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Date: Sun, 16 Jun 2002 02:07:42 +0900
From: "Motofumi Okoshi" <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24656] [HA06P] 『みんなでわいわいバーベキュー』暫定まとめ・前編
To: "Kataribe ML" <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。バーベキューEP、ここまでの話をまとめました。
とりあえず、今回のまとめを「前編」とさせていただきます。
おそらく、スーパー〜準備完了までが「中篇」、バーベキュー本番〜が
「後編」になるかと思います。
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エピソード『みんなでわいわいバーベキュー』
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きっかけ
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きっかけは、西久保宅に届いた一つの小包だった。
史雄 :「差出人は…父さんか。中身は牛肉…え!?」
突然送られてきた牛肉は、とても史雄一人で食べきれる量ではなかった。
これは困る、そう思った史雄は、父親である、豊に電話をかけた。
史雄 :「父さん、これはどういうことなの!?」
豊 :「いや、畜産をやってる友人からもらってな、せっかくだ
:からお前にも食べてもらおうと思ってさ」
史雄 :「だからって、あんなにたくさんの肉、一人で食べられる
:わけないじゃない!」
豊 :「まあ、友達でも誘って、みんなで食べなさい。じゃあ、
:父さんは仕事が忙しいから、これで」(ガチャ)
史雄 :「ちょっと!!…切られた…」
怒ったところでどうにもならない。肉は早く食べなければ腐ってしまうし、
捨てるのも勿体無い。ここは、父親の言う通り、友人を呼ぶしかない、と
史雄は考えた。
史雄 :「そういえば、たしか物置に……」
物置を探す史雄。記憶通りの場所に、それはあった。
史雄 :「あったあった。バーベキュー用の鉄板と、ガスコンロ。
:よし、せっかくだから、人を呼んで、バーベキューパーテ
:ィーといくか!」
ここはもともと別荘、バーベキューをやるには十分な広さの庭がある。
かくして、史雄のバーベキューの準備は始まった。
誘い−桐村駿編
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史雄 :「さて、肉だけじゃ何だし、野菜とか買ってくるか…」
壱村内には、小さな商店がいくつかあるが、あまり大量の材料を購入するの
には不向きである。バス・電車の定期券もあるので、吹利市内のスーパーに行
った方が良いだろう。
SE :「Trrrr…………」
と、出かけようとしたところで、史雄の家の電話が鳴った。
史雄 :「はい、西久保です」
駿 :「ヤッホー、西ちゃん」
史雄 :「何だ、駿か」
電話の相手は、桐村駿。学校、部活での、史雄の後輩である。もっとも、駿
の方は、後輩という意識はなく、友達という感覚で史雄に接しているのだが。
駿 :「何だはないでしょ、せっかく電話してあげたのに」
史雄 :「お前に電話してくれなんて頼んだ覚えはないぞ。…まあ
:いい、何の用だよ」
駿 :「前大阪行ったときに頼んだよね、西ちゃんの家に遊びに
:行かせてよって」
思い出した。前に大阪にプロ野球を見に行った帰りに、駿にそのようなこと
を言われた。まあ拒否する理由もなかったし。
史雄 :「じゃあ、今日来るつもりなのか?」
駿 :「うん、せっかく、今日も明日も部活が休みだしさ」
史雄 :「明日もって……泊まるつもりなのか?」
駿 :「もっちろん。ついでに夕食もご馳走になるつもり」
史雄 :「まったく、相変わらず図々しいヤツだなぁ」
まあ、もともとバーベキューには駿を誘うつもりでいたので、こちらから誘
う手間が省けた、と史雄は思った。
史雄 :「まあいい、じゃあ俺は今から晩飯の材料を買いにスーパ
:ー二村に行くから、お前も付き合え」
