじゃないもの。……痛ぅ」

 漣丸を持った右手で脱臼した左腕を抱え、急ぎ足の尊。
 足を踏み出すたびに、肩とわき腹が痛む。

 尊            :「どこか……公衆電話……」
 SE          :「ぴろりろ、ぴろりろ。ぴろりろ、ぴろりろ」

 どこからか聞こえてくる呼び出し音。

 尊            :「え? あ、携帯電話!」


 PHS        :「ぴろりろ、ぴろりろ。ぴろりろ、ぴろりろ」
 御影          :(自販機で缶紅茶を買っている)
               :「ぬぇぃっ、茶ぁぐらい飲ませろ。
                :(ぴっ)
                : はい、御影です。……はい、そっちのほうは終わりまし
                :た。問題ありません。ただ、特物(建設省特殊物件課)が
                :らみの物件が、ちょっと。まだ許可証ができてないとかで
                :……。いや、担当してるのが一さんなんですよ、これが。
                :たぶんまた銭湯にでも行ってると思いますねぇ。わはは。
                :……ええ。はい……。あ、んじゃこのまま直帰ってことで?
                :分かりました、それではお先に。はい……失礼します。
               : (ぴっ)
               : ふっふっふ、本日のお仕事終わり、っと」
 SE          :「どん!(出会いがしらにぶつかる)」
 尊            :「きゃあっ!(転倒)」
 御影          :「おっと(支える)」

 支えようと伸ばした御影の手が、尊の左肩をつかむ。

 尊            :「あぁっ! くっ、あぅ……」
 御影          :「あ、失礼。大丈夫ですか?
               :(大丈夫なわけがないな。なにアホなこと聞いてんねん、
                :わしは)」
 尊            :「大丈夫……です……」
 御影          :「顔、真っ青やけど?」
 尊            :「……大丈夫です」
 御影          :「肩、脱臼してても? 医者行ったほうがいいと思うが」
 尊            :「そんなヒマ、ありませんから。(にこっ)
               : あの……それで、あつかましいんですけど、携帯電話、
                :貸してもらえませんか?
                :(あ、この人ベーカリーに来たヤクザな人! まずい、か
                :な……?)」
 御影          :「ああ、いいけど(差し出す)」
 尊            :「すみません(考えすぎかな?)」

 左手でPHSを差し出す御影。
 尊が無事な右手でPHSを受けとった瞬間、御影の右手が尊の左手をつかんだ。
そのまま左腕を首にまきつけるように尊の体を半回転させ、背後から抱きかか
えるような格好になる。

 尊            :「なっ! ちょっと!」
 御影          :「(この状態で一気にはめ込む、っと)よっ(ぐいっ)」
 尊            :「ぐっ! うぅぅ……(そーとー痛い)」
 御影          :「どお?」
 尊            :「いきなり何するのよ!(ふりむきざまの左アッパー)
               : …………あ。 (わき腹に激痛)くっ……痛ぅ」
 御影          :「まだ痛む?」
 尊            :「いえ、肩じゃなくて……あの、ごめんなさい、殴ったり
                :して」
 御影          :「いや、それはいいんだが。……肋間神経痛……なわけが
                :ないか。
               : ダンプとケンカでもした?」
 尊            :「そんなとこです(苦笑)」

 (くすくすくすくすくすくすくすくす)

 尊            :「もう!?」
 御影          :「?」

 突然背後に膨れあがる気配。尊がふりむき、御影が視線を上げた先に、少女
がいた。

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琢磨呂          :「はぁはぁはぁ……・おい……シン?」

慎也、後方からゆっくりとついてくる

琢磨呂          :「この角を曲がってすぐそこだ。急ぐぜ!」
慎也            :「様子を見てからの方が良くないか?殺気がびりびりと伝
                :わってくるぞ」
琢磨呂          :「そんな寝てぇことやってられっかよ!……といいたい
                :が、ここはシンの言う方が正しいな。あの建物のあたりか
                :ら様子を見よう。ミラー出すぜ」

琢磨呂七つ道具の一つと化した、伸縮式のミラーを取り出し、通りの向こう側
を伺う琢磨呂。

琢磨呂          :(げげげげげげげげげげげげーーーーーーーー)
慎也            :(なんだなんだどうした!)
琢磨呂          :(花屋のねーちゃんが、893のニーチャンと不倫しと
                :るぅぅぅぅぅ)
慎也            :(なにぃ!……・って、その何処からあの殺気が来る
                :ねん!)
琢磨呂          :(出たぜ、真打登場だ)

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 少女          :「あー、おねえさん、また違う男の人といちゃついてる。
                :いけないんだぁ(くすくす)」
 尊            :「……だから?(怒)」
 少女          :「うふふふふふふふふ(何かを投じるしぐさ)」
 尊            :「いけない! 逃げて!」

 御影を背後にかばい、尊はマントの内側から数枚の呪符を取り出す。同時に
御影は、背後から尊の腰のあたりを両手で掴み、真横に、ぽん、と放り投げた。

 尊            :「え?」

 3メートルほど飛ばされて、ふわりと着地する尊。その視線の先で、不可視
のエネルギー弾の直撃を受け、派手にふっとぶ御影。ブロック塀に激突して、
崩れたブロックの下敷きになる。

 少女          :「あ〜あ、はずれちゃったぁ」
 尊            :「雷!」

 尊の投じた呪符から紫電が迸り、少女にからみつく。

 尊            :「……なんてことを(激怒)」
 少女          :「効かないって、言ったでしょ?(くすくす)
               : 今度こそ、殺してあげるね(なにかを掴むしぐさ)」
 尊            :「(わき腹に激痛)くあっ!(膝から崩れる)」
 少女          :「ねぇ? 痛い? 苦しい? 辛いでしょ? 楽になりた
                :いって、思わない? 」

 その時。
 爆発音とともにふき飛ぶ瓦礫の山。砂塵の中から飛び出す影。

 御影          :「YEAAAAAAAAAAA!(殴りかかる)」
 少女          :「……っ(かろうじて回避)」
 SE          :「どごっ!(肘まで地面にめり込む)」
 御影          :「ずぼっ(腕を引き抜く)」
               :「あ〜あ、はずれちまったぁ(にやぁ)」
 尊            :「な……なに?」
 少女          :「…………殺すわ」
 御影          :「楽な仕事ではないと思うぞ」
 少女          :「そう……」
 御影          :「それに、そーいう場合はな、『あなたが死んだら、あな
                :たの墓石の前で、ワタクシにたてつく愚か者には似合いの
                :場所ですことおーほほほほほ、って高笑いしてあげるわ』
                :って言うのがコツなんだがな。(コートを脱ぐ)」
 尊            :「莫迦なこと言ってる場合じゃないでしょ!」
 御影          :「ストレートに『殺す』とか言ってしまうと脅迫ざ(被弾)
                : おっ。」
 少女          :「死んじゃえ!(攻撃)」
 御影          :「待て。ちょっと待てっ! セリフの途中で攻撃するのは
                :反則(さらに被弾) おぉっ」
 少女          :「来るなぁ!(連続攻撃)」
 御影          :「あ、(被弾)あのな! おてんば娘はけっこータイプだ
                :が……(被弾)それもほどほどが……(被弾しつつ前進)
                :可愛いとゆーもんだぞ!(捕まえようとして踏み込んで腕
                :を伸ばす)」

 すかっ。見事に空振り。少女は空中に浮かんで御影を哀れむように見下ろす。

 御影          :「……空飛ぶのは反則だろ」

 直後、迸る電撃。

 御影          :「うげ……(感電)」
 少女          :「(御影を踏みつぶして)残念でしたぁ。あ、動いちゃダ
                :メよ、おねえさん。
                : おねえさんが動くと、この人、殺しちゃうから」
 尊            :「人質でも取ったつもり? 赤の他人なんだけど、その人」
 少女          :「赤の他人でも、目の前でなぶり殺しにされたら寝覚めが
                :悪いんじゃないかなぁ?(くすくす)
                : どっちでもいいのよ、私は」
 尊            :「くっ……」
 少女          :「うふふふふふふ。どうするの、おねえさん?(攻撃準備)」
 御影          :「(なんとか声は出るか)……それはともかく、スカート
                :の中、見えるぞ(少女にだけ聞こえる声で)」
 少女          :「!(御影を攻撃……)」
 尊            :「暴! 爆! 旋! 烈! 風よ、猛れ!」

 いきなり轟々と吹き荒れる風。風圧が少女を御影の上から押し流す。

 尊            :「……生きてる?」
 御影          :「とりあえずは。……まだしびれてるなぁ(ぱりぱりと微
                :弱な放電が体を走る)
                : そっちは?」
 尊            :「なんとかね。死にそうだけど(ずきずき)」

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 少し離れた場所で十は、『陣』を組んでいた。
 
  十            :「(最初の見たては完璧だった。間違いはない。奴を一時とは
		:言え封じたのだから。ではなぜ奴はそこから出てきた?)」

  十の脳裏にある仮定が浮かぶ。

  十		:「(陣の中で自分の『性』を変えたか?つまり、奴の形相は
		:『陰』だけじゃない?)キノト、キノエあいつはどこからどう
		:出た?」
  
  耳元にオコジョが寄って小さく告げる。「沢の卦」と。そしてそれは八卦では少
女を意味する。あの時、十が張った陣ではあの魔生はまごうことなく「地の卦」つ
まり陰の象徴で成熟した女性としての性質を持っていた。食い違っている。一つの
存在が二つの性を使い分けられるはずはない。導かれる結論は一つ。奴は二つの存
在の重なりあったものだ!

