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Date: Sun, 23 Dec 2001 05:06:37 +0900
From: Higashimatsubara Lokai <persimon@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 23267] [HA06L] 三太郎の伝説
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <a04310504b84a97d639bf@[210.170.254.96]>
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蘆薈でする。
三太郎の伝説
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[lokai] 三太郎の伝説
ということばが
なんとなく浮かんだ
[PaLiLitH] ほら吹き三太郎
[lokai] この間流れていたログで
サンタクロースのことを三太郎と呼んでいたのが目について。
なんかおもしろげなうそ伝説をデッチアップすると楽しそうだ
なと。
[lokai] こういうのはぱらでぃんさんが得意かもしれません
[PaLiLitH] 明日一日でそれっぽい話をでっちあげて
santaro.comとかを作り
大いに啓蒙するとか。
[lokai] うひい
[PaLiLitH] 昔々、越後の寒村で
娘に正月の晴れ着を買うため
自分の子を泣く泣く頭陀袋に詰め込み
女衒に売った三太郎という男とか。
[lokai] ぎゃあ
袋の中身は娘ですか?
[PaLiLitH] 他の娘。
[sou_furo] 娘に晴れ着買うのに
娘を売ったのでは
むしろ
ひとさらいをして稼いでいるとかのほうが
怖さを表現できます(ぉぃ
[PaLiLitH] いへいへ。
この話にはつづきがありまして。
女衒に子を売った金で晴れ着を買った三太郎は
帰り道山賊に襲われ、服は血塗れ、顔は雪まみれになって
家に辿り着くのです。
[sou_furo] なるほど
サンタの格好はそこから!
[PaLiLitH] サンタクロースという名前も
三太郎、苦労す
がなまったもので。
[lokai] おそろしやおそろしや。
[sou_furo] 仕事人のタイトルみたいなかんじだ(ぉぃ
[PaLiLitH] がーん。
[lokai] しかし何故
彼は毎年この時期に?
[PaLiLitH] 三太郎は自分のやったことと
変わり果てた姿に絶望して
そのまま雪山をさまよっていたら
隠里に辿り着き得度し
阿羅漢となって貧しき衆生を救うため
春夏秋を働き
そのたくわえで冬に施しを与える
ありがたい生き仏となったのです。
[lokai] おお。
最後には改心なされたのですか
[PaLiLitH] したみたいです。
[lokai] ありがたやありがたや。
[PaLiLitH] 罪業滅却するまで死ねぬと
まだがんばってるみたいで
[lokai] いつかさらさらと白骨と化して成仏を。
[PaLiLitH] Ash
[lokai] 合掌
雨降 :「……ということだから、24日の夜は早く寝ておきなさい」
>囲
[lokai] とかやったりするとアレです
[PaLiLitH] ぎゃわー。
[lokai] しかしむしろ
こういうことは楓さんが言いそう。
[PaLiLitH] ぶふっ。
[lokai] 期待しています。
[PaLiLitH] 山陰地方では戎神の一種として祀られているようです。
大陸からの交易商人あたりとからめられたのかもしれませんね。
[lokai] 雪靴に菓子を詰めたものを頂いたらば
三太郎に感謝して神棚に御供えしましょう
[PaLiLitH] ぱんぱん。
三太郎権現
[lokai] そして三太郎が迷わぬように
木にくさぐさの飾りをつけて目印に。
[PaLiLitH] 三太郎信仰の珍しいところは
神としての成り立ちが
海の向こうから来た神様
異形の僧侶
ミサキ神などと
いろいろな神格がありますが
祀り方に違いがないということであります。
木の飾りや、履き物をおく風習などは
三太郎信仰のある場所ならどこででも見られます。
[lokai] 一地方神でありながら、ここまで広く統一された祭祀の様式が
浸透しているところも珍しいのではないかと。
[PaLiLitH] 大和朝廷が今の神々を祀る前祀っていた秘神が
何らかの理由で祀られなくなり
信仰の形態だけを残して現地にとけ込んだり、
大和朝廷以前の統一的国家を示唆するものなど
