[KATARIBE 22116] [HA06P] 『譲羽の八神邸侵入記』後編

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Date: Mon, 6 Aug 2001 23:56:59 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 22116] [HA06P] 『譲羽の八神邸侵入記』後編 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200108061456.XAA76254@www.mahoroba.ne.jp>
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2001年08月06日:23時56分53秒
Sub:[HA06P]『譲羽の八神邸侵入記』後編:
From:E.R


こんにちは、E.R@すべからく唐突 です。
後編です。

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宣託を下す鍋……
----------------

 そして同時刻。一階の台所。

 八神     :「飯、炊けたぞ」
 フラナ    :「はーいっ」

 風見アパート名物、永久カレー。
 どうせ食べるなら、ご飯は一緒に炊いたほうが早い。
 ……というわけで、五名分の皿。
 開いた玄関から、微風。そして相当の蝉時雨の音。
 鍋の周りは、控えめに言っても相当暑い。
 
 こんな暑い時だから、辛いもの食べて夏ばてを防ごうという者。
 暑いから外に買いに行く気も起きない者。
 とにかく面倒臭かった者。
 金が無い者。
 なんとなく誘われた者。

 ……まあ、そんなところである。

 佐久間    :「おたま取ってもらえるかな」
 佐古田    :「……」

 無言で差し出されるおたまを受けとって、鍋の蓋を開けた途端。

 カレー鍋   :『をを……姫君がっ』
 佐久間    :「?」
 
 ぶく、と、大きな泡が一つ、膨らんで弾ける。

 カレー鍋   :『姫が……姫君が泣いておられる……』
 佐久間    :「姫?」
 かける    :「へ?」
 カレー鍋   :『わからんのかおぬし等っ』
 フラナ    :「どーしたの?」
 佐久間    :「いや……」
 カレー鍋   :『をを何と言うことだ、これだけ揃っておりながら、姫を
        :救う者がおらぬとはっ』
 佐古田    :「…………」
 SE     :かたん。

 持っていた皿を、佐古田が流しの縁に置く。
 ご飯をよそっていた八神が不思議そうな顔になる。

 八神     :「どーした?」
 カレー鍋   :『ええい食欲魔人どもが。儂の託宣が聞けぬと申すかっ!』
 SE     :ちゃっぽんちゃっぽん☆

 ……だから自力で揺れるなとゆーに。

 フラナ    :「どーしたの?」
 佐久間    :「んーと……」

 かくかくしかじか。

 かける    :「ひめ?」
 佐久間    :「姫」
 フラナ    :「お姫さまなんて風見アパートにいたっけ?」
 かける    :「いないと思う」

 風見アパートに限らず、現代日本にはまず居ない。

 カレー鍋   :『居るとゆーておろーがっ』
 SE     :ちゃぷんっ☆
 佐久間    :「うわ(汗)」

 一瞬。
 このカレー鍋がマッチョと化した日のことを、思い出した佐久間である。

 佐久間    :(思い出したくなかったなー(汗))
 八神     :「ちょっと待て」

 食欲魔人は、料理を無駄にはしない。
 一体何時移動したのか、佐久間の手から落下しかけたおたまをさっと掬い上
げて、鍋の縁をかんかんと叩きながら。

 八神     :「その姫とか、どこに居るんや」
 カレー鍋   :『小さき姫は、貴様の部屋じゃっ』
 佐古田    :「……」

 唐突に、動いた者一名。
 
 フラナ    :「佐古田……ってばっ」
 八神     :「何だって?」

 返事、無し。
 
 SE     :だんっ

 数歩先の、八神の部屋の扉を開いた途端。

 譲羽     :「ぢいぢいぢーーーっ(だーしーてーーーっ)」
 
 蝉時雨を圧して、響き渡る声。

 かける    :「ゆずちゃん?」
 八神     :「へ?」

 扉を開いたは良いが、一瞬足を止めた佐古田をちょっと避けて。

 八神     :「……(うーむ)」
 譲羽     :「ぢいぢいぢいっ(出れないようっ)」

 引っくり返った本の山とCDの山……が、それとは気が付かれないほどの、
混沌。その中に、上下をさかしまにした洗濯籠だけがやたらと目に付く。
 そして、その中でぢたぢたと籠を揺すっているお人形。

 八神     :(ねずみ取り……(失笑))

 どーしたって一瞬、そういう発想になるわな。
 と。ふと人形が、扉のほうに目を向ける。
 ぢいぢい言う声が、一瞬止まり、そしてぶり返す。

 譲羽     :「ぢいぢいぢいいいっ(出して出して出してーーっ)」
 八神     :「あー、判った判った」

 ひょいひょいひょい。
 余人には感知することも出来ぬカオスの中の空白を、かるーく踏んで。

 SE     :かぱっ
 八神     :「ほら(笑)」
 譲羽     :「ぢいいっ」

 ぴょいっと、跳ねて前進しかけたのを、危ういところでとっ掴まえて。

 八神     :「出してやるから」
 譲羽     :「ぢい」

 神妙な顔になった少女人形を抱き上げて、また戸口に戻る。

 譲羽     :「ぢいぢいぢいっ(佐古田のおにーちゃんだっ)」
 佐古田    :「…………(微笑)」
 佐久間    :「姫君って、ゆずちゃんだったのか」
 カレー鍋   :『小さき姫君ではないかっ』
 フラナ    :「そっかあ、ゆずちゃん、お姫さまなんだ(^^)」

 ……違うと思う、と、突っ込んだ奴は多分一人じゃないとは思うが。

 八神     :「でも何でまた、あそこに居ったんやろうな」
 譲羽     :「ぢいぢい、ぢいぢい、ぢいっ(あのねゆずね、上からね、
        :おっこってね、だから入ったの)」
 八神     :「……わからん(汗)」
 佐久間    :(……同じく(汗))
 譲羽     :「……ぢい(ぶっすー)」

 とりあえず、と、カオスの館の扉を閉めて。

 八神     :「めしー」
 かける    :「わーい」
 譲羽     :「ぢいっ(わーいっ)」

 あんたは食べられないだろうがっ。

 フラナ    :「水出し麦茶、作っといたよー(^^)」
 

 外からはやはり蝉時雨。
 僅かに流れる風。

 夏の日の、昼下がり。
 まあ、それだけの出来事である。

***************************

 とゆーわけで。

 泰山鳴動して鼠一匹……ならぬ木霊一匹(苦笑)。
 
 皆様のキャラクター勝手に引きずり出してます。
 問題、書きなおし、等々ありましたら、どーぞどーぞ。

 ではでは。


    

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