  十		:「……!ってことは、奴はすでに積層念体じゃなくって、肉体
		:を調達してるってのか?」
  キノエ	:「十、準備できた。速く、とにかく奴を止めなきゃ」
  十		:「止めるだけじゃ駄目なんだ!乗り移られた子を救わなきゃ!」
  キノト	:「御影さんが、やられてる」
  十		:「!なんで御影の旦那がこんな所に?」
  キノエ	:「急がなきゃ」
  十		:「くっ、まにあえ!」

  再び陣を張る。大きな手ごたえだ。

  十		:「駄目だ、これじゃラチが空かない」
  キノエ	:「どうするさ?」
  キノト	:「向うは他にも何人か、あのおねぇさんにさっきの高校生二人も
		:いる」
  十		:「結界の安定は任せた。おれも合流する」
  キノト	:「期待しないでよ。相手は強いから」

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 少女          :「……。(消えようとするが果たせず、不可視の壁に阻ま
                :れる)
                : え?また?またあの結界だと言うの!」

 御影          :「さてと……(起き上がる)」
 尊            :「(どうして動けるのよ、あの人は……)」
 少女          :「ぐ……(攻撃)」

 少女の放つエネルギー弾が、以前にくらべてずいぶん弱くなっていることに
尊は気づいた。

 御影          :「ふはははははははは! ヌルいわ!」
 少女          :「来るなああああああっ!(連続攻撃)」
 御影          :「断わああああああある(弾幕を突っ切って接近)」
 少女          :(御影の頭上を飛び越えようとする)
 御影          :「You can’t escape!」

 腕をのばして少女の足首を捕まえる御影。そのまま地べたに引きずり降ろす。
 尊を戦闘不能に追いやったビジョンが御影に流れ込む。

 御影          :「(うわ……。エグぅ……)」

 少女を見下ろす御影。実は立ってるのがやっとだったりする。

 御影          :「(事情知らんヤツが見たら絶対わしが悪人やな。べつに
                :かまわんが)」
 少女          :「…………(御影を睨む)」
 SE            :「(プシン)ドンッ……ドンッ…………」

 圧搾ガスの吹き出される音に続いて2回の澄んだ爆発音。

 御影          :「ん?」

 御影の足もとに小爆発が二度、起きる。刹那飛び出す二つの影。

 御影          :「おや?(振りむく)」
 琢磨呂        :「(一瞬にして間合いを詰める)この距離でははずさね
                :ぇぜ! 女の子をいじめるたぁ、フェアじゃねーな」
 御影          :「いじめる? いたぶるの間違いだろ?」
 琢磨呂        :「なお悪いわ!
                : どうやらあの娘は俺に用事があるみたいなんでな。お
                :っさんはちょっと引っ込んでてくれ。」 
  御影          :「……(ああ、やっぱりそー見えるんか)」
 
 琢磨呂、唖然ととする御影をよそにロングコートを翻し少女の方を向く。

 琢磨呂        :「で、俺に何の用事だ? こんな物騒なもの渡しやがっ
                :て(ラブレターを取り出しながら)」

 油断無く少女に93Rを向け対峙した慎也と少女、背後からの琢磨呂の声に少女が
妖しく微笑む。

 慎也          :「うっ(ゾクッと総毛立つ)」
 少女          :「うふふふふふふふ……やっと……見つけた……」

 少女がゆっくり琢磨呂をふりかえる。
 但し、身体は慎也を向いたまま。

 慎也          :「え、えらく、器用な女の子に好かれたもんだな(汗)」
 琢磨呂        :「ったく、いい迷惑だぜこんな物よこしやがって……目的は
                :なんだ!(ラブレターを突きつける)」
 尊            :「あっ!琢磨呂君それ駄目っ……痛っ」

 ザワリ。
 ラブレターの中がざわめく。

 琢磨呂        :「ちっ!やっぱり呪いか!(慌てて放り出す)」

 琢磨呂の足元。
 ズルズルとラブレターの中から這い出てくる髪。ニトロ弾の爆発なぞあたかも無
かったかのように。

 少女          :「やっと……やっと見つけた……私の大事な人……もう逃
                :がさない……ふふ……ふふふふ……あはははははっ(哄笑)」


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よし、話、進めるぞ!

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乾遇巽時観月窟|柳田 真坂樹 (Masaki Ynanagida)
地逢雷処看天根|as D16,一十
天根月窟閑来往|
三十六宮都是春|e-mail/ a60132@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp
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