[KATARIBE 22401] [BMN] クレスタイメージ小説

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Date: Tue, 11 Sep 2001 01:02:47 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 22401] [BMN] クレスタイメージ小説 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200109101602.BAA84493@www.mahoroba.ne.jp>
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2001年09月11日:01時02分46秒
Sub:[BMN]クレスタイメージ小説:
From:久志


久志です。

庶民文化担当になったです。
とりあえず庶民生活をイメージ。

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『西の彼方』
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 遠く、かなたの海から冷たい風が吹く。
 まだ冬の時期には遠いが、海水にぬれて風に吹かれっぱなしの手はすっかり
冷え切っている。そっと手に息を吹きかけて、浜辺に打ち上げられた海草をつ
かむ。傍らには漁の網屑をほぐして編んだカゴが置かれ、一つ一つ丁寧に海草
をつかんでカゴへ入れる。
 集めた海草は真水で綺麗に砂を落とし乾燥させる。短い夏の間にとれる海草
は穀類が割高になる冬場をしのぐ為の格好の代用品になり、中央市場ではいい
値で売れる。特に、鉱山街の集中した西の方では日持ちして栄養のいい海草は
高値で取引されているらしい。

 隣では保存用の切身を棚に干している。
 遠海の漁場は一年中魚に不自由することは無いが、それでも冬場は獲れた魚
の大半は中央市場への売物になる。

 波の彼方、今朝一番に出た漁船が帰るのは夕暮れ。

「ねえ、あんた聞いた」
「西の徴兵のこと?」
「そう、鉱山街への常備軍だそうよ。ウチの息子が志願して困ってるわ」
「しょうがないわ、西はこれからもっと発展するんですもの」
「そうかもしれないけど、あたしは嫌だよ。どうして男どもはあんな物々しい
黒金が好きなんだろうね」
「三年もすればすぐに戻ってくるわ。漁が無くなることなんてないのだから、
海の男達が魚をとらないで誰が国の冬の食料をまかなうの?」
「そう、だけどねえ」


 西。
 兄が志願兵として西へ行ったのはもう四年も前の話だ。

 市場へいった男達から伝え聞いた話によると、中央王都の西の彼方、鉱山街
は高く伸びた煙突が立ち並び、黒々とした煙が街を覆って、街を警備する黒金
の兵団がいるという。
 そんなに兵を集めて何をするというのか。

「白い帆よ!」

 声があがる。
 白い帆は異常なしの印。

 入江へと走り出す女達を横目に見る。
 もっと心が躍るはずなのに、頭の片隅には伝え聞いた西の都市街がこびりつ
いて離れない。

 なぜだか、ひどく兄がうらやましかった。
 私はどうして女に生まれたのだろう。

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こんな感じで




    

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