[KATARIBE 21741] [WP01P] 紅が導く蒼き結末

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Date: Thu, 17 May 2001 02:51:54 +0900
From: 夜月 天星 <nmhs@kun.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 21741] [WP01P] 紅が導く蒼き結末
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
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とりあえず自己紹介EPだけでおさまっておくのは不味いかなとおもい、
皆さんが参加できるようなEPを書いてみましたが……どうでしょうねぇ……
多分、不具合とかあると思う(怜以外のキャラは使用してないが)ので、
お目通し宜しくお願いします。

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エピソード『紅が導く蒼き結末』
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登場人物
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 駕樋 怜(がとう・れい) : 若き吸血鬼。殺人者なうえ脱獄者。住人。
 
占いを広めし少女
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 怜は月影周辺で占いを始めていた。
 主食となる『血』を採取するために、である。
 怜は血の味や成分を調査し、その人の血を見る事によって占うことができる
のである。
 また血を操り血文字で占いをすることもできたりするのだが……さすがにそ
れは目立つので控えた。
 
 怜      :「……」
 
 怜は看板を適当な場所に置くと、怪しいローブに身を包み、いつものように
客が来るのを待った。

 怜      :「最近、あいつのせいで忙しくなったな……」
 
 そう思いながら、首を回していると、その噂していたものの声が目の前でし
た。
 
 少女     :「あっ、いた〜」
 
 怜は気だるげに首を回すのを止め、前を見る。
 十五、六歳ぐらいの少女がこちらを指差し近寄ってくる。
 制服を着ているところを見ると学生だろうか。
 
 怜      :「……」
 
 怜は『客』が来たと言うのにむっつりしている。
 
 少女     :「今日も占ってください、お兄さん♪」
 
 少女はポニーテールを左右に振りながら、怜の置いていた客用の椅子に座る
と右手を差し出した。
 
 怜      :「……ふぅ」
 少女     :「どうしたの? 元気ないよ? ……あ、そういえばまた
        :学校で宣伝しといたよ。かっこよくて良く当たる占い師さ
        :んがいるってね〜」
 怜      :「(こうも目立つと困るな……)」
 
 怜はぷいと横を向くと、少女の腕に少し触れる。
 そしてその瞬間、血を吸う……と言うより、抜く。
 少女はそれに気づいていないのだろう。
 にこにこしながら占いの結果を待っている。
 怜は口をゆっくりと開け、少女の健康状態から次の日の運勢までをうんざり
した口調で言い出したのだった。
 
 
 ……少女が怜の占いを受け始めたのはつい一週間ほど前だ。
 その日、その少女を最後にしようと決めていた怜は、占いを終えると、急い
でローブを脱ぎ、月影の周囲の見まわりにいこうとしていた。
 だが、その時、ガサッと彼の後ろのゴミ箱が揺れた。
 怜は耳を澄ましてみる。
 呼吸音と心臓の音、そして血の流れ。
 これはどうやら人間が潜んでいるようだ。
 最初は浮浪者かなんかだろうと気にもとめなかったが、なんとそのゴミ箱は
怜の後に付いてくる。
 
 ゴミ箱    :「ガサゴソッ」
 怜      :「いい加減に……しろっ」
 
 怜はくるっと後ろを振り向き、ゴミ箱の蓋を勢い良く開ける。
 
 少女     :「あっ……」
 怜      :「?」
 
 怜は戸惑い、一歩後ずさった。
 
 少女     :「……見つかっちゃった」
 怜      :「……(隠れてたつもりか?)」
 少女     :「あの……その……ううー」
 
 これがこの少女"新島 皐(にいじま・さつき)"との出会いだった。
 

 ……次の日、怜は少女に『俺に近寄るな』と言ったが、それを聞くと少女は
口を尖らせた。
 
 皐      :「なんで? どうして?」
 怜      :「……なんででもだ」
 皐      :「イジワルー」
 怜      :「どうでもいい」
 皐      :「理由を聞かせてよ」
 怜      :「なんででも、だ」
 皐      :「うー……なによぉ」
 
 本当のことは言えない。
 信じてもらえないだろうし、知らないことがいい時もあるのだ。
 
 怜      :「じゃあ、なぜ俺についてくる」
 皐      :「外人さんだし、かっこいいし」
 怜      :「ミーハーという奴か……」
 皐      :「いいじゃないっ! 人の勝手でしょっ」
 怜      :「はぁ……」

遭遇
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 怜      :「もう帰ってくれ」
 
 怜は少女を一瞥すると、占い道具を片付け始めた。
 
 皐      :「ねぇ」
 怜      :「……?」
 皐      :「私を助手にしてくれない?」
 怜      :「助手?」
 皐      :「占いの」
 怜      :「……何もでんぞ」
 皐      :「いいの、何も無くて」
 怜      :「……ついてくるな」
 
 怜は少女に冷たく言い放つと歩き出した。
 
 皐      :「あ、待ってよー……えっ、あ……あれなにっ!?」
 怜      :「ッ!?」
 
 突然、一人の男が静かに目の前に降り立った。
 そいつから感じる力の波動……男から、己の身に流れる血と同じ匂いがした。
 怜は、どのような状況にでも対応できるように瞬時に構える。
 
 怜      :「……」
 男      :「ククッ……」
 
 短髪の銀髪を頭にたたえた男は微笑しながら近づいてくる。
 その男の蒼白い瞳は夕暮れの紅さえも弾き返し、青く静かに輝いている。
 
 怜      :「お前は……なんだ」
 
 怜は構えつつ、言葉を男に向け発した。
 それを受けてか、男は口許を吊り上げた。
 
 男      :「ガトーの一族だな」
 怜      :「なんの……ことだ」
 男      :「……わかる、わかるぞ。お前に流れる裏切り者の血」
 怜      :「……」
 男      :「聞け、裏切り者よ。俺はガトーの一族は根絶やしにする
        :ためにやってきた真の血の一族」
 怜      :「(一族……なんのことだ)」
 男      :「貴様の父親はどうした。バジフィスはどうした」
 怜      :「バジフィス?」
 
 怜にはそんな名前に覚えは無い。
 だが彼は父親の本当の名前を知らなかった。
 
 怜      :「(親父は……バジフィスとか言う名前だったのか?)」
 
 怜は頭を左右に振ると、その考えを振りほどいた。
 皐がいるのだ。
 下手に言葉に動揺して油断してはいけない。
 
 怜      :「知るか……」
 男      :「まぁ、いい。さて……お前には死んでもらわなくてはな
        :らない……が、まずそこの娘を味わうとするか、ククッ」
 
 男は皐を睨み付けた。
 
 怜      :「ちぃっ!」
 
 怜は素早く水筒を取り出すと、中からどす黒い液体を少量、指に絡める。
 そして横一文字に腕を薙ぐ。
 
 怜      :「血動……裂!!」
 
 怜の指より発せられた血の刃は、狙い過たず男に飛んでいく。
 だが、決まったと思った瞬間、刃は力無く砕け散った。
 辺りに血の雨が降る。
 
 怜      :「なっ……」
 男      :「ク……ハハハハッ……。ガトーの能力など、俺には効か
        :ん」
 
 男は左手を怜に向けて軽く振る。
 ヒュッと腕が音を立てる。
 次の瞬間、ビシィッと音を立てて怜の足元が凍り付き、怜を束縛した。
 
 怜      :「くそっ!」
 
 怜はもがくが一向に脚は冷たき束縛から逃れることができない。
 
 男      :「ククッ……甘いな。一時の感情にながされるとは」
 
 男は動けぬ怜を尻目に皐にゆっくりと歩み寄っていく。
 
 皐      :「いや……化け物……助けて……怜っ!」
 
 皐は腰が抜けて動けないようだ。
 
 怜      :「やめろ!」
 
 それを見た怜はすぐさま結界を周囲に展開する。
 突然、目の前にいた少女がいなくなり、男は少し動揺したようだが、すぐに
後ろを向き、怜を見つめた。
 
 男      :「これがガトーの力……防御には秀でているか……? ふ
        :ん……今のお前は鳥篭の中の鳥だ。どのような状況になろ
        :うと勝ち目はない……あともう一人殺さなくてはならんか
        :らな……さっさと死ぬがいい」
 怜      :「(もう一人……留無のことか!?)」
 
 男は嘲笑を浮かべ、近づいてくる。
 怜は構えると、なんとかしてこの状況を打破できないか、考えを張り巡らせ
ていた。

時系列
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 1999年(2回目)の6月。
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結局、色々やっているとこのような一族絡みというお約束なネタになってしま
いました(汗)
ちなみに『男』の能力は物体を冷凍させるとかそう言う類の能力です。
また吸血鬼ですので、超再生能力、飛行、瞬間移動、変身など使用可能です。
しかしどうやら住人や狩人ではないらしく、結界能力については何も知りませ
ん。
では、そういうことで……失礼します。


    

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