駿 :「二村まで行くの?別に壱村にも店はあるでしょ?」
史雄 :「まああるけど、大量に買い込むときはあそこの方が便利
:なんだよ」
駿 :「大量?僕と西ちゃんの二人だけじゃないの?」
史雄 :「実はな…」
史雄は、駿にバーベキューをやるということと、そこに至るまでの経緯を説
明した。
駿 :「へー、それじゃ、ちょうどいいときに電話したんだね、
:僕」
史雄 :「まあ、そういうわけだから、荷物持ちくらいは付き合え
:よ」
駿 :「オッケー。じゃ、僕も二村でお菓子とか買いたいから、
:二村で待ってるよ」
史雄 :「よし、じゃあ二村で落ち合おう。何かあったら、俺
:の携帯のほうに電話してくれ」
駿 :「わかった、じゃ、また後でね」
双方とも電話を切る。
史雄 :「さて、出かけるついでに、和泉先輩と桜居も誘おうかな」
向かいに住んでいるこの二人は誘わないわけには行くまい。まして、桜居を
誘わなかった日には、何を言われるかわかったものではない。そう思った史雄
は、家を出て、向かいの家の呼び鈴を押した。が……
SE :「ピンポーン、ピンポーン」
いくら押しても反応がない。どうやら留守のようだ。
史雄 :「仕方ないな、後で電話でもするか。とりあえず、あまり
:駿を待たせても悪いし、スーパーに向かおう」
というわけで、史雄は壱村を後にし、吹利市内のスーパー二村に向かうのだ
った。
誘い−月影宗谷編
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宗谷 :「うふふふ♪」
吹利市内のとある街角。
宗谷 :「〜♪」(走っていく)
ひときわ目立つ服装をした女装少年、月影宗谷が、やたらと機嫌よさそうに
走っていく姿があった。
宗谷 :「ふふふ、良いものもらっちゃったなぁ〜♪」
と、そこにもうひとつの人影。バーベキュー人日のために市内に出てきた、
史雄である。
史雄 :「あれ?月影先輩、何か機嫌いいっスね」
宗谷 :「あっ、史雄君。ふふ、良いものもらっちゃったんだ♪」
史雄 :「何スか?いい物って」
宗谷 :「ふふ、植物羊の苗だよ」
宗谷は動植物にかかわらず生物が好きである。よって、植物の知識もある程
度は豊富といえる。しかし、史雄のほうは、植物にはからっきし疎い。
史雄 :「植物羊…それって、どんな植物なんスか?」
宗谷 :「え〜とね、この苗木の上の部分にほわほわした綿みたい
:なのがあるでしょ?これが羊なの」
史雄 :「へぇ…これって、珍しいものなんスか?」
宗谷 :「うん♪」
本来の目的を忘れ、興味深そうに植物羊を見る史雄。宗谷のほうは、興味を
持ってくれたことがうれしいらしく、さらに説明に熱が入る。
宗谷 :「耳を近づけてみて、小さい声だけど『メェー』って鳴くんだ
よ」
史雄 :「え、植物が鳴くんですか?」
宗谷 :「植物羊だからね」
史雄 :「あ、ホントだ、何か鳴き声が聞こえる」
植物羊 :「メェ〜」
小さな声であったが、たしかに羊のような鳴き声が聞こえた。
史雄 :「これって、成長すると、どんな感じになるんスか?」
宗谷 :「え〜とねぇ、こんな感じかな」(地面に絵を描く)
地面に絵を描いて説明する宗谷。その絵によると、本当に草の先に羊が生え
ているような感じだった。
史雄 :「へー、ホントに羊みたいになるんだ」
宗谷 :「ふふふ、この植物羊で庭を埋め尽くしたら、空から見た
:ときどんな風に見えるのかなぁ♪」
妄想モードに入り始めた宗谷。史雄も、つられて想像する。
史雄 :「ニュージーランドの牧場みたいになるんスかね」
ちなみに、史雄はニュージーランドの牧場など見たことはない。あくまでも
想像(もしくは偏見)である。
宗谷 :「楽しみだなぁ、ふふふ」
史雄 :「ところで、そんな珍しいもの、誰にもらったんスか?」
宗谷 :「う〜んとね……あれ? 誰からもらったんだったかなぁ」
史雄 :「え?忘れちゃったんスか?」
宗谷 :「うん、もらった事は覚えているんだけど、誰にもらった
:んだっけなぁ……う〜ん」
必死に思い出そうとする宗谷。
宗谷 :「耳。いや、角……青黒い毛で、翼が……三枚、え〜と、
:鱗と、あと、なんだっけ……断片的にしか思い出せないや」
史雄 :「は?(意味がわかんない…)」
角が生えてて、翼と鱗がある?どう考えてもおかしい。
宗谷 :「うん、とにかく尻尾は生えてたと思う」
史雄 :「(人間じゃないのか?もらった相手ってのは)」
宗谷 :「ああ、『あなたが正しくこれを育てるのなら、これは必
:ずあなたに幸をもたらすでしょう』って渡されたんだった」
史雄 :「そ、そうスか…」
なんとなく不気味に感じ、話題を変えようとする史雄。と、ここでようやく
自分が吹利市内に出てきた理由を思い出したようだ。
史雄 :「あ、そ、そういえば」
宗谷 :「うぃ?」
史雄 :「今日市内に出てきたのは、バーベキューの材料を買いに
:きたんスよ」
宗谷 :「ばーべきゅー?」
史雄 :「今日ウチでバーベキューやるんで、月影先輩も良かった
:らどうスか?ちょっと遠いっスけど」
宗谷 :「うぃ、いいの?」
史雄 :「ええ、父が送ってきた肉がたくさんあるんで。人は多い
:ほうが楽しいっスからね」
宗谷 :「じゃあ、遠慮なく行かしてもらうよ」
宗谷は即答した。もともと断る理由などない。
史雄 :「じゃ、ウチの場所ですけど…和泉先輩の家は知ってます?」
宗谷 :「行った事は無いけど、聞いた事はあるよ。たしか、壱村で
:しょ」
史雄 :「ええ、ウチは、その和泉先輩の家の向かいなんです」
宗谷 :「えっ、そうだったの? ふ〜ん、わかった。じゃあ、この
:植物羊植えてから行かせてもらうよ」
史雄 :「俺はこれからスーパーに行って野菜とか買ってくるんで、
:7時ぐらいにでも来て下さい」
宗谷 :「了解、じゃ、またあとでね〜♪」
史雄 :「よろしくお願いします」
てけてけと駆け去る宗谷と、それを見送って、スーパーに向かう史雄。かく
して、バーベキューパーティーのメンバーに宗谷が加わったのであった。
誘い−前野浩編
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さて、スーパーに向かう途中で、またも見知った顔を見つけた。黒い背広、
黒いネクタイ、黒いサングラス、そして気合の入った角刈り。いやがおうにも
目立つその人物に、かぶっている野球帽を取って、声をかける史雄。
史雄 :「あ、前野さん、こんにちは」(礼)
前野 :「やぁ、こんにちわ(微笑)」
前野と呼ばれた人物が、挨拶を返す。
史雄 :「この前は、試合見に来ていただいて、ありがとうござい
:ました」
前野 :「いや、こちらこそ誘ってくれてありがとう。みかんも喜
:んでいたよ」
史雄 :「そうですか、楽しんでいただけたなら良かったです」
ちなみに、みかんとは、黒服の人物、前野浩の妹である…というのは表向き
で、実際には血のつながりはない。仲は実の兄妹のように良いらしいが。
前野 :「これから買い物?」
史雄 :「ええ、スーパーに行くところです」
前野 :「一人暮しなんでしょ?えらいねぇ」
史雄 :「ええ、今年の春からなんですけど、思ったより大変っス
:ね」
中学生の身ながら、家事をしっかりこなす史雄に、感心した様子の前野。
前野 :「ちゃんと食べてるんでしょ?スポーツマンだし」
史雄 :「まあ、ちゃんと3食食べてます。食べないと体力持たな
:いんで。時々親や祖父母が食料を送ってくれることもある
:んスけど」
前野 :「若い子だと、なかなか食事に気を使えないみたいで、心
:配でねぇ」
このとき、史雄の友人の一人が、くしゃみをしたとかしなかったとか。
史雄 :「一応、野菜はなるべく食べるようにしてるんスけど、や
:っぱり肉のほうが好きで、どうしても、肉のほうが食べる
:量多くなっちゃいますね」
前野 :「うーん、バランスよくてラクチンな食事があればいいの
:だろうけどね(苦笑)」
つられて苦笑する史雄だったが、あまり話に時間を費やすわけにも行かない。
ここで、本題に入ることにした。
史雄 :「そうそう、肉っていえば、今日、友人何人か誘って、バ
:ーベキューやろうと思ってるんスよ」
前野 :「ほう?」
史雄 :「もし暇でしたら、みかんちゃんと一緒に、前野さんもど
:うですか?」
史雄の提案に、少々思案する前野。
前野 :「渋柿君やつみきくんはどうだって?」
史雄 :「誘おうと思ったんスけど、出るとき留守だったんで、ま
:だ聞いてないんスよ」
前野 :「ふぅむ……私からも聞いて見ようかな」
史雄 :「そうっスねぇ…前野さん自身は、どうします?」
前野 :「私は、良ければ参加させてもらいたいな。ほかにも何人
:か増えても大丈夫だろうか?」
ちょっと考える史雄だが、史雄は人見知りする性格ではないし、肉もたくさ
