[KATARIBE 23847] [HA06H] 見知らぬ異性が尾けてくる:六兎結夜

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Date: Mon, 11 Feb 2002 21:05:51 +0900
From: "Kato" <az7k-ktu@asahi-net.or.jp>
Subject: [KATARIBE 23847] [HA06H] 見知らぬ異性が尾けてくる:六兎結夜
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月影れあなです。

まぁ、こんな感じでしょう。

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どうする:見知らぬ異性が尾けてくる
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六兎結夜の場合
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 ある日の夕暮れ。ふと気付く、自分の後ろを歩く尾行者の存在に。
 最初は気のせいだと思った。しかし、何処までもついてくる。不自然だ。何
気なさをよそいながら立ち止まり、靴紐を直すふりをする。向こうも立ち止ま
った。
 確信する。やはり尾行者だ。ばれない様そっと後ろを振り返る。「誰そ彼」
時とはよく言ったものだ。普通なら相手の顔は判別できないほど暗かった。し
かし……
 サングラスの下で、金色の瞳が妖しく光る。
 暗視能力を持つ結夜には、容易に見て取れた。女の人だ、しかも若い。
 と、しても何の用事だろうか。言うところの「恋する乙女」というやつか?
一考の余地も無く否定する。理由は……言わせないで欲しい、悲しくなるから。
 では、ヴァンパイアハンターと呼ばれるやつか? それにしては尾行が下手
すぎる。
 個人的に恨みがある人だろうか? 尾行したくなるほどの恨みを買った覚え
は今までなかった、と思う。第一、顔も見た事がない人に恨まれるなんてあり
えない。
 思い切って振り返り、声をかけてみる事にした。まさか、いきなり刺される
事も無いだろう。
「あのう? わたしに何か……」
 そこまで言ったところで、女の人がこちらの胸に飛び込んできた。
「えっ?」
 胸の辺りに鈍痛。本当にいきなり刺されたらしい。
 何をする暇も無く、結夜の身体は塵となって散っていた。

 翌日の夜、月が中天まで昇る頃になって、結夜の身体はやっと再生した。
「一体なんだったんだ?」
 疑問は多い。ヴァンパイアハンターのはずは無い。とどめを刺されなかった
からだ。と、なるとやはり、知らぬ間に恨みをかっていたのだろうか?
 塵から再生した直後は心なし体が重い。なんとか家に帰って、一息つく。
 ばらのお茶をいれ、テレビをつけると、丁度ニュースがやっていた。
『……昨夜、連続殺傷事件で容疑を掛けられていた北山牧子被告(17)が警察に
出頭してきました。
 調べによりますと、被告は「目が光った」「刺したら消えてしまった」など、
訳の分からない事を口走っており、当局は「精神鑑定が必要である」と……』
「………」
 絶句する。つまり、ただの通り魔だったという事か。それを知ったとたん、
安堵の波が押し寄せてきた。
「バンパネラでよかったぁ……でなかったら死んでたな」
 まぁ、そういうことも時にはあるのだ。


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