[KATARIBE 23491] [HA06P] 小説『勝子まま、決意。善勝君受難』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Tue, 1 Jan 2002 23:43:30 +0900
From: "tatsu114" <tatsu114@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 23491] [HA06P] 小説『勝子まま、決意。善勝君受難』
To: <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <001f01c192d2$af329600$0201a8c0@comstarz>
X-Mail-Count: 23491

tatsu114@もっふもふりん です
あけましたな感じで小説を書いてみました、善勝君受難・・・ 
ながいけど読んでくれるとありがたいです

*************************
『勝子まま、決意。善勝君受難』
===================================================

登場人物
--------
吉田善勝(よしだぜんしょう):明らかに寝すぎのような予備校生、夢覗きの力
を持っている不幸(?)な青年

吉田勝子(よしだしょうこ):善勝の母親。不思議野菜という奇天烈な野菜を
作り出すことができる。とっても強い母。


本文
----


今日も吹利は晴れている。
 そして一応、平凡な日常が続いてる。
 俺も一人暮らしをしてのんびりと平和に過ごしていた。
 ・・・・・・まあ、受験生というのはおいといて。
 してその生活に喝を入れに着たのか、それともただ単に野菜を売りに来たの
か、あるいは両方か、母親が突然(でもないけど)やってきた。
 母は、この吹利で妙な形や色をした「不思議野菜」を売りまくってたらしい
 そして俺にもその余波はきっちりと浴びせられた
 こっちで再会した日には見た目、みずみずしさまではイチゴ、味はとうがらしな
「いっとう」をくわされて気絶させられ、俺が気がついたら不思議野菜失敗作のオ
ンパレードを食わされたり、いきなりトナカイのきぐるみを着せられてクリスマス
セールとかいって引き回されたり、俺の部屋の冷蔵庫を不思議野菜で一杯にし
て中に入ってた肉や魚を俺の連れの忌野にやったりとかなりの被害をこうむった。
 そんな母だが、年末が近づきいよいよ実家の愛知へ変える日が近づいていた。
 そんなある日のこと・・・・・
「いただきまーす・・・・・・・・・って相変わらずよくわからんいろの野菜を料理してる
な・・・」
 俺がテーブルの中央にある紫のキャベツ(ナべつだそーな・・・)がはいった
炒め物をつつきながらなにがどの野菜と混ざってるのか考えていた。
「今日のはねぇ。。。。なべつとぉ、たましとぉ、だいじん〜」
「・・・・・・・・・ふ、ふ〜ん・・・・・・」
 いつものごとく間延びした口調でいためた野菜の中身を説明するお袋、おそら
くたましはたまねぎともやしで、だいじんはだいこんとにんじんだろう・・・
 しかし野菜炒めにつき物なやつは・・・?
「お袋?これって豚肉はいってないの?」
(不思議)野菜炒めをつつきながらにくをさぐりんながら、お袋に尋ねる
「だってお肉冷蔵庫に入りきらないから腐っちゃうでしょ〜?」
 目の前の野菜炒めをもそもそ食べながらお袋はいう、たしかに野菜で一杯に
なって肉の入るスペースはないが・・
「だったら野菜どければいいじゃねーか、別にそんなにたいした速度で腐るわけ
であるまいし」
「親に向かって口の利き方わるいわよ〜」
 俺がぶちぶち文句を言っているとお袋は注意する
と、そんな時
ぷるるるるるる、ぷるるるるるるるる
 うちの唯一の通信機器、電話が部屋に鳴り響いた。
「あいもしもし吉田です」
 俺は受話器をとり、お決まりのもんくを電話のむこうの相手に言った。
「お、善勝か、どうだ?勉強はかどってるか?」
 俺にとってもっとも聞き覚えのある威厳ある声が返ってきた。
「おやじか、ああ、一応元気にやってるよ、いきなりきたお袋もナ」
 受験のことを聞かれてうっとおしいので俺は少しだるそうな感じで返した。
「まあ、元気にだるそうなのはいつものことだからその話し方にはあえてふれな
いでやっておこう」
