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Date: Fri, 5 Apr 2002 15:04:23 +0900 (JST)
From: 月影れあな <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 24195] [HA06P] エピソード『身体測定』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200204050604.PAA51079@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 24195
2002年04月05日:15時04分23秒
Sub:[HA06P]エピソード『身体測定』:
From:月影れあな
月影れあなです。
ちょっと早いけど、新学期ネタで一本。
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エピソード『身体測定』
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登場人物
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月影宗谷(つきかげ・そうや)
:緑の指を持つ女装少年
http://kataribe.com/HA/06/C/2/HAC06292.TXT
和泉凛(いずみ・りん)
:通称渋柿。宗谷のクラスメート
http://kataribe.com/HA/06/C/3/HAC06300.TXT
本文
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ある晴れた昼下がり。
市場へ続く道〜〜♪ ……じゃなかった。
仕切り直し。
ある晴れた昼下がりの事である。
その日、国立吹利学校中等部では身体測定が行われていた。
宗谷 :「うっふっふ、楽しみだね渋柿ちゃん♪」
渋柿 :「そんな楽しみにするほどのことでもないと思うけど」
渋柿の意見はもっともである。
しかし、そう言っている渋柿自身も、どことなくうきうきしているように見
えるのは気のせいだろうか?
先生 :「和泉、和泉凛!」
宗谷 :「あっ、呼ばれたよ渋柿ちゃん。やっぱり出席番号一番っ
:てお得だね」
渋柿 :「得……なのか?」
しばらくして、渋柿が戻ってきた。よく注意して観察すれば分かるが、なん
だか少し嬉しそうだ。
宗谷 :「(どきどき)どうだった? 渋柿ちゃん!?」
渋柿 :「うん、3cm伸びてた」
宗谷 :「うわあ、すごいねぇ。3cmも伸びたんだ! 羨ましいなぁ」
渋柿 :「(ちょっと得意げ)」
先生 :「次、月影宗谷!」
宗谷 :「あっ、ぼくだ。じゃあ、行って来るね♪」
渋柿 :「あ、行ってらっしゃい」
また、しばらくして宗谷が戻って来たのだが……。
なんと言うか、全身から悲壮観を漂わせている。
宗谷 :「(とぼとぼ)ただいま……」
渋柿 :「あっ、宗谷君(どうかしたのかな?)」
宗谷 :「………」
渋柿 :「………」
宗谷 :「………(はぁ)」
渋柿 :「……え、と。宗谷くんはどうだったのかな?」
宗谷 :「……3cm(ぼそっ)」
渋柿 :「(ほっ) 良かったじゃないか。3cmも伸びたのか」
宗谷 :「そうじゃなくて……」
渋柿 :「ふむ?」
宗谷 :「……3cm縮んだの」
渋柿 :「……ゐ?」
宗谷 :「うわーーん(泣) どうしよう渋柿ちゃん!!」
渋柿 :「えっ、あの、測り間違えとかじゃないのかな」
宗谷 :「三回も測ったのにやっぱり間違ってなかったんだよ(泣)」
渋柿 :「それは……」
何とか慰めようと言葉を捜すが、どうも見つからない。
と言うか、3cm伸びた自分が何を行っても慰めにならないような気がする。
渋柿 :「あー、う〜……」
宗谷 :「しくしく。ねぇ、渋柿ちゃん、どうすれば背が伸びるの?」
渋柿 :「それはだな。あの、えーと、そうだ。牛乳を飲もう」
宗谷 :「牛乳?」
渋柿 :「うん。牛乳を飲めば背が高くなると聞いたことがある」
宗谷 :「そっか、牛乳か……ありがとう、渋柿ちゃん♪ ぼくが
:んばるよ!」
一瞬で前向きになる宗谷。
「なんと単純な」とか、思わなくも無い渋柿だったが、とりあえずお互いの
友情のために黙っておく事にした。
ぽかぽかと暖かい春の昼下がりの出来事。
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