[KATARIBE 24719] [HA06P] 『ただいま改造中』

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Date: Sat, 13 Jul 2002 00:10:34 +0900
From: "Motofumi Okoshi" <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24719] [HA06P] 『ただいま改造中』
To: "Kataribe ML" <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。愛菜美が主人公のEPを書いてみました。
愛菜美の両親も初登場です。

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エピソード『ただいま改造中』
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登場人物
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 榎愛菜美(えのき・まなみ)
  :プロ野球が好きなアンドロイド少女。首だけでは動けない。
 榎士郎(えのき・しろう)
  :愛菜美の製作者(父)。冗談好きだが、マッドではない。
 榎愛子(えのき・あいこ)
  :愛菜美の製作者(母)。こちらもマッドな人ではない。
本文
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 愛菜美    :「やった〜、入った〜!これで3点差だ!」

 TVからは、CS放送による野球中継の画像が映し出されている。その映像を見
ながら、ひいきチームの優勢を喜ぶ少女。まあ、ここまではごくありふれた光
景だろう。その部屋に窓がひとつもないことと、その少女の首から下がないと
いうことを除けば。

 愛菜美    :「……まだ体の改造終わらないのかなぁ?試合のほうが先
        :に終わっちゃいそうだよ」

 ここは榎家の地下の一室。まあ、休憩室のようなもので、CS放送が視聴でき
るTVが一台あるだけの部屋だ。少女の生首がTVを見ながら歓声を上げるのは、
かなりシュールな光景といえよう。現在、別の部屋では、愛菜美の義体の改造
が行われている。

 愛菜美    :「……ついてなかったなぁ。あんな台風に遭わなきゃ、こ
        :んなふうに首だけで見るなんてことなかったのに」

 愛菜美はアンドロイドなので、当然体は成長しない。そこで、3ヶ月に一度、
義体を改造し、体を少しずつ大きくしているのである。普段であれば、予備の
義体が一台あるので、生首状態になる必要はないのだが、先日の台風のときに
故障してしまったのである。というのは、家の前までたどり着いたとき、着い
たと安心したところへ、飛んできた屋根瓦(おそらく、固定が不十分だったの
だろう)がわき腹を直撃。その傷から雨水が入り込んだため、さらに状態が悪
化してしまったのだ。自宅の目の前だったのが不幸中の幸いであったが。

 愛菜美    :「あ、ペドラザが出てきた。これでこの試合は勝ったね」

 ペドラザとは、愛菜美のひいきチームのストッパー投手である。この投手が
出てくるということは、試合が終わりに近づいているということだ。そして、
ペドラザ投手は、愛菜美らファンの期待通り、相手の打者を三者凡退に抑え、
試合は幕を閉じた。

 愛菜美    :「パパ〜!ママ〜!野球終わったよ〜!チャンネル変えて
        :よ〜!」

 首だけでは、チャンネルを変えることもできないので、作業中の両親を呼ぶ
愛菜美。すると、少々間をおいて、その両親が愛菜美のいる部屋へと入ってき
た。

 愛子     :「お待たせ、愛菜美ちゃん。改造も修理も終わったわよ」
 愛菜美    :「できたの!?じゃあ早く、首とくっつけてよ〜」
 士郎     :「それじゃあ、作業室に行こうか」

 父の士郎は、愛菜美の生首を持ち、部屋を移動する。母の愛子もそれに続く。
そして、作業室に入ると。

 士郎     :「どうだ愛菜美、なかなかの出来だろう」
 愛菜美    :「え?……こ、これが私の体?」

 そこにあったのは、胸の部分に砲台、両手にはマシンガン、膝の部分にバズ
ーカ砲が装備された体であった。

 士郎     :「マシンガンは秒間16連射、バズーカは連発可能、そし
        :て胸のキャノン砲は、吹利市内を一瞬で壊滅させる威力を
        :持ち……」
 愛菜美    :「いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!こんなんじゃ学校行けな
        :いよ〜〜〜〜〜〜!!」

 ショックのあまり泣き出す愛菜美。

 士郎     :「ははは、冗談だよ」
 SE      :カシャン
 愛菜美    :「(ぐすっ)え?」

 用意していた別の体に愛菜美の首をすえつける士郎。その体は、若干大きく
なってはいるものの、元の普通の人間らしい体であった。

 愛子     :「どうかしら、愛菜美ちゃん?出来立ての体は?」
 士郎     :「この体についてる武器は全部偽物だよ。15分くらいで
        :作ったただのデコイさ」
 愛菜美    :「ひどいよ、パパ!人をからかって!それに、そんないた
        :ずらするために、改造も遅れたわけ?」
 士郎     :「たったの15分じゃないか、そんなに怒らなくても……」
 愛菜美    :「知らないっ!!」

 怒りながら地上の自分の部屋へと帰っていく愛菜美。そんな様子を見て苦笑
いを浮かべる士郎であった。

 士郎     :「仕方ない、あとで小遣いでもあげて機嫌直してもらおう」

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