 …なんだよ、元気にだるそうって・・・しかもあえて触れないって普通どうどうと
いうもんか?
「そらどーも、デ、今日は何のようなん?」
「ちょっとお母さんの変わってくれないか、少々大事な用事があるんだが…」
少し、深刻そうな感じに変わったおやじの声
「…わかった」
 こう言うときはあえてふれないのが子供の優しい心というやつだ、きっと
「お袋、おやじから電話」
「え、ぱぱりん!?はいはい〜♪」
 カラフル野菜炒めをもそもそと食べながらテレビをみてたお袋がおやじの電話
だとわかった時点で目を輝かせすぐに電話にほうに飛び込み、俺から受話器を
奪い取った。
……しかしぱぱりんってあーた・・・結婚してから20年いおうたってるのにそれは
ないだろ…
「あ、ぱぱり〜ん?うん、あたし〜げんきだったぁ〜、うん、うん、変わりない
よぉ〜
善勝ちゃんがたくさん野宿してたこと以外はぁ〜」
 …いつもも少し甘ったるい声だがそれに輪を掛けたような甘ったるい声で会話
してる
 …まあ…いつまでも新婚当時の気持ちってのはいいんだけどな…あっちもまん
ざらじゃないみたいだし。
「うん…うん…そっかぁ…確かにねぇ…それじゃ仕方ないよね…うん…うん…」
 電話で話してる声がちょっと暗くなったおやじの言う『大事な用事』の話題になっ
たようだ。
「うん…で、そうするの・…?え…?ええええ〜〜〜〜〜〜〜っ!!?」
 そして深刻な雰囲気から一転して素っ頓狂なお袋の叫び声。
「そんなぁ〜〜〜べつにいいよぉ…ぱぱりんとあんまりはなれたくないのにぃ…ぐず」
 今度は泣き出してきた…忙しいな、相変わらず。
「…お袋、なんなん?一体?」
 お袋の近くに行って電話の話題を尋ねてみる
「あのね…ぐす…うちが所有してるお山がね、道を作るみたいでうられることに
なっちゃったの…」
 ふむふむ、まあ山を維持するのは結構きついからな、政府だかどっかが道作
るんならそのままうっぱらったほうが維持費もかからなくなわな。
 ちなみに家が所有してる山ってのがそこそこ大きいのがひとつ、代々引き継が
れた物だそうな。
 しかし山は維持費がかかる。
 木をすくすく育てるために光がうまく入るようにしたり、雑草を切ったりと、人の
労力もそうだが、お金もかかる。だから最近では山にそこまでするぐらいなら少
ないながらお金にしたほうがいいという人がおおく、年々山の所有者が減ってい
る現状である。
 そして、家もおそらくはそんな現状のひとつなんだろう、おそらくは維持費の問
題でどの結論に至ったんだと思う。
「それでね、それでね…ぐす…いまお家にある大きな畑もぱぱりんと勝吾でもう
大丈夫だから、売ったお金の一部は昔やりたがってた食べ物やさんをこっちで
開いたらどうだって…うう…ぐす…」
 確かにお袋は食品衛生管理の資格もってるし、栄養学の資格ももってる、そ
れをつかって店を開こうとしてたのも聞いている、しかし、おやじとであった時点
でその夢を捨て、おやじに一生連れ添うことにしたって事も聞いた。
 そしてそのおやじがみせを開いてもいいって言ってんなら喜ぶことじゃ……
と、ここで俺の脳みそのひとつの言葉が引っかかった。
「……こっちって…?もしかしてここ?吹利?」
 俺が恐る恐る聞いてみるとお袋はうなづく
 ……………
「ちょっといいか?俺も話に参加する」
 俺は頭を抱えながら電話にあるてぶらボタンを押した
「おやじー、お袋悲しんでるんですけどー」
 俺は電話に向かっておやじに言う
「お?電話変わったのか?」
「俺の電話はてぶらでも離せるタイプだからな」
 携帯嫌い(正確にはスパムメールとか言うのにぶちきれてぶっ壊した)でふとん
にもぐりながら話せるタイプを探してたときにたまたまであったのがこの電話で、
これをみたときにはねながらボーっとなんか話ができると夢をみてたのだが…こ
の部屋が狭い状態でそんな機の何ざあまりつかうこともなく…一瞬むなしさを感じ
ながら過ごしていたのだが、まさかここで役に立つとは、世の中わからないものであ
る。
「で、事情は大体聞いたけど、山を売るのは仕方ないとして、なんでお袋の夢をか
なえさせる気になったんだ?」
「うむ、ままりんは今までずっと自分のやりたいことも抑えてずっとずっと私やおま
え
たちの食卓や洗濯とか掃除を守ってきたわけだ、わかるな?」
 …食事は確かお袋とおやじの交代性…ま、いいや
「ああ」
「そのおかげでおまえたちはもう立派に独り立ちすることができる年になった」
「確か弟の勝吾はまだ18…」
