[KATARIBE 24895] [HA06P]エピソード『探し物』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Thu, 29 Aug 2002 15:42:41 +0900
From: "Motofumi Okoshi" <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24895] [HA06P]エピソード『探し物』
To: "Kataribe ML" <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <000701c24f27$4679a010$0200a8c0@VAIO>
X-Mail-Count: 24895

MOTOIです。実体験に基づいたエピソードです。
何気に健二郎の兄、健一郎が初登場。
**********************************************************************
エピソード『探し物』
===================
登場人物
--------
 十条健二郎(じゅうじょう・けんじろう)
  :中学2年。体が大きい割に細かいことを気にする。
 十条健一郎(じゅうじょう・けんいちろう)
  :高校1年。健二郎の兄。こちらはあまり細かいことを気にしない。


本文
----
 夏休みもあとわずかとなったある日のこと、健二郎は、家の中で、一人で何
かを探していた。

 健二郎    :「……どこにもあらへん……」

 箪笥の中、机の引き出し、本棚の隙間など、ありとあらゆるところを探し回
る。

 健二郎    :「……くそっ、何で見つからへんのや」

 なおも探し回る。自分の部屋だけでなく、居間や台所までも。さすがに、親
や兄の部屋は、勝手に探してはいけないと思いとどまったが。

 健二郎    :「……どうしても出て来ん……」

 そこへ、用事があって出かけていた兄が帰ってきた。

 健一郎    :「よう、今帰ったで」
 健二郎    :「……ああ、おかえり」

 それでも、まだ探し物をやめない健二郎。

 健一郎    :「何しとるんや?」
 健二郎    :「……探し物や」
 健一郎    :「何かなくしたんか?一緒に探したろか?」
 健二郎    :「……いや、かまわんでくれや」

 とにかく探し続ける健二郎。

 健一郎    :「かまわんでくれ言うたって、気になってしゃーないわ。
        :いったい、何探してるんや?」

 探しながら、健二郎が答える。

 健二郎    :「……十円玉や」
 健一郎    :「………何やて?」
 健二郎    :「……ジュース買うてこよ思たんや。そしたら、財布の中、
        :小銭が110円しかなかったんや」
 健一郎    :「何も、千円札使えばええやん。自販だって千円札くらい
        :使えるやろ」
 健二郎    :「……そしたら小銭かさばるし、それに10円足りないだ
        :けで札使うの勿体無いやん」
 健一郎    :「それで十円玉探しかい。どれくらい探したんや?」
 健二郎    :「……2時くらいから探しとるんやけど」
 健一郎    :「って、今3時半やで?1時間半も探しとるんかい。あ〜、
        :呆れてモノも言えへん」

 と言いながら、財布から十円玉を出す健一郎。

 健一郎    :「これやるから、とっとと買うて来いや」
 健二郎    :「……ええんか?」
 健一郎    :「十円くらいくれてやるわい」
 健二郎    :「……ありがとな。それじゃ、ありがたくもろときます」

 そして、健二郎はジュースを買いに外に飛び出した。

 健一郎    :「暇なやっちゃなぁ、全く」

$$
**********************************************************************
motoi@mue.biglobe.ne.jp
Motofumi Okoshi

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage