[KATARIBE 21353] [WP01P] エピソード捜索

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Date: Fri, 2 Mar 2001 14:32:57 +0900 (JST)
From: ソード  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 21353] [WP01P] エピソード捜索 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200103020532.OAA85488@www.mahoroba.ne.jp>
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2001年03月02日:14時32分56秒
Sub:[WP01P]エピソード捜索:
From:ソード


 こんにちは、ソードです。

 終末の住人のエピソード「捜索」です。
 「消えた?!」の続編として半年くらい前に動き出し、止まっておりました(汗

 まとめと追加分を流します。長文失礼。

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エピソード『捜索』
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登場人物
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月島直人(つきしま・なおと)
    :喫茶『月影』のマスター。終末の住人。
桜居珠希(さくらい・たまき)
    :喫茶『月影』のウェイトレス。社会的には高校2年生。終末の住人。
藤田一弥(ふじた・かずや) 
    :月影の上に事務所を持つ探偵。終末の住人。

捜索依頼=探偵=
----------------

 一弥     :「人探し……か?」
 直人     :「ええ……ですが、おそらく見つかりません」

 月影のあるビルの3階。ここには、一弥の経営する探偵事務所がある。

 一弥     :「見つからないものを探せというのか?」
 直人     :「素性と、足跡を追ってもらえれば……」
 一弥     :「報酬は?」

 受ける……ということである。

 直人     :「いつものように」

 直人は、そう言って、苦笑を浮かべる一弥に微笑んだ。
 そのまま、事務所を出て喫茶店に戻る。そろそろ開店しなければならない。


捜索依頼=女子高生=
--------------------
 直人     :「あ、珠希さん」
 珠希     :「なに?」

 仕事がひと段落した後、直人はグラスを拭きながらウェイトレスを呼び止めた。

 直人     :「明日から、ここにはこなくて良いですから」
 珠希     :「ええっ!」

 珠希の方は見ずに言う。珠希からは表情が見えないため、不安を誘う。

 珠希     :「クビ? あたし、なんかへまやった?」
 直人     :「違います。ちょっと、調べてもらいたいことがありまして
        :ね。時給は、同じだけ出しますから」
 珠希     :「あー、そゆこと。まぎらわしい言い方しないでよね」
 直人     :「調べるのは、松本智子さんの事です」
 珠希     :「……なるほどね」

 珠希の表情から、安堵と、笑みが消えた。
 松本智子とは、年末まで月影の常連であった女子高生だ。そして、今年も4月
になれば常連になるはずだった。
 しかし、彼女の姿は見えない。彼女といつもともにいる友人は、彼女が「消え
た」とこともなげに話した。
 違和感は、覚えていない。違和感を覚えたのは、直人たち終末の住人のみ……。

 直人     :「逐次、報告をお願いします。場合によっては、竜也を連れ
        :ていってかまいません。彼は、私よりは戦えますから」

 つまり、そこそこ荒事になる……ということだ。

 珠希     :「まあ、本当にやばそうだったらね」

 珠希は一つ呼吸を付くと、皿洗いの作業に戻った。


松本智子宅
----------
 東京都北区。赤羽駅からしばし歩いた閑静な住宅街。あと川を越えれば埼玉
県、という位置に松本智子の自宅はあった。彼女は両親と弟、家族四人で暮ら
していたそうでさほど広い敷地ではないかわりに三階建のなかなかいい家だっ
た。小さな庭はこまめに手入れもしてあるようで、家族の方はなんの変化もな
く生活を続けている事がうかがえる。

 珠希     :「あー、どうも。私智子ちゃんの友達の桜居っていうんで
        :すけど」

 珠希はチャイムをならし、インターホンに向かってそう言った。すぐに智子
の母と思われる中年の女性が出てくる。まあ、いたって普通のおばさんという
感じ。

 智子の母   :「智子のお友達? 悪いわねえ、智子今いないのよ」
 珠希     :「ああ、そうなんですかー。実はちょっと貸してるCDが
        :ありまして、返してもらいに来たんですけど」

 予想通りの反応。「今」いないのではなくもうずっといないのであろう、彼
女は。これから先も…… 智子の部屋に通してもらいたかった珠希は嘘をつい
てみる。まあ、これですんなり通してくれれば上々。

