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Date: Fri, 13 Apr 2001 02:16:44 +0900
From: 夜月 天星 <nmhs@kun.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 21539] [WP01P] 十字架
To: 語り部ML <kataribe-ml@trpg.net>
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語り部サイトの50000HITを記念して、新堂留無(一応、WP01所属)の
へたれ絵をかいたのですが、留無の紹介EPが無いと言うことで、
これを書きました(汗) 書いたのは少し前ですので、見直しは結構やってます。
でも間違ってるところとか、修正するところとかは多分沢山あると思いますので、
私の拙筆な文章ですが、御目通しお願い申し上げます(礼)
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エピソード『十字架』
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登場人物
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駕樋 怜(がとう・れい) : 若き吸血鬼。警察に追われる身。住人。
新堂 理香子(しんどう・りかこ) : 人間。留無の母。
新堂 留無(しんどう・るな) : ヴァンパイアハンター。駕樋怜の対。
ヘッドコレクター : 頭が複数ある怪人。桜居珠希の対で狩人。
化け物 : 堕とし子? 巨大な一つ目の獣の姿。能力不明。
喫茶店より
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美味しい珈琲だ。今まで飲んだ中で一番かもしれない。だが、のんびりとし
てもいられない。新堂留無は席を立つと、カウンターで珈琲代を払い、店を出
る。
この喫茶店の周辺から異様な気を感じたのだが、……気のせいだったのだろ
うか……何も起こらない。
留無 :「さてと……」
留無はスクーターに乗ると、制限速度を守って走り出した。
電柱より
--------
一匹の蝙蝠が白昼堂々と電柱に止まった。……奇妙な光景である。蝙蝠は首
をくるくると回し、辺りを探っているように見える。都会の真ん中でその光景
に目を止めるものがいればそう思っただろう。
怜 :「異常無し……か……」
蝙蝠は呟き、そしてまた飛び立った。
家より
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SE :「ガラガラガラッ……」
理香子 :「おかえりなさい」
留無の母は玄関のほうに声をかけた。
留無 :「ただいま、お母さん」
留無は家に入ると、台所へとおもむく。
理香子 :「今日は早いわね。どうした……ごほっ、ごほっ……」
留無 :「ああ、もう。お母さん! 調子がよく無いんだから、寝
:てて」
留無は母を床の間に押し戻した。
理香子 :「で、でも、留無……ごほ、ごほっ……」
留無 :「ほらぁ、もう……寝てて、お願い」
留無は母に布団をかぶせると、床の間を出た。
理香子 :「る、留無……ダメよ、あなた……」
留無は、そんな母の言葉に耳をかさずに台所のまな板の前に立つ。
留無 :「はぁ〜っ……やぁっ!!」
留無の『死闘』が始まった。まな板の上を転がるじゃが芋を微塵切りにし、
人参を微塵切りにし、玉葱を微塵切りにし……。
全ての材料は文字通り、微塵となった。
留無 :「ふぅ……」
留無の母、理香子は『まな板が切れないこと』と……。
異世界生物 :「あんぎゃ〜〜〜〜〜!!!!」
『異世界生物が召喚されないこと』を祈るのみ……だったが、時すでに遅
かったようだ。この世のものでは無い叫び声が家の中に轟いた。
留無 :「う、うわっ! 暴れるな、カレー!!」
理香子 :(……普通、カレーは暴れないわよね)
SE :「ドカッバキッ……ウジュジュジュジュ!!!」
どうやら『また』やってしまったらしい。留無の父親も料理が超弩級に下手
だったが、まさか留無までとは思っていなかった。これに気づいたのは、三年
前だ。最初は『沢山のゴブリン』を呼び出す程度の『可愛いもの』だったが、
最近では『ドラゴン』や『ガーゴイル』が出てくる始末だ。いつ『料理』に殺
されてもおかしくない。だから止めたのだが……。
SE :「ドカ! バキッ!! ズシャッ!!」
だんだん、『変な声』がしなくなってきている。今日はブロブ三体でも召喚
したのだろう。
理香子 :「まったく……お父さんに似て、料理が下手なんだから」
留無の母は布団から出ると、顔に手を当てて、台所へと向かう。
留無 :「えーっと……」
理香子 :「留無」
理香子は微笑み、理奈の手から包丁をとると、目の前の異世界生物を3枚お
ろしにする。
理香子 :「ダメよ、留無」
留無 :「……ごめんなさい」
理香子 :「料理だけは私がやりますからね、留無」
留無 :「うん……でも無理しないでね」
理香子の料理の腕はプロも舌をまくほどである。『敵』を捌いてから、わず
か十分程でいい匂いがしてきた。
ちなみに『敵』がどうなったかは、あえて伏せておく。
留無 :「ねぇ……お母さん」
理香子 :「なぁに?」
留無は黙って、母の背中を見つめている。
理香子は振りかえらず、重ねて問う。
理香子 :「なぁに?」
留無 :「私、料理できるようになるかな?」
理香子は吹き出すと、笑い声を噛み殺した。
理香子 :「死人が出てもいいのかしら」
さらっと恐ろしいことを言っている。
留無 :「うぅ、お母さんの意地悪」
理香子 :「ふふっ……でも、お母さんならいつでも手伝ってあげる
:からね」
留無 :「うん……ありがとう」
笑い声より
----------
十二の頭を揺らし、約三メートルはあろうかと言う巨大な影が橋の上に突如
現れたのは、いつからだっただろうか。
ヘッドコレクター:「ハハハ……」
若い男の首が歓喜の笑い声をあげた。
ヘッドコレクター:「クケクケクケクケ……」
老婆の首が奇声をあげる。
ヘッドコレクター:「さぁ、私と一緒になりましょう」
若い女性の首は、目の前で震えるカップルに声をかけた。二十歳ぐらいの若
いカップルだ。横には真っ二つに裂かれ、半身を失った乗用車が炎上し、辺り
を明るく照らしている。
ヘッドコレクター:「さア、ワレらとトモに」
機械のような声をどれかの首が出した。男女はその声をどの口が発したのか
あまりの恐怖で憶えていない。巨大な鎌がゆっくりと振り上げられたのだけは
見えた。
ヘッドコレクター:「さァッ」
一番上に位置する女性の首がぐりっと一回転した。
首が一周する間に、首は十四個に増えていた。鎌には微かに血の跡が残って
いる。
ヘッドコレクター:「新しい仲間、ヨウコソ」
幼い子供の首が図太い大人の声で右の首に挨拶した。新しい首は自己紹介を
始める。
ヘッドコレクター:「……真の安ラぎを……」
巨大な影は消え、そこには首のない二つの死体と、真っ二つの車だけが残存
していた。
夜より
------
結界……? 俺の得意とする夜で俺を取り込もうとする愚か者を探す。結界
の中心に何者かの気配を感じる。俺は結界の中心へと走る。
化け物 :「ゲハ……」
化け物。そうとしか例えようのない一つ目の獣が俺を睨んだ。鬣か体毛かは
知らないが、それは逆立ち、怒っているように見える。これが堕とし子と言う
奴なのだろうか? 初めて見た堕とし子は、まさしく災厄からの刺客と言うの
にふさわしい姿格好だった。
……堕とし子は鍵を具現化しての攻撃でないと攻撃の効果は無いと聞いてい
る。俺は静かに右手を掲げる。
怜 :「我が闇を司る鍵よ……出でよ」
黒の鞭……闇色の触手が無数に怜の右腕から出現し、のた打ち回る。
化け物は、はぁっと息をでかい鼻の穴から吐くと、五メートルはあろうと言
う巨体で上空に飛び跳ねた。
……五、十……十五……大体十五メートルぐらい飛んだところで怪物は宙に
滞空した。怜も宙に浮く。
怜 :「フッ……」
マントを取り出すと、羽織る。風に揺られ、マントがはためく。
化け物 :「シュッ」
化け物は滞空したまま、唾を吐きかけてきた。怜はそれを鞭で叩き落とす。
落ちた唾は黒い道路を溶かしていく。
怜 :「くだらん……消えろ……」
黒の鞭が伸び、化け物の左足を掴む。そのまま力任せに振りまわすと、地面
に墜落させる。
アスファルトの地面が大きく抉れ、化け物は地に伏した。
化け物 :「……グルルルル」
化け物は青かった目を赤くし、こちらに突然飛びかかってきた。中々の素早
さだが、体が大きい分、その攻撃は予測しやすい。
怜 :「甘い……」
怜は自分の指を素早く鞭で裂く。真紅の筋が月夜の闇に線を引く。
怜 :「血動……裂っ」
左腕を勢いよく化け物に振りかざすと、紅き筋は鋼鉄よりも更に硬い超硬度
を持って、化け物の左肩を切り裂いた。化け物はそのままバランスを崩し、地
に再び伏す。
怜 :「……雑魚が……」
怜は勝利を確信し、再び血動を使用した。紅き刃が化け物に届く……その瞬
間だった。
怜 :「ガッ!?」
突然、腹部に痛みが生じる。怜は痛覚無視できる体質の持ち主だ。だがそれ
を貫いたとなると……。
怜の腹部に巨大な爪痕が深々と刻まれていた。三つの切り口から、止めど無
く血が流れ落ちる。一般人なら、すでにショック死しているだろう。
怜 :「グハッ……」
血動を慌てて発動し、血を止めたが……再び戦えるようになるには自分の再
生能力を信じるしかない。
怜 :「クッ……」
かなりの血を失ってしまった。意識が朦朧とする。
化け物の勝ち鬨が聞こえる。風が傷痕を撫でる。
意識がだんだん消えていく。
怜 :「グッ……」
膝からがっくりと崩れ落ちると、怜は倒れた。
化け物は涎を巨大な口からたらしながら怜に近づくと巨大な脚で怜の右腕を
押し潰した。
グシャッと言う汚い音と共に怜の右腕は潰された。白い骨が切断部から見え
ている。切断部から血が溢れ出る。道路が紅く染まる。
怜 :「……」
怜は既に気を失っていた。頭の中で母や、よく憶えていない父のことが浮か
び、そして消えた。
終わったな。そう夢の中で確信したときだった。
凛とした声が闇に響いた。
女性の声 :「邪なる者よ、立ち去れ。汝が居るべき場所は……無」
女の声だった。どこか懐かしい気がする。
女性の声 :「はぁっ!!」
金属音が闇に響いた。その後、ドシャッと何かが落ちた音がした。
何があったのだろうか……?
ジャリッ。
何も言わない足音が俺の目の前で起こった。あの女性は、やられたのだろう
か。そう言えば、結界が張ってあったはずだ。それを潜り抜けたと言うことは、
さっきの女性は狩人か住人か……もしくは堕とし子か。
女性の声 :「あの……死んでます?」
右腕を失い、血が溢れ出ている。もう死んでいるだろう。そう思ったが……
返事は弱々しいが、意外にも返ってきた。
怜 :「生きて……いる」
だが、すでに虫の息と言った感じだ。濡れた髪から鮮血が滴り落ち、その両
目の瞼は硬く閉じられている。
女性の声 :「きゅ、救急車を呼びますっ!」
怜 :「ダメだ……」
女性の声 :「え?」
この女性になら話してもいい気がする。怜の直感はそう告げていた。
怜 :「……俺は殺人者……脱獄し、今は逃げて……ガハッ」
いつもなら血液で満たされた水筒は、今日に限って空だ。まぁ、飲んだとこ
ろで通常の二倍の速度で傷が癒えるだけだ。先に俺の命は無くなるだろう。
怜 :「吸血鬼を……信じるか?」
俺は突然、女性に質問する。
女性 :「……ええ……」
何か動揺したように、声が震えている。何があったのだろうか。
怜 :「血が……最後に血が欲しい……」
俺は突然なにを言っているのだろうか。この女性に血をくれと言っているよ
うなものだ。
だが女性は意外な返事を返してきた。
女性 :「貴方の名前は?」
怜 :「お、俺は……ガハッ……」
:(もうダメだ……)
女性 :「……いかに私がヴァンパイアハンターであろうとも……
:人間としての情はあるつもり……私の血を吸うと体が滅び
:るけど……それでいいなら……」
吸血鬼を狩る者、ヴァンパイアハンター。彼女の血は聖なる流れ。ある意味
聖水よりも神聖な流れ、液体。
これを吸血すると言うことはヴァンパイアにとって、聖水の濃いやつを吸う
ことなのだ。絶対の滅びを免れることは無い。
女性 :「……」
怜 :(ヴァンパイアハンター?)
もう考えがまとまらない怜の頬を、そのとき、ひやりとした女性の腕が撫で
た。
SE :(ドクンッ)
心臓が大きく鼓動する。
怜は目を閉じたまま、その手に牙を立てると、血を……最後の晩餐を食す。
女性 :「あっ……うっ……くっ……あぁ……」
怜 :(これは……!?)
ドクンッと心臓が大きく一度唸った。女性の血が怜の中を巡る。体が熱くな
り、心臓が波打つ。
女性 :「そんな……」
女性は驚愕の声をあげている。
それは……そうだろう、満身創痍だった怜が立ちあがったのだ。
夜の空気を胸一杯に吸い込むと満足したように怜は目を開けた。
いつのまにか右腕も元に戻っている。
怜 :(これは……なんだ?)
通常の再生能力を飛躍的に上昇させる、血を持つ女。
怜 :「……」
怜はゆっくりと後ろを振り向いた。
……そこには細く光る銀の糸……銀髪の女性が剣を構えて立っていた。顔が
少し蒼白している。怜が血を吸ったためだろう。
怜と同じ紅き瞳が、怜を睨む。
怜は、こいつが同族だとすぐに察知した。
女性 :「貴方が……私の兄なのね……」
迂闊だった。私と同じ血を引く者。そして吸血鬼の血が勝った者。私の血が
いかに神聖なものと言え、同族の、それも血の配合率がほぼ同じ者に自分の血
を与えてしまうと能力を上昇させてしまうのだ。……本当に迂闊だった。髪が
血に濡れて、赤色だったために銀髪に気づかず、塞がれていた両眼のために紅
き瞳にも気づけなかった。私は取り返しのつかないことをしてしまった。しか
し……それでも……私はこの者を消滅させなければならない。
怜 :「……なんだ……と?」
女性 :「私の名前は留無。新堂留無。貴方を殺すために父に誇り
:高きヴァンパイアハンターとして育てられた者」
怜は目を細め、話を聞いている。
怜 :「俺の母には俺以外に子供は……」
新堂と名を名乗ったこの女……つまり親父の……。
留無 :「……そこから先は問題じゃない」
冷たく言うと、留無は長剣を構え直す。スカートが風に揺られ、パタパタと
音を鳴らしている。
留無 :「問題は……今……私が貴方と対峙している事……そして
:貴方と言う存在はこの世に居てはいけないと言う事」
怜の銀髪は驚異的なスピードで生え変わり、元の銀色に戻っている。
留無 :「そして……父の意思は貴方の消滅にあること!」
留無は剣に聖水を浴びせると、怜に突っ込む。
留無 :「はぁっ!!」
横へのなぎ払いを怜はギリギリでかわす。
留無 :「くっ!」
速い。……予想以上に強い。なぜあの程度の化け物にやられてしまったのか
わからない。それとも私の血は、かなりの力をこの者に与えてしまったのだろ
うか。
怜 :「……」
怜は不思議な感覚を感じていた。父と共に居るような……そんな懐かしい感
覚。
半月が見守る闇の中、二人の戦いは、まだ始まったばかりだった。
冷たい運命より
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まだ留無と怜は戦っていた。剣で斬りかかり、鞭で受け、鞭で打ち返し、剣
で斬る。
その時、変な気配がし、二人は周囲を警戒した。
ヘッドコレクター:「わぁ、発見、発見」
無邪気な子供の声が頭上でした。
怜と留無は瞬時に離れ、上空を見上げる。そこには複数の首をつけた洋服が
鎌を構えて浮いていた。
留無 :「なに……こいつ!?」
留無は剣を構えると、鍵を具現化する。
キィィィンと言う耳鳴りと共に留無の右腕から無数の白い触手が暴れ出す。
怜 :(あれは……俺と同じ鍵!? 俺の対と言うのか!)
ヘッドコレクター:「わぁ、面白い。でも今は君達の相手をしてられないな」
ヘッドコレクターは、すっと横に移動すると、化け物の死体に覆い被さる。
SE :「ズルル……ゴキュッ」
巨大な化け物の死体はミキサーにかけたようにぐちゃちゃになり、ヘッドコ
レクターの服の中に収まってしまう。
ヘッドコレクター:「パワーぜんかーい」
怜 :「なんだ……こいつ」
ヘッドコレクター:「アハハ、今度は相手、してあげる。マタね」
首の一つである中年の女性は笑いながらそう言うと、巨大な怪人は消えてし
まった。
留無 :「なに……今の」
怜 :「……」
留無は色々考えが浮かんだ……が、今、目前にある機会を見逃すほど馬鹿では
無い。母の調子がいいうちに……それも母が寝ている夜のうちに、事を成し遂
げなくては。
留無 :「もう……死んで貰うから」
怜 :「……」
二人の紅き視線が空中でぶつかる。
ドクン、ドクンと心臓の鼓動が早くなり、何も聞こえなくなる。
怜 :(このまま殺されてもいいかもしれない……)
だが、均衡を破ったのは、留無の剣でも、怜の鞭でもなかった。留無の頭に
響く不協和音。それが均衡を破った。
留無 :「……あっ……そんな……お母さん!!」
怜 :「!?」
突然、留無の姿が消える。……どうやら結界を解き、瞬間移動で……移動し
たのだろう。逃げた……とは思えないが……お母さんとは?
半月を見上げ、怜は自分の傷痕を撫でた。
そしてゆっくり銀狼の姿に変化すると、狼は月に吼えた。
怜 :(親父は、俺を殺そうとしている。親父の娘は、俺を殺そ
:うとしている。俺は、親父からも追われるのか。俺は、自
:分の妹からも追われるのか。しかも妹は俺の対……)
怜は運命を呪い、再び吼えた。
『無駄だ』と闇が震え、笑っていた。
誇りより使命より消滅より
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私はスクーターに乗ると、家に向かって飛ばす。風が髪を撫でる。交通規則
など守っていられない。
留無 :「お母さん!お母さん!」
家に着くと裏口から、こっそりと家に入る。そして母の部屋に走る。
留無 :「お母さん!」
バンッと音を立てて、留無は母の部屋の襖を開け放つ。
理香子 :「る……な……はぁはぁ……」
やはり……発作が起きている。急がなくては。
留無 :「お母さん、待ってて。すぐ良くなるから」
留無は鍵を発動させると、聖水を右手にかける。そしてその手を母の額に当
てる。
留無 :「我が聖なる力を司りし鍵よ。母なる雫を泉を潤す糧とな
:せ……聖動!」
シュウッと留無の腕より聖水が理香子の額に染み込む。
そしてみるみるうちに留無の母は顔色が良くなっていく。
留無 :「よかった……間に合った……」
留無は疲れ果て、母の胸に倒れた。
留無 :「お母さん……」
:(私、まだ兄さんがいてほしいって思ってる……)
暗い部屋の中で二人の寝息が重なりあっていた。
窓の外の月は、もう沈みかけていた。
時系列と舞台
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1999(2nd)11月の初め頃の出来事。
あとがき
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ヘッドコレクターがいい味出してる、キャラと絡めたい、とか無謀なことを
思ったのは私だけの様で(爆) かく言う私も結局、あまりヘッドコレクター
を出して無いような(笑) ま、まぁ、この際、気にしないと言うことで。
新堂留無の登場ですが……怜の対で異母兄妹、父殺し経験済み、母は病気と
かなり複雑な女性です。大人です、ちなみに。アルバイトも2つこなしていま
す。でも貧乏です。文中にもあったように、母が大好きです。母が好きなのが
対を消滅させると言う理由無き使命を無理矢理抑えているので、他の狩人と違
い(?)、暴走していません。彼女の父親もかなり苦労して抑えていたのが役
に立ってもいます(その辺は他のお話しで)。
怜は今回腕をちぎられて、死ぬとかなんとかぬかしていますが、彼はコアを
破壊されない限り死なないので、本当は死にませんが、死んだこと(?)がな
いので知らないのです。
それにしても、自分で設定して、自分で書いといて世話無いですが、異母兄
妹の血を吸って復活するって……なんか背徳的ですね(縛)
なんか長編になりましたが一応、新堂留無の紹介EPです。
起きた変化
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駕樋怜の全能力上昇(同族の血を吸った為。能力値に変化は無い)。
駕樋怜が留無について知る。
駕樋怜が堕とし子とはどんなものか知る。
新堂留無が怜の顔を知る。
新堂留無が『月影』に目をつける。
新堂留無が『兄への想い』を心の底より見つける。
追加される設定
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なし。
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ヘコ、大好きです、ラブ(縛死)
実はこうやってヘコは強くなるんですよー(嘘)
ああ、すいません、かってに……。
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NMHSこと、夜月天星
nmhs@kun.ne.jp