諸説紛々しております。
[lokai] そんな根深いものであったとは。
[PaLiLitH] 縄文−弥生あたりの分化の変遷あたりまで
三太郎信仰は遡ることができると言う人もいます。
[lokai] どこかで巨木信仰と結びついた形跡もありますね。
[PaLiLitH] そのへんはアニミズム的な物もまじってるので
なかなか根が深く大変であります。
たとえば、縄文時代頃
村と村の境界に交易品を置き、それを取っていくという
「顔の見えない交易」があったとされてますが
それをするときの目印となった巨木と
見えない相手からの贈り物が結びつき
三太郎信仰の源流になったと考えることもできます。
[lokai] なるほど。
[PaLiLitH] 天津神系の秘神としては
素戔嗚尊が屋根から馬を投げ入れたエピソードに
その一角をかいま見ることができるという説が。
[lokai] おお。
[PaLiLitH] 実際に信仰があったとされる時期から記紀の成立まで相当時間
が隔たっているので
[lokai] あれは見えない交易の象徴でしたか。
[PaLiLitH] 事実だとしても文字史料から読みとるのは難しそうです。
象徴であります。
[lokai] それが罪として記録されるあたり、なにか深いものを。
[PaLiLitH] たまに持って行かれるだけ持って行かれ
代品が来ず食い詰めたことが示されてます。
[lokai] なるほど。
[PaLiLitH] でも、記紀成立までの時間を見ると
隔たりが激しいので
もととなったエピソードはもっと直接的な物と思われます。
たとえば、機織りをしている人のもとに
馬を投げ込むという行為も
狩猟民族と農耕民族の確執と見立てることができます。
[lokai] うちはいいものをやったのに、こんなもんをよこしやがって
と双方で思ったりする残念な事態の発生が根底にありそうです。
[PaLiLitH] そこで双方の確執が爆発して
戦争とならない為のガス抜きとして
顔の見えない相手が三太郎という神格に昇華したのです。
[lokai] 三太郎は一方的に与える存在なのですが
そのへんはやはりなにか。
[PaLiLitH] 自分達も三太郎であり、三太郎を祀るものという
背反した状態を作り
そうすることによって向こうに戦いを挑むようなことになれば
こちらも多大な被害を被るということを
暗示しているのではないでしょうか。
[lokai] なるほど。
三太郎と表裏を為すものが何かいるような気がするのですが
なまはげでしょうか?
[PaLiLitH] あれが奪う者としての三太郎かもしれません。
[lokai] 嗚呼やはり。
[PaLiLitH] 環境が厳しい地方に類似の信仰が多いことから
やはり気候条件などもあって信仰が残っていたのでしょう。
[lokai] 温暖な地方では、奪う方の信仰は廃れましたか。
[PaLiLitH] はい。
ほそぼそと残ってるのが
山姥とか山爺とかでしょう。
[lokai] ああ、なるほど。
[PaLiLitH] 峠の向こうにいる異界の住人。
[lokai] ところによっては、秋に訪れる異形の童子のかたちをとるとこ
ろもあるようですね>奪うもの
[PaLiLitH] あちらは平安期に始まった彼岸会の風習と融合したものかと。
[lokai] ああ、なるほど。
[PaLiLitH] 日本独自の風習と仏教の融合が彼岸会らしいので
それがまた融合して
根っ子が見えづらくなっているのでしょう。
[lokai] 月を象ったとおぼしきものもみえます。
[PaLiLitH] 月読命の信仰も流れているのかもしれないです。
[lokai] 異界の象徴としての「月」。
[PaLiLitH] それが生者と死者の橋渡しであり
奪う者の象徴でもあったのかもしれません。
[lokai] なるほど。
三太郎も、ある意味死者なのかもしれません。
[PaLiLitH] ソトの者として
死者の列に入っているのかもしれないですね。
[lokai] うむうむ
三太郎の姿を直接見てはならないのは
彼が向こう側の世界の住人だからなのですね。
[PaLiLitH] はい。
だから、節分の日に魔除けとして使うヒイラギを
飾りとして戸口にかけるのかもしれません。
鬼の一種という面もあるのでしょう。
[lokai] 利益をもたらす存在でありながら、同時に忌避されているので
すね
[PaLiLitH] その辺から見ると
年代的にも祟り神などの源流にあり
一度忘れられたものが三太郎信仰として同じような神性を持っ
て復活したのも
納得がいきそうです。
[lokai] そうですね。
[PaLiLitH] 結局、もとのさやに納まったみたいな感じで。
$$