[KATARIBE 22465] [BMN] 買い物をして

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Date: Fri, 14 Sep 2001 03:48:25 +0900
From: 夜月 天星 <nmhs@kun.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 22465] [BMN] 買い物をして
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
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どうもnmhs、夜月天星です。
「こんなこともできる人物なんです、レイスは」という例を示したいと思い、
BM世界での小説、初挑戦です。
まぁ、とかいいながらBMの設定らしい設定にふれてない短編です(笑)

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買い物をして
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 ふと開けてしまった扉。
 その扉は私を優しく迎えてくれた。
 私は扉をくぐり抜けた。
 あとは簡単だった。
 そこを支配していた力と融合し、私はリッチとなった。
 ……とても幸せだった。

「……」
 レイスは街での買い物を終え、家路(とは言っても別荘だが)についていた。
 最近、飛行石から知識を吸収しすぎたためか、色白の顔は更に白くなってお
り、まるで幽霊のようだった。
「わーっ!」
 子供が横を通りすぎていく。
 その中の一人がレイスに真正面からぶつかった。
「ひっ……」
 男の子はレイスを見上げると、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなる。
 レイスは町の住人から危険な人物と噂されていたからである。
 しかしその噂はやはり噂に過ぎず、現実にレイスは何も悪いことも、危険な
こともしていない。
 ただ魔術師であるということだけでこのような扱いを受けるのは、この世界
では珍しくない。特にこの村のような平穏を一番に願う所では尚更である。
「……」
 レイスは無言のまま、その冷たく紫に輝く瞳を男の子に向けている。
 後ろから他の子供達の声が聞こえる。
「あいつだぜ……あそこの屋敷に住んでる魔術師……」
「蛇とか蛙とか買っていくんだろ……あの袋の中もきっとそうなんだ」
「気持ち悪いな……まるで死人みたいだ」
 そのどれもが小声であったがレイスにははっきりと聞こえていた。
「あ、ああ……ご、ごめんな……さい」
 男の子は震える声でそう言うと、目から涙を流し始める。
「大丈夫……ですか?」
 レイスは男の子の頭に手を乗せると、微笑んだ。
「え……」
 男の子は一瞬すっとんきょうな顔をする。
「う、うん、大丈夫だよ!」
 男の子は涙を止めた。
「そうですか。では、私はこれで……」
 レイスは男の子の横を通りすぎていく。
 男の子はへなへなと地面に座りこんだ。
「っと……そうでした」
 レイスが踵を返して戻ってくる。
 男の子は目を瞑った。
 今度こそ殺される。
 頭の中はその言葉が駆け巡り、グチャグチャだった。
「どうぞ」
 レイスは先ほど子供達が蛇や蛙を入れていると思っていた袋から林檎を取り
出すと、男の子の両手に4つのせた。
「そこの君の仲間にもあげてください。……では」
 レイスは一礼するとマントを翻し、去っていった。
 それを確認すると男の子の友達が3人駆けつけて来た。
「……」
 男の子は林檎をかじってみる。
 小さな林檎はとても甘くて、とても美味しかった。

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こんな感じで。
ごろん。
であ。

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NMHSこと、夜月天星
nmhs@kun.ne.jp
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