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Date: Thu, 29 Aug 2002 15:42:41 +0900
From: "Motofumi Okoshi" <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24895] [HA06P]エピソード『探し物』
To: "Kataribe ML" <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。実体験に基づいたエピソードです。
何気に健二郎の兄、健一郎が初登場。
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エピソード『探し物』
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登場人物
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十条健二郎(じゅうじょう・けんじろう)
:中学2年。体が大きい割に細かいことを気にする。
十条健一郎(じゅうじょう・けんいちろう)
:高校1年。健二郎の兄。こちらはあまり細かいことを気にしない。
本文
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夏休みもあとわずかとなったある日のこと、健二郎は、家の中で、一人で何
かを探していた。
健二郎 :「……どこにもあらへん……」
箪笥の中、机の引き出し、本棚の隙間など、ありとあらゆるところを探し回
る。
健二郎 :「……くそっ、何で見つからへんのや」
なおも探し回る。自分の部屋だけでなく、居間や台所までも。さすがに、親
や兄の部屋は、勝手に探してはいけないと思いとどまったが。
健二郎 :「……どうしても出て来ん……」
そこへ、用事があって出かけていた兄が帰ってきた。
健一郎 :「よう、今帰ったで」
健二郎 :「……ああ、おかえり」
それでも、まだ探し物をやめない健二郎。
健一郎 :「何しとるんや?」
健二郎 :「……探し物や」
健一郎 :「何かなくしたんか?一緒に探したろか?」
健二郎 :「……いや、かまわんでくれや」
とにかく探し続ける健二郎。
健一郎 :「かまわんでくれ言うたって、気になってしゃーないわ。
:いったい、何探してるんや?」
探しながら、健二郎が答える。
健二郎 :「……十円玉や」
健一郎 :「………何やて?」
健二郎 :「……ジュース買うてこよ思たんや。そしたら、財布の中、
:小銭が110円しかなかったんや」
健一郎 :「何も、千円札使えばええやん。自販だって千円札くらい
:使えるやろ」
健二郎 :「……そしたら小銭かさばるし、それに10円足りないだ
:けで札使うの勿体無いやん」
健一郎 :「それで十円玉探しかい。どれくらい探したんや?」
健二郎 :「……2時くらいから探しとるんやけど」
健一郎 :「って、今3時半やで?1時間半も探しとるんかい。あ〜、
:呆れてモノも言えへん」
と言いながら、財布から十円玉を出す健一郎。
健一郎 :「これやるから、とっとと買うて来いや」
健二郎 :「……ええんか?」
健一郎 :「十円くらいくれてやるわい」
健二郎 :「……ありがとな。それじゃ、ありがたくもろときます」
そして、健二郎はジュースを買いに外に飛び出した。
健一郎 :「暇なやっちゃなぁ、全く」
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Motofumi Okoshi