 そんなつっこみにもお構いなしでしゃべっていくおやじ
「そこでだ、山が売れるのをきっかけに俺は勝吾に農家としての技術をばしばし
叩き込み、 いろんな苦労をかけたままりんにはやりたかった飲食店を開くというこ
と
にしたのだ」
「それで、なんで吹利で開かせるんだ?」
「だってどうせ店を開かせるなら人が入ったほうがいいじゃないか」
けろっとした声でおやじが言う
「だってだって、そんなことしたらぱぱりんとはなればなれになっちゃう〜〜〜〜」
 横からお袋の悲しみの声
「勝子…よくお前はがんばった、いらいらしたい日もずっとずっとたえてくれたん
だ。
もう俺も、勝吾も、善勝も…お前に苦労葉かけずに、お前には好きなふうに生きて
欲しいとおもったんだ、そして俺はそのその夢のための支援をしていくことにきめた
んだ」
 おやじは急にシリアスになって優しくお袋を諭すと、その声にお袋は少しかおを赤
く
してした。
 ……だからこの夫婦は…もう30ゆうに超えてるのに…
「……じゃあ、じゃあ、たまにそっちに帰っていい?せめてたまには手料理をぱぱり
ん
に作ってあげたい」
 顔を赤らめたお袋が電話に向かって恥ずかしげもなく言っていく
 ……なんか二人のムードになってきたな
こう言うのは当人たちはいいのだが子供にとってもうやってられん感じになっていく
ちょっと飲みものかってこよう…
 そして10分後部屋に戻ってくると、まだ電話で話してるおふくろがいる。
「うん…じゃあ、月に2回そっちに帰るね、こっちのお店を一杯繁盛させるから、
じゃあね」
「ああ、またあえる日を心待ちにしてるよ」
 そして、お袋は電話を切った
 俺はふたりのオーラが発生してから少ししてコーヒーを買いにいったので途中のや
り
取りは聞いてない。
「で、結局どういうふうになったん?」
 おれは途中いなくなったときにきまったであろう店計画の詳細を聞く
「えっとね、しばらくはここを拠点にしてとちを探して、お山売る前にお店を作れる
分の
木をきってもらってぇ、お野菜も送ってもらってぇ、お店ができたら二人ともお店に
移り
住んじゃおうってきまったの」
……やっぱり
「ちょっとまった、俺は一人暮らしして独立したくてここにきたの。なんでおふくろ
また
すねかじりにならなきゃいけないんだよ」
 俺が少し声を荒げながらおふくろに言う。
「だってー、善勝ちゃんこのままにしておくとまた大学受験いきそこなったり大学受
かっても
ずっと寝てそうなんだもーん」
 かわいらしく言うお袋、しかしこっちにとってはこれからの生活問題にかかわって
くる。           そしてその続きがもっと聞きたくない答えだった。
「それにぃ、ついでに不思議野菜の農場も開くから善勝ちゃんにも手伝ってもらう
の」
…………………
「やだ」
 俺は少しの沈黙の後、ふたつの言葉できっぱりと否定した
「やって」
「やだ」
 なぜに農業を否定して都会にきたのに、これまた農業やらなきゃならねーんだ…
「ふーん……」
 俺が維持でもやらないという態度を強く見せると、以外に素直に引き下がるお袋
「……」
 なんか沈黙が続いてる
「……あの〜…?」
 と、俺が恐る恐る声をかけてみると…
「すきありぃ!」
 お袋が突然、俺の口にいっとうを投げ込んだ。
「う・・・・・がらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「まだまだ〜」
「がらいがらいがらいがらい!!」
 そして、お袋は再び口にくそ辛いいっとうをいくつも投入してきた。
そして…
「じゅうがくのどきはでつだばぜていだだきばす・・・・・」
「ほんとぉ!?ありがとぉ〜♪収穫以外のときは1人でやるから収穫のときは
我慢してね♪」
 おれが言葉にならない声で返事をすると、お袋はうれしそうに言った。
「さぁて、これから忙しくなるよぉ!!土地を探して、お野菜を仕入れて、あ、おう
ち
からも送ってもらわなきゃ、あとあとぉ、チラシも作らないとねぇ♪あとぱぱりんへ
の
お手紙もたくさん書くから便箋も一杯かってぇ」
 おやじとはなればなれになったさっきの表情とはうってかわって、思いっきりうき
う
きがおのお袋…
「善勝ちゃん!!あなたも手伝ってねぇ」
…………あんた鬼や…おふくろさんよぉ……
俺の平穏生活をかえしてくれ…

    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage