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Date: Thu, 10 May 2001 11:16:14 +0900 (JST)
From: ソード <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 21713] Re: [WP01P] 共同戦線
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200105100216.LAA10109@www.mahoroba.ne.jp>
In-Reply-To: <JS20010510013051.5232578@din.or.jp>
References: <JS20010510013051.5232578@din.or.jp>
X-Mail-Count: 21713
2001年05月10日:11時16分14秒
Sub:Re: [WP01P] 共同戦線:
From:ソード
こんにちは、ソードです。
リューさん、修正ありがとうございます。
やっぱりイナズマキックは没ったか……<ざんねんらしい(w
一度、まとめを流します。続きはそれにレスしますね。
ちなみに、時間は3回目の半ばごろを想定してます。
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エピソード『共同戦線』
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登場人物
月島直人(つきしま・なおと):
:喫茶・月影の店長。終末の住人の組織『月影』のマスター。
日向錬夜(ひゅうが・れんや):爆弾魔。直人の対となる狩人。
朝霞沙希(あさか・さき):呪われ転生する魔法使い、朝霞有希の姉。
朝霞有希(あさか・ゆき):呪われ転生する魔法高い、朝霞沙希の妹。
対決
----
都内某所。しかし、あたりに人影はなく爆発音と建物の崩れる音のみが響く。
その崩れるビルの土煙の中から、二人の人影が飛び出してきた。
日向 :「少しは腕を上げたようだなぁ……くくく……楽しくなっ
:てきたぜぇ……」
直人 :「今日こそは決着をつけますよ。私達の力はこんな事のた
:めに使うべきじゃない」
薄笑いを浮かべる日向の右瞳は金に、あくまで無表情の直人の左目は銀に輝
いている。二人ともほぼ限界まで鍵を発現させ、その力の全てを振るっていた。
対となる住人と狩人は、似たような鍵を持つことが多い。直人の左目に現れ
る銀色のコンタクトレンズ「月の瞳」と、日向の右目の「太陽の瞳」。どちら
もかつては実在したが、今では彼らの意志で出現させる以外に見ることは出来
ない。
日向 :「俺の力を俺のために使うのが不満か? お前に意見され
:る覚えはねぇぜぇっ!」
日向が後ろに何かを投げる。それは金属音をたてて数度跳ね、爆風と閃光を
撒き散らした。
直人 :「ちっ……!」
計算通りの背後の爆風に乗って間合いを詰める日向。直人は閃光と正面から
の爆風で動きが一瞬遅れた。
日向 :「ひゃあっはははは!」
SE :ピシッ……ズッ
日向 :「!……」
体勢を崩している直人に向かって命を吸い取る日向の右腕が伸びる。しかし
直人の目の前に踏み込んだ日向の足跡が、突然砂と変わって沈み込んだ。直人
の能力「物体崩壊」で道路のコンクリートを砂に変えたのである。
体勢が崩れた日向の右腕をかろうじてかわし、間合いを取る直人。まだ視力
は回復していない。
しかし続けて放たれた日向の「生命の矢」も、直人は軽くステップを踏んで
かわした。
日向 :「……ほう……目潰しは効かないってか……くくくっ」
遭遇
----
直人 :「物体の感知を応用すれば、難しいことじゃ……ッ!」
SE :ズンッ
直人 :「!っ」(ピキッ)
直人が弾けたように右に飛ぶ。その場所が数センチほど円形に沈み込む。残っ
た直人の左足が軽い音を立てて奇妙な方向にねじれた。着地をするも左足の支
えを失い、地面に倒れる。
?? :「よけたか……反応速度は悪くないようだな」
低い男の声が上空から聞こえる。二人が見上げたそこには黒いスーツ姿の長
髪の男がいた。腕を組み、品定めをするように二人を見下ろしている。足元に
は当然何も無い。
直人 :「まさかっ……」
スーツの男 :「回復能力は通常……次は耐久力でも……」(ドゥゥンッ!)
スーツの男が突然爆炎に包まれる。
日向 :「人の楽しみを邪魔するんじゃねぇよ! うせなっ!」
日向の投げ上げた数個の爆弾が周囲で同時に爆発したのだ。指向性を持たせ、
小型ながらも威力が集中するように作られている。普通の人間ならば跡形も残
らない。
スーツの男 :「人の技術か……煙幕としては効果的だな」
煙の中でも微動だにせずにたたずむ男。スーツにも埃一つついていない。
日向 :「……ほほう……(くくくっ)」
直人 :「やはり……堕とし子か……っ」
日向 :「あれが堕とし子ってやつか、少しは楽しめそうだなぁ……
:くくくくっ」
直人 :「奴等は鍵を通した攻撃でないと倒せない」
痛みをこらえ、直人も立ち上がる。
堕とし子 :「同質の鍵……これが対というやつか……興味深いな」
:(ぶんっ)
右腕を一降りすると、そこに奇妙な意匠の指貫の手袋が現れる。黒い生地に
宝石や牙のようなアクセサリがついているが、その全ては赤。
日向 :「直人、お前はあいつの後で料理してやる。そこで指加え
:てみてるんだな!」
堕とし子 :「なかなか好戦的だ……どれ」
堕とし子は足場が突然なくなったかのように落下を始める。地面の直前でふ
わりと減速するとそのまま着地した。
堕とし子 :「来い……」(じゃらっ)
男は左腕をスーツのポケットにおさめ、右腕だけをあげて構えた。
前哨戦
------
日向 :「いくぜぇっ! ひゃあっはははは!」
嬌声を上げながら日向が間合いを詰める。体術は人並み。しゃがみ込みつつ
堕とし子の腹部へと腕を伸ばす。
堕とし子 :「体術は人並み。攻撃も無駄が多い」
宝石のちりばめられた手袋で防御する堕とし子。衝撃は完全に殺されている。
ズグンッ
堕とし子の体が細かく震える。しかし、驚愕の表情を浮かべたのは日向であっ
た。
日向 :「なっ!」
堕とし子 :「生気吸収か? それにより体力を回復させたか」
日向 :「ちっ」
間合いを取る日向。堕とし子の足元に残した爆弾が爆炎を上方に吹き上げる。
堕とし子 :「またも目くらましか? 戦術に幅が無い」
直人 :「駄目だ! 鍵を通さない爆薬じゃあ影響は与えられない!」
日向 :「うるせえ! 黙ってみてろ!」
堕とし子 :「防御体術は……どうか?」(間合いを詰める)
日向 :「ちぃっ!」
直人 :「くっ」(地面に手をつく)
SE :ビシッ
堕とし子の次の一歩が踏み出される場所が砂と化し、そのわずか前方ではが
れたコンクリート片が立ちふさがる。
しかし、堕とし子は地面があるかのように踏み込み、右腕でふすまを開くか
のごとくコンクリート編をどかして進む。
日向 :(くふぅっ)
腹部を拳が叩き込まれ、うめき声さえも上げられずに後ろに吹っ飛ぶ日向。
堕とし子 :「体術の防御も素人……か……ん?」
SE :ボシュゥゥッ!
日向が地面に叩き付けられるのを見届けた堕とし子が、白い爆発と竜巻のよ
うなうねりに撒き込まれる。
堕とし子 :「くああああぁっ!」
右腕の一振と気のこもる呼気のみで、光の本流をかき消した。
堕とし子 :「殴られている間に懐に仕掛けたか。しかも、先ほどまで
:の目くらましとは別物だな」
日向 :「へっ……俺の世界専用の生命力爆薬だ、直人をいたぶる
:ための取って置きだったがな。くくくくっ」(起き上がる
:が、顔を顰める)
堕とし子 :「鍵……か、やはり鍵を持つものは、我らを滅ぼす資格を
:持つか」
日向 :「偉そうな口利きの割には、たいして効いてないねぇ……
:くくくっ。アバラの2、3本くらいはくれてやろうと思っ
:たがよ」
堕とし子 :「当然だ、筋肉の一番厚いところを狙ったのだからな。そ
:れでもそのダメージ。肉体はやはり脆弱か」
日向 :「……てめぇ……」
応援を呼ぼう
------------
一連の状況を結界の外から透視し、観察している人物がいた。
珠希 :(買い出しの途中で人ほっぽっといて厄介事おこさないで
:よねー)
バイトとして直人の買い出しに付き合っている最中、当の本人が切羽詰まっ
た面構えで駆け出していったのがほんの5分前のことだ。そしてようやく見つ
けだしたと思ったら事態は急転していた。桜居珠希はそのことに驚くというよ
りはあきれた。こうも戦いのきっかけがありふれているものか。
珠希の結界能力は直人のそれより数段劣る。そのために発見に遅れ事態に取
り残された事は悔やまれた。
珠希 :(わざわざ置いていったのは、ついてくんなってことか)
中野での一件以来、直人が自分に対して慎重になっていると感じるのは、珠
希の自信が揺らいでいるからだでけではないのだろう。
珠希 :「実際今飛び出してもどうにもならなそうっすねぇ、これ
:は。となれば……」
嘆息のかわりにつぶやく。そしてケータイを取り出し友人を呼ぶ。この状況
を一気に覆しうる戦力で、なおかつそろそろ引き合わせようと思っていたとこ
ろだったりした。丁度いい。
朝霞家
------
友人からの呼び出し、用件はちょっと特異なこと
有希 :「お姉ちゃん、力を貸して」
沙希 :「力?、そうか前に言ってた子だな?」
有希 :「うん」
戦場
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有希 :「珠ちゃん!」
珠希 :「あ、来たわね。アレに加勢してやってくれない?私の力
:じゃ相性悪そうなんだわ」
沙希 :「でかいフィールドだな、それにアレは……デーモンか?」
有希 :「デーモンだとしたら……」
沙希 :「狩る必要があるな、奴らは危険だ」
有希 :「よし、行こうっ」
沙希 :「OK」
結界へ干渉をかけ進入する姉妹
珠希 :「たのんだよ……」
結界内
------
直人 :「侵入者……(だれだ?)」
沙希 :「先制攻撃を仕掛れるぞ」
有希 :「ラジャー」
堕とし子より少し離れたビルの屋上に立つ二人
沙希 :「あの脳筋に気づかれないうちに片づけよう」
彼女らの対の神父のことを沙希はこう呼ぶ。脳まで筋肉で出来ているらしい。
有希 :「魔法回路オープン、いくよー」
有希の一言で体中に呪文が浮かび上がる
沙希&有希 :「消えろ!」
直後、堕とし子と日向の間に光が生まれそれに包まれる
ラウンド 2
------------
堕とし子&日向:「ふうぅぅっ」
同音異義の息を吐く日向と堕とし子。二人を包んだ光は、しっかりと堕とし
子だけに衝撃を与えていた。
日向 :「何だ……?」
堕とし子 :「住人……それも、2体か……この一帯に集中して生息す
:るというのは本当らしいな」
堕とし子がビルの屋上をにらむ。右腕を振ると周囲のコンクリート片がはが
れ、有希と沙希の方へ狙いをつける。
直人 :「くっ……」
慌てて集中しようとした直人の方は振り返りもしない堕とし子。しかし、直
人の身体は突如後方に飛ばされる。
直人 :「(落ちるっ?)」
真横に向かって落下するかのように吹き飛ぶ直人。十数m先はビルの壁であ
る。かろうじて地面に捕まり、真横への落下を逃れたが、またも折った左足に
激痛が走った。
堕とし子 :「遠距離攻撃力は上位……防御、耐久はどうか……?」
右手を大きく振ると、はがれたコンクリート片は重力バランスを変えられ、
有希と沙希の方へと“落下”を始めた。
有希 :「重力操作!」
沙希 :「石なら石で、我が意に従え……」
有希&沙希 :「ストーンゴーレムっ!」
SE :「ゴゴゴゴゴゴ」
魔法の発動とともに足下のビルが轟音を轟かせつつ形を変え始める、まずは
腕、が出現し飛来する石塊をたたき落とす。
沙希 :「あーっはっはっは、どうだこの大きさ、このパワー!」
有希 :「あの人は?」
沙希 :「治癒は得意だろ?」
有希 :「かかればいいけど……回復せよ、大治癒!」
派手な身振りとともに腕を直人に向かって突き出す、魔法が発動され体の呪
紋が蠢く
直人 :「これは……」
何者かに抱かれるような暖かみを感じる直人
直人 :「痛みが消えてゆく……味方なのか?」
かすかな光に包まれさっきまでの激痛が薄らいでゆく
沙希 :「潰れてしまえ、デーモンよ」
ゴーレム :「ゴゴゴゴゴ」
ゴーレムへの命令を冷たく言い放つ沙希、主の名に従いゴーレムは堕とし子
へと足を進める。
堕とし子 :「魔術……か。無生物の集合体を操るとはな」(じゃらっ)
堕とし子が三度右腕を振るう。手袋の宝石が怪しく光り、ふわ……とビル
ゴーレムが宙に浮く。
有希 :「あ……あれっ?」
沙希 :「重力を消されたかっ!」
ゴーレムだけが宇宙空間にいるかのように、足を踏み出した途端に上空へ舞
い上がる。腕や足をばたつかせても、身体の向きが変わるだけで着地できない。
下手をすると重力に縛られている有希と沙希だけが振り落とされてしまう。
直人 :「日向! 奴の集中を!」
ゴーレムを浮かせた途端、重力が戻った直人が素早く立ち上がり、堕とし子
との間合いを詰める。足の痛みは感じない。
日向 :「俺に指図するんじゃねぇっ!」
言いながらも日向も同時に間合いを詰め、殴り掛かる。
触れれば物体を崩壊させる直人の拳。命を吸い取る日向の拳だが、その二人
を相手にわずかなステップと上体の動きだけでかわす堕とし子。
直人 :「くっ……」
堕とし子 :「人並みの格闘能力しかないか……」
日向 :「あめぇっ!」
日向がくりだす拳とは別に、彼のからだから光の筋が延び、堕とし子を狙う。
他人の生命力を使う「命の矢」だが、元々は自分の生命を使う技なのだ。だが、
元々は彼の技ではない。効率が悪いのだ。
堕とし子 :「……」(がっ)
その光も避けようとした堕とし子の足元のコンクリートがわずかに盛り上が
り、堕とし子のバランスを崩す。
二人の拳は避けたものの、日向から出る光は避けきれず、左腕で受け止めた。
沙希 :「! 重力が戻った!」
有希 :「お姉ちゃん、あれを使おうっ! そこの二人離れてっ!」
上空の声に素早く反応する直人と日向。直人は去り際に堕とし子の足をコン
クリートで固めることも忘れない。
有希 :「いけっ、ゴーレム」
沙希 :「敵を滅ぼせ!」
飛行の術をゴーレムにかけ、自重に更に加速をつけてとび蹴りを放つ。
SE :ドゴォォォンッ
大量の砂煙と轟音、地面を揺るがす振動。そこからはじかれるように飛ばさ
れた人影は、別のビルの壁面に叩き付けられた。
沙希 :「ぎりぎりでかわされた?!」
堕とし子 :「鍵の力を纏う人形……威力は高いな」
壁に叩き付けられた堕とし子のスーツは埃にまみれ所々破けている。顔色に
変化はないが、動きはぎこちない。
堕とし子 :「石人形の性能は把握した。もう用はない」
自分がたたきつかられたビルの壁の小さなかけらを握り締め、無造作にゴー
レムに投げつけた。
有希 :「なによ? そんなものが効くとでも」
直人 :「(はっ!)避けて! そいつはただの石じゃ無くなる!」
沙希 :「くっ……足がいかれちまってる!」
小石はそのままのスピードでゴーレムに当たる。
SE :ドガァッ!
当たった小石は防ごうとしたゴーレムの腕を破壊し、そのまま胸のあたりに
大穴を開けた。
有希 :「うわわっ」
沙希 :「有希っ」
崩れるゴーレムから飛び降りる二人。
日向 :「こいつあ……?」
直人 :「小石の質量だけを高めたんでしょう。エネルギーは重さ
:に比例する。あれくらいの速度でも何万トンもの物体なら
:ば威力は計り知れない」
直人も度々使う手である。もっとも、彼の場合は元々大きかった物体の一部
を投げ付け、再生させることで重さを増すのだが。
堕とし子 :「4体か。都合よく集まったものだな」
ビルに半ば埋まっていた体を引き剥がし、ゆっくりと歩いてくる。
沙希 :「マスター……」
直人 :「沙希さん……貴方も住人だったとは。話は後にしましょ
:う」
沙希 :「ああ、そうだね」
堕とし子 :「さて……次だ」
**********************
次がラウンド3です。
……ときに、堕とし子でも首があるなぁ……とか思ったり。
珠希さんの首狩りは、殺す訳ではないんでしたよね? んで、堕とし子は
死ぬと黒い塵になるので……。いけるかな……とね。
続き、流しますです。チェックの方はよろしくお願いします。
ではまた