んあるので、特に断る理由もなかった。
史雄 :「ええ、全然かまわないっスよ。父から送られてきた肉が、
:たくさんあるんで」
前野 :「だったら……参加、と言うことでお願いするよ」
史雄 :「じゃ、7時ごろから、俺の家の庭でやるんで…あ、俺の
:家は、和泉先輩の家の向かいです」
前野 :「こちらも、某か持ち込みでもってって良いかな?」
史雄 :「ええ、そりゃもう」
話はすんなりまとまった。そうと決まれば、急いで野菜を買いにいかなけれ
ば。
史雄 :「じゃ、俺はこれからスーパーに野菜とか買いにいくんで、
:7時ごろになったら来て下さい。ちょっと遠いっスけど」
前野 :「了解」
史雄 :「じゃ、また後で」
スーパーに向かって走り去る史雄。そんな史雄の後ろ姿を見て、前野が一言
呟いた。
前野 :「……これで夕飯のネタが浮いたな」
誘い−榎愛菜美編
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駿 :「じゃ、行ってきまーす」
元気に家を出る駿。エレベーターで1階まで下りて行き、そのまま歩いて駅
の方へと向かう。
駿 :「えっと、お菓子でしょ。それに、ジュースでしょ……」
歩きながら、自分の買うべきものを頭の中で整理する。
駿 :「西ちゃん家でバーベキューか……楽しみだな〜」
スーパーで、親友である西久保史雄と落ち合うことになっている。その親友
の家で行なわれるイベントに、胸ときめかせる駿であった。
そして、近鉄吹利駅を通り抜け、本町方面に行こうとした、その時。
愛菜美 :「おーい、駿くーん」
駿 :「ん?」
不意に名前を呼ばれた。声のした方向を向いてみると、茶髪ポニーテールの
元気そうな少女がこちらに向かってきていた。
駿 :「やあ、愛菜美ちゃん」
愛菜美 :「こんにちは、駿くん」
彼女の名前は榎愛菜美。野球部のマネージャーであり、駿とは幼馴染でもあ
る。その二人が、お互いに挨拶を交わす。
駿 :「今日は、何しに来たの?」
愛菜美 :「ちょっと、ゲームソフト買いに。駿くんは?」
駿 :「スーパーに買い物さ。そのあと、西ちゃんの家に行くん
:だ」
愛菜美 :「史雄くんの?史雄くんって、たしかこの前壱村に引っ越
:したんだよね」
駿 :「そーだよ」
愛菜美 :「そんな遠くまで何しに行くの?」
駿 :「ズバリ、遊びに行くの」
愛菜美 :「へえ、そうなんだ」
駿 :「今日は、西ちゃん家、パーティーなんだってさ」
愛菜美 :「え?パーティーって、何の?」
駿 :「それがね……」
駿は、史雄から電話で聞いた内容を、愛菜美に話した。壱村の史雄の家でバ
ーベキューをすること、そして、そのためにスーパーで史雄と合流すること。
駿 :「というわけ。そうだ、よかったら、愛菜美ちゃんもどう?」
愛菜美 :「え?でも…私、そんなに食べられないし……」
駿 :「わかってるよ、愛菜美ちゃんが少食なのは。でもさ、い
:いじゃん、そんなに食べなくても、みんなでパーっと騒げ
:ばさ」
愛菜美 :「う〜ん……じゃあ、ちょっと待ってね、パパとママに聞
:いてみる」
と言って、携帯電話をカバンから出し、自宅に電話をかける愛菜美。
愛菜美 :「もしもし…あ、ママ?あのね、今、駿くんと会って……
:で、私もバーベキューに誘われちゃって……えっとね、史
:雄くん家は壱村なんだ。……いい?ありがと!……うん、
:わかった。じゃあ、ゲーム買ったら、直接行くからね」
笑顔で電話を切る。その表情から、OKが出たことは容易に想像できた。
愛菜美 :「パパもママもいいって」
駿 :「ホント?よかったね。じゃあ、ゲーム買い終わったら、
:愛菜美ちゃんもスーパーに来てよ」
愛菜美 :「うん、わかった。それじゃ、また後でね」
駿 :「うん、待ってるよ」
ひとまず別れる二人。、駿はスーパーへ、愛菜美はゲームショップへと向か
っていった。
愛菜美 :「史雄くんもPS2持ってるから、ゲームソフト持っていこ
:っと」
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とりあえずここまでが前編……ですが、さらに乱入があれば構成を変えるかも。
まだ、乱入歓迎いたします。
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