[KATARIBE 24722] [HA06P] エピソード『カブトムシ』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Mon, 15 Jul 2002 14:02:53 +0900 (JST)
From: 月影れあな  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24722] [HA06P] エピソード『カブトムシ』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200207150502.OAA93628@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 24722

2002年07月15日:14時02分53秒
Sub:[HA06P]エピソード『カブトムシ』:
From:月影れあな


***********************************
エピソード『カブトムシ』
========================


本文
----
 胸のあたりに落ちてきた鈍い感触に気付いて、苑は目が覚めた。
 枕の脇においてある目覚し時計についと目をやる。時計の針は二時と三十分
を指していた。朝、と言うよりはまだ夜に近い時間。

 苑      :「で……何の用だ?」

 見下ろすと、胸の上に見慣れた頭が乗っかっていた。

 月      :「朝だ。起きれ」

 もう一度時計を見直す。二時三十分。当然だが、まだ起きる時間ではない。

 苑      :「まだ早いぞ」
 月      :「早くなければ意味が無い」
 苑      :「……何がだ?」
 月      :「いちいち説明せんとわからんのか? 今朝はカブトムシ
        :を取りに行くから早起きせねばいかんのだ。そのくらい分
        :かっていろ!」
 苑      :「……聞いてないぞ」
 月      :「言ってなかったからな」

 苑は。寝起きで鈍っている頭を酷使して、現状を整理しようと試みる。それ
ほどの苦も無く理解できた。

 苑      :「要するにいつもの思いつきなのだな」
 月      :「突発的行動と言え」

 同じだ。言っても分からないのは経験から知っている。文句は口の中だけで
呟くと、ベットから起き上がった。
 当然の事ながら、上に乗っかっていた月は転げ落ちる。

 月      :「ったー、立ち上がるときは声ぐらいかけろ!」
 苑      :「知るか。乗っかってくる方が悪い」

 ベットを降りると、箪笥の方へ向かい、適当な服を見繕う。
 ふと、月がまだベットの上で手持ち無沙汰にしているのに気付いた。

 苑      :「着替えて用意してくるから、外で待ってろ」
 月      :「む、まだ用意できておらんのか! 私など、このように
        :籠も虫取り網も砂糖水もすでに持ったぞ」
 苑      :「……砂糖水は前日に木に塗りつけておく物だぞ」
 月      :「……む?」
 苑      :「……(溜息)」

 いつもの事ながら、月の相手をするのは疲れる。

 苑      :「ほら、どうでもいいから部屋から出て」
 月      :「うむ、できるだけ早く用意を済ませるのだぞ。玄関で待
        :ってるから」

 そして、月は部屋から出て行った。

 苑      :「…………」

 後に残された苑は、とり合えず着替えて、仕度を始める。
 小腹がすいたな。と思った。
 夜食におにぎりでも作って持っていこうか? 御飯くらいなら余っているか
もしれない。無断で持っていくのは気が引けるが、後で言っておけば問題ない
だろう。
 ……何か食べさせとかないと、帰ってきたあと月が勝手につまみ食いとかす
るだろうし。
 着替え終わり、大きく伸びをすると、苑はとり合えず台所へと向かう事にし
た。


$$
***********************************


    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage