[KATARIBE 24658] [HA06P] 『駿の日本猫語講座』

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Date: Mon, 17 Jun 2002 12:44:56 +0900
From: "Motofumi Okoshi" <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24658] [HA06P] 『駿の日本猫語講座』
To: "Kataribe ML" <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。自キャラの駿と、たつきさんのキャラ、ホウスケくんとの
とある日常のひとコマです(後半はちょっと話が変わりますが)。
セリフチェックをよろしくお願い致します。

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エピソード『駿の日本猫語講座』
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登場人物
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 桐村駿(きりむら・しゅん) :動物語を話せる少年。
 榎愛菜美(えのき・まなみ) :駿のクラスメート。
 ホウスケ          :リュンクスの子供。テレパシーが使える。

本文
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 駿      :「全く、やんなっちゃうよなぁ。この時期は梅雨の雨とか
        :夕立とかが多くなってさ」

 不機嫌そうに部屋でつぶやく駿。今日は練習開始直後に、夕立に降られた。
したがって、今日の練習は解散となったのだが、着替えて校門を出たあたりで
雨はほとんど上がり、この部屋に着いた頃にはもう快晴となっていた。

 駿      :「部屋にいても暇でしょうがないや。散歩にでも行こう」

 駿は、ビデオゲームはそう好きではないので、TVゲーム機は持っていない。
インターネットに使うPCも、母親が使用中であった。こういうときは、あても
なく近所を歩き、時間をつぶすのがいつものパターンである。

 駿      :「夕立の後だからかな、ひんやりして快適だね。公園にで
        :も行くか」

 この近所で一番大きな公園に入る。と、屋根つきのベンチの上に、居眠りを
している猫がいた。駿はこの猫とは顔馴染みである。ちょっと普通の猫とは違
うのだが……

 駿      :「やあ、ホウスケくん」
 ホウスケ   :「にゃぅ……にゅ」(ふあぁ……ん?)
 駿      :「目が覚めた?」
 ホウスケ   :『ああ、駿兄ちゃん。……どうも、雨宿りしてるうちに、
        :つい居眠りしちゃったみたい』

 テレパシー使いの猫、ホウスケ。「猫ではなく、リュンクス」とは本人(?)
談である。

 ホウスケ   :『急に夕立に降られちゃったからね。ちょうどこの公園の
        :近くを歩いてたから、運良く雨宿りできたよ』
 駿      :「それは不幸中の幸いだったね。雨でぬれたら、風邪引い
        :ちゃうもんね」
 ホウスケ   :『風邪引かなくても、濡れるのは嫌だよ』

 などと仲よさげに話す二人……いや、一人と一匹。

 駿      :「ところで、日本猫語は覚えられた?」
 ホウスケ   :『いや、まだ……教わる先生がなかなか見つからなくてさ、
        :途方にくれてるところなんだ』

 ホウスケは、記憶喪失でよくわからないものの、生まれは外国らしい。その
ため、日本の猫の言葉を話せず、猫猫団内でもコミュニケーションに苦労して
いる。以前、猫猫団の怪猫、山葵猫に教わろうとしたが、山葵猫も日本猫語は
話せず、実は山葵語を習ってしまったという経緯もある。

 駿      :「なんだったら、僕が、できる範囲で教えてあげようか?」
 ホウスケ   :『え?いいの?』

 駿は、日本の動物の言葉は、すべて話すことができる。中でも、猫を飼って
いるということもあって、猫語は得意中の得意だ。

 駿      :「まあ、僕は学校やら部活やらがあるから、いつでも教え
        :られるわけじゃないんだけど、それでもよければ」
 ホウスケ   :『全然かまわないよ!お願い、ぜひ!』
 駿      :「うん、じゃあ、ヒマなとき、この公園で教えてあげるね」
 ホウスケ   :『ありがとう、駿兄ちゃん!』
 駿      :「じゃあ、早速、基本的な挨拶から始めようか」

 かくして、駿の日本猫語レッスンが始まる。

 駿      :「にゃう、にゃ」(おはようございます)
 ホウスケ   :「にゃうぅ、な」
 駿      :「う〜ん、ちょっと違うな〜」
 ホウスケ   :『結構、難しいね』
 駿      :「もう一回言うよ……」

 しばらくして。

 駿      :「にゃあう」(こんにちわ)
 ホウスケ   :「にゃうう」
 駿      :「それだと『ご機嫌いかが』になっちゃうよ」
 ホウスケ   :『う〜ん……もう一回言って』
 駿      :「にゃあう」

 と、そこへ。

 愛菜美    :「駿くん?」
 駿      :「わ!ま、愛菜美ちゃん!」

 突然、声をかけられた。声の主はクラスメートの愛菜美だった。

 愛菜美    :「何してたの?」
 駿      :「い、いやね、僕、猫とか好きだから、野良猫とか見ると
        :ついつい、かまっちゃうんだよね」
 愛菜美    :「ニャー、ニャーとか言ってなかった?」
 駿      :「え?そんなこと言ってたかな?聞き違いじゃないの?」

 駿は、動物語を話せることは、内緒にしている。変な目で見られたくないの
だ。

 愛菜美    :「聞き違い?そうかなぁ……」
 駿      :「ま、まあ、語尾に『ニャー』とか、知らないうちにつけ
        :てたかもね」
 愛菜美    :「ふ〜ん……駿くんって結構子供っぽいんだ」

 学校では、生意気だけど憎めないやつで通っている駿。あまり猫好きという
イメージはなく、ましてや語尾に「ニャー」とつけるようなやつにはとても見
えない。もっとも、小学校からの付き合いである愛菜美は、駿のこうした一面
も、ある程度知っているのだが、今の駿にそんなことを考える余裕はなかった。

 駿      :「は、はは……あ、もうこんな時間だ!帰って近鉄戦見な
        :きゃ!じゃあ、またね!(あ〜、恥ずかし〜!)」

 ダッシュで走り去る駿。

 愛菜美    :「べつに、逃げ帰らなくてもいいのに……ちょっと意地悪
        :言っちゃったかな」

 愛菜美も家路に着く。一方……

 ホウスケ   :「(おーい、俺はこれからどうすりゃいいんだ〜?)」

 一人取り残され、途方にくれるホウスケであった。

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考えた末、こんなオチになりました。結局、一発ネタですね(汗)。

motoi@mue.biglobe.ne.jp
Motofumi Okoshi

    

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