[KATARIBE 24361] [HA06P] 『春の日の川原にて』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Thu, 25 Apr 2002 19:03:37 +0900 (JST)
From: ごんべ  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24361] [HA06P] 『春の日の川原にて』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200204251003.TAA79223@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 24361

2002年04月25日:19時03分37秒
Sub:[HA06P] 『春の日の川原にて』:
From:ごんべ


 ごんべです。

 1ヶ月ほど前、3/20の#HA06-01のチャットログから、エピソードです。


**********************************************************************
エピソード『春の日の川原にて』
==============================

登場人物
--------

 白雲 (はくうん)
    :魑魅魍魎を喰らって異能を得ている大きなむく犬。通称白犬。
 小松 訪雪 (こまつ・ほうせつ)
    :ブリーチにピアスの出で立ちで茶道をたしなむ、骨董品店の若主人。
 忌野 朱里 (いみの・あかり)
    :焔に憑かれ炎を操る、寡黙な元浪人生。ワイルドな技術になぜか
    :長ける。


本編
----

 もうかなり暖かくなってきた3月、うららかな春の日の、昼下がり。

 町中を流れながら澄んだ水と草の茂る広い河原が残る霞川には、春の陽気に
誘われてそれなりの人出が岸辺に繰り出し、思い思いにのんびりした時間を楽
しんでいた。

 白犬     :「…………」(ほてほて)

 人ではないが、彼も陽気に誘われたものの一人。
 ふらりと河原に現れると、そこそこの丈のある草原に分け入っていく。

 白犬     :がさごそ
        :「…………」(草を分けてうずくまりっ)

 どうやら定位置を見つけたらしい。
 ……毎年このようなことをしている気がするのは気のせいか。(※)

  ※毎日である。

 一方。

 訪雪     :(茶)

 彼もまた、野点と言わんばかりのお茶道具一式を携え、草の上に腰を下ろし
てくつろいでいた。
 春の暖かな陽気に包まれ、偶に吹く風も心地よく、幸せな気分で心が満ちる。

 白犬     :「…………」(うつらうつら)
 訪雪     :「にゅふ(ずず)」

 ……と。

 忌野     :(川端に体育座り)
 訪雪     :「おんや」

 顔見知りの姿を同じ河原に見つけ、立ち上がる。

 白犬     :「……」(くー)
        :(ひこひこ、と時折思い出したように鼻が動く)

 こちらは、辺りの人の動きは全く意に介さず惰眠をむさぼっている。

 忌野     :(きらーん)

 ……実は川面の魚を狙っているらしい。
 そんなこととはつゆ知らず。

 訪雪     :「やほー(がっさがっさ)」
 白犬     :(チラリ、と片目だけ薄く開けて二人の様子をうかがう)
 訪雪     :「なにしてんのー(どたどた)」

 がさがさと草を分け足音を立てながら、呑気に近づいて行く訪雪。
 しかしそれでもあわてず騒がず、魚の動きに動揺が見られたと見るや、枯れ
枝を一本拾い。

 忌野     :(シュバッ!)

 目にも留まらぬ早業で川に投げ込まれた枝の先には、

 忌野     :「♪」
 SE      :(枝の先に魚がピチピチ)

 見事な獲物が捉えられていた。

 白犬     :「…………ぇぁぅん」(大あくび)
 訪雪     :「ふひー」
 忌野     :(そりそり)<ナイフを出してさっそく捌き出す

 白犬はと言えば、おもむろにごそごそと起き出たと思うと、多少離れた場所
へ向かい、

 白犬     :「……」

 何やらじっとしている。

 白犬     :「…………」

 ……?

 白犬     :「………………」

 ……その間にも、さらに獲物を増やした忌野の周辺から、香ばしい焼き魚の
匂いが漂ってくる。

 SE      :ザザザッ
 忌野     :「……?」
 白犬     :(とある一点に突進してごそごそしている)
 白犬     :(ほてほてと元の場所に戻ってうずくまる)

 挿し絵…… http://kataribe.com/HA/06/G/hakuun.jpg

 白犬     :「…………♪」(モグモグ)
 忌野     :「……食べる?」>二人に
 訪雪     :「いいの?」
 忌野     :(こくん)
 訪雪     :「ありがたくいただきまーす」

 白犬は白犬で……何やら咀嚼している顎の動きだけは、普通の人間にもわか
る……どうも自分の得た獲物だけで満足しているらしく、焼き魚には特に興味
を示さない。

 訪雪     :(もぐもぐ)「でかい犬ー」
 忌野     :(もしゃもしゃ)
 訪雪     :「お茶どーぞ」
 忌野     :「……どうも」
 忌野     :(こくこく)「ほぅ〜」
 訪雪     :「にゅふ♪」
 白犬     :「…………」(一息ついて、またうたた寝)

 三者三様。
 春の日の陽気に包まれ、昼下がりの一服のひとときは続く。


解説
----

 異様に早い春の訪れに誘われて屋外へ繰り出す人々の1シーン。


時系列
------

 2002年春3月中旬のある晴れた日の午後。


$$

**********************************************************************


 以上です。ではでは。

================
ごんべ
gombe@gombe.org



    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage