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Date: Sat, 14 Sep 2002 23:18:35 +0900 (JST)
From: みぶろ <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24948] [HA06P] エピソード『おそうじ』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200209141418.XAA27891@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 24948
2002年09月14日:23時18分34秒
Sub:[HA06P]エピソード『おそうじ』:
From:みぶろ
みぶろです。
『片付け魔:1』『潔癖症:1』をテーマに。なんか苦労しました。
冒頭の辺りなど削れそうですが。まあ、文化祭まで引っ張れるネタということで。
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エピソード 『おそうじ』
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登場人物
藤咲千緒(ふじさき ちお)
:春日高校一年生。結界術の使い手。座右の銘は「触らぬ神にたたりなし」
舞台 自宅
時系列 9月中旬 昼下がりから夕方にかけて
本文
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日曜日。午前中に自分の部屋の掃除と英語の宿題を済ませた千緒は、文芸
部で発表する作品のプロットを考えている。春日高校文芸部では、文化祭用
の部誌に課題作品と自由作品をのせるのだが、来週末までにそのアイデアを
3つづつ文芸部の先輩に提出し、添削を受けなければならないらしい。
千緒 :「(……なぜなら、ローレンツ収縮が……)」
千緒 :「だめだ。もろアシモフのパクリ」
シャーペンを置き、ため息をつく千緒。
千緒 :「テーマが時間ってまた難しいなぁ。SFは避けようかな
:……」
ぶつぶつ言いながらキッチンに行き、麦茶を取り出す千緒。コップを持っ
てキッチンを見渡すと、色々と物が出しっぱなしなのに気付く。
千緒 :「もうっ、ママったらまた片付けてない〜。……そういえ
ば先週忙しくて拭き掃除してなかったな」
千緒 :「(……うずっ)」
千緒 :「だめっ。小説なんか考えてる場合じゃないわ」←逆
千緒は麦茶を飲み干すと、てきぱきと片付けを始めた。客観的に見て、大
してちらかっているわけでもないのだが、気になる人には気になるものらし
い。
千緒 :「よしっ。たっ君、出動よ」
たっ君とは、千緒お気に入りのサイクロン式掃除機のことである。たつま
き君の略と思われる。
SE:ふおお〜〜ん
千緒 :「たっ君はいつもたくましくて素敵ねー」
ご機嫌である。ちなみに彼女のバイブルは、『ないすな奥さん6月号 特
集・梅雨時こそ徹底掃除で湿気を追い払え』である。
掃除機のアタッチメントをフル活用し、さして広くも無い職員住宅の全室
を40分かけて掃除すると、千緒はいそいそとバケツと雑巾を取り出した。
千緒 :「ま、今日は簡単に洗剤無しで行こっかな」
簡単な掃除という割には、壁のクロスまで水拭きしているのだが。
千緒 :「らぶ〜らぶらぶ〜」
得体の知れない鼻歌を歌いながらキッチンを中心に雑巾がけをしていく千
緒。あらかた終ったころには6時前になっていた。
千緒 :「ふー。こんなもんかな……そういえば、ママはどこへい
:ったんだろ?」
昼食時にはいた母の姿が見当たらない。千緒がプロットの続きを書こうと
自室に戻ると、携帯電話のメールランプが点滅していた。
母からのメール:「ちーちゃんへ。友達とミュージカルを見てくるので遅く
:なります。パパはどうせ遅いので、お夕飯はあるもので適
:当にね。男の子を連れ込んでも良いけどパパにばれないよ
:うにね☆ 」
千緒 :「……あの不良母」
メールを削除して再びキッチンへ。
千緒 :「作るのめんどいし、お夕飯抜こうかしら……」
ぶちぶちいいながら炊飯器を確認すると、わずかにご飯が余っていた。茶
碗一膳分あるかないかの微妙な量である。
千緒 :「うっ。食べないと、片付かないやん」
ためいきをつきながらご飯をよそい、テーブルにつく。お供は『大人なふ
りかけ・のりチャンジャ』である。
千緒 :「今日の私って、吹利市内でわびしい休日を送った女子高
:校生ベスト10くらいには入ってるかも」
――了――
解説:
思ったより長くなってしまった。モノローグって難しいです。言葉遣いも
やっぱり一人だと変わるし。
註
アシモフ:科学者・SF小説家。ファウンデーションシリーズなど。彼の
小説にローレンツ収縮が出てきたかどうかは定かでは無い。ロー
レンツ収縮についての解説は堪忍してください。
チャンジャ:鱈の内臓の唐辛子漬け。辛いというより口内が物理的に痛い。
ふりかけに商品化はされてないはず。