 智子の母   :「失礼ですけど、あなた中学時代のお友達? いや、今に
        :なって急にというのもおかしな話だから一応ね」
 珠希     :「ええ、一応」
 智子の母   :「智子、もういないのよ。消えてしまったの。だからなん
        :てCDかだけ教えてくれれば見つけ次第送るわ」

 智子の母親は思ったより警戒心が強いようだ。珠希は仕方ないので適当にご
まかして軽く頭を下げつつその場は去り、家の裏手に回る。夏なのでまだ日は
落ちていないが、人通りはあまりない。珠希は周囲を軽く警戒した後に手近な
電柱の陰にかくれる。

 珠希     :(ま、結局こっちの方が手っ取り早いか……)

 集中する。うねる、どろどろとした血のイメージ。それを丁寧に周囲に塗り
込めていくようにして……一辺が10mほどの立方体を、心の中で形作る。珠希
の結界。松本智子の家をすっぽりと覆っている。我ながら慣れたものだと感心
しつつ、堂々と庭に入っていく。玄関は鍵がかかっていたので、居間の窓を蹴
破って侵入した。
 階段をのぼり、いくつか部屋を見て回る。結界の内部なので当然人の気配は
ない。ここは「少し前の瞬間」で固定された空間なのだ。

 珠希     :(この部屋みたいね)

 オレンジで色相が統一された部屋。松本智子が安らげる空間を作ろうとして
いたのが伺える。いくつか置いてある観葉植物はすでに枯れているが…… 珠
希は、既に存在しないこの部屋の主に軽く頭を下げてから捜索を開始する。な
ぜ彼女は消えなければならなかったのか。わずかな可能性も見逃すわけにはい
かない。日もとっぷりと暮れ、集中力も途切れたとき、ふと机に張ってあった
写真に目が行った。松本智子と、もう一人見たことのない男が写っている。お
そらくは恋人。そんな存在がいたらしいというのは既に彼女の友人からの証言
で裏をとっていた。パッと見なんの問題もない。いかにも恋人と一緒に撮りま
したって感じの写真だ。

 珠希     :「1999年……11月?」

 写真の右下の日付が今年の11月のものになっている。今はまだ1999年の6月。
既に三度目の1999年を体験している珠希にとっては11月の写真があることには
なんの不思議もないのだが、それは珠希自身を含む住人の関与なしにはありえ
ないモノだ。

 珠希     :「この子住人? いや、この男の方か……」

深夜の会合
----------
 シトシトとうっとおしい梅雨の雨が降っている。ふと時計を見ると既に23時
過ぎ。高田馬場と新大久保の駅の間に位置する公園に、珠希は一人立っていた。
治安があまり良いとはいえないこの辺は、それ故に都合が良い。珠希は黄色い
ビニール傘をくるくると回したりしながら人を待つ。
 そうしていると一人の長身の男が近づいてきた。傘も差さずにボロのミリタ
リーコートを引きずるようにして歩く。

 珠希     :「おそい! 20分遅刻」
 統和     :「15分だ。久しぶりやな。傷の方はもうええんか?」
 珠希     :「もう、一年も前の話よ」

 珠希は古傷に触れられた気分になり軽く顔をしかめる。しばしの沈黙。

 統和     :「で、なんの用や。あんたが俺を呼ぶからにはまっとうな
        :話やないんやろ」

 すっと珠希は手帳から先程拝借してきた写真を取り出す。

 珠希     :「松本智子。この近くの高校に通ってた高校一年生よ。で、
        :去年の年末に突然消え去ったわ」

 今度は統和の方が顔をしかめた。彼の恋人、一美はまったく同じようにして
消え去ったのだ。一度目の1999年の大晦日に。

 珠希     :「あとこっからは推測。こっちの男の子。多分住人ね」
 統和     :「……俺と、同じッちゅーワケか」
 珠希     :「多分ね。もしかしたらこれ、一美ちゃんがなんで失踪し
        :たのかの鍵かもよ」
 統和     :「一美の……」
 珠希     :「まだなんもわかんない状況だけどね。この男の子に話を
        :聞きに行く価値はあると思わない?」
 統和     :「なるほどな、で、なんで俺を呼んだんや?」
 珠希     :「なんで?」
 統和     :「あんたがまだ不確定な状況で俺に情報教えるってのもあ
        :んま考えられん。なんか俺に頼らなあかんことがあるんや
        :ろ?」
 珠希     :「……まー、そんなとこ」

 珠希は傘を上げ、統和も傘の下に入る形にする。声を潜めて話すためだ。

 珠希     :「この男の子の方、一月前に行方不明になってるの。家の
        :方に行ってみたら家族は母子家庭だったみたいだけど母親
        :の方は殺されてた」
 統和     :「……」
 珠希     :「その時の新聞調べてみたらね、容疑者は十年前に新聞社
        :に爆弾送りつけたッテ政治団体の……」
 統和     :「ああ、あいつな。心当たりあるわ」

 あまりに事もなげに言うので、珠希は驚き、そしてやや呆れた。

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 ここまでが以前のまとめ。

 先にちょっぴり進めたいと思います。

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捜査報告
--------
 SE     :カラカラン

 月影のドアベルが鳴る。直人が目を向けると、何気ない顔で珠希が帰ってきた。

 直人     :「おつかれさまです。何か出しましょうか?」
 珠希     :「ここのウエイトレスが客として座ってるのも問題あるんじゃ
        :ない?」
 直人     :「今はお客さんもいませんからね。思ったより早かったです
        :が、何か分かりましたか?」

 珠希に依頼を出したのはつい昨日の事だ。

 珠希     :「うん、いろいろ分かったわよ。……ここで報告して良い
        :の?」
 直人     :「そうですね、丁度良いですから、上にいきましょうか」

 全ての窓のブラインドを閉めて「準備中」の札をドアに掛ける。

 珠希     :「上って、探偵事務所?」
 直人     :「ええ」

 月影の3階は、藤田一弥の事務所になっている。一度外に出て、脇の階段から
上に上がる。

 直人     :(こんこん)「藤田さん、いらっしゃいます?」
 一弥     :「開いているよ」

 扉の奥から聞こえた声を確認して、直人は中に入った。
 適当に席に就く。一弥も来訪を予期していたようで、眺めていた書類をまとめ
て持ってくる。

 直人     :「さて、事情を説明しましょうか。私は、二人に別々の方向
        :から調査を依頼しました。ある程度の成果が上がってからは
        :連携が取れた方が良いと思い、顔を合わせてもらったのです。
        :紹介は……するまでも無いですよね?」

 珠希は月影のウエイトレスのアルバイトをしているし、一弥は月影の常連だ。
既に見知った顔である。

 直人     :「まず、珠希さんの方から報告お願いします」

 珠希の報告を黙って聞く直人と一弥。
 消えた松本智子は、去年まで住人らしき男性と付き合っていたこと。その彼は
行方不明で、彼の家族は犯罪者によって殺されていること。

 珠希     :「消えた直接の原因は分からないけど、その犯罪者の居場所
        :の目星はついているわ。でも、住人かもしれない人が行方不
        :明って事は……」
 直人     :「その彼も住人か狩人である可能性が高いって事ですね。そ
        :ちらの方は、それなりの準備をしてから当たりましょう。だ
        :が、直接原因は不明なままか……」
 一弥     :「それは、こいつが答えかもしれないな」(書類を差し出す)

 一弥の書類はどこかの病院の写真と詳細の調書だった。

 一弥     :「森田産婦人科。そこに松本智子が初診に来たのは12月の
        :15日になっているな」
 珠希     :「産婦人科……ってことは」
 一弥     :「予想の通りだ。1週間後の検査で妊娠2ヶ月と診断されて
        :いる。こいつが関係あるとは思わなかったが、その相手が住
        :人だとしたら……どうなる? 直人」
 直人     :「松本智子さんの肉体はリセット時に“戻る”かのように成
        :長しません。でも、胎児は住人の影響を受けていますから、
        :リセットはかからない。彼女がどうなるか……は、予想がつ
        :きませんね」
 一弥     :「矛盾が生じる。精神的なものではなく、肉体的にな」
 珠希     :「そんな……」

 その場の誰もが予想がつくことだった。住人が関わりすぎ、肉体的に矛盾が大きくなったことが「消える」原因かもしれないということに。
 同時に珠希は統和の事も考えていた。同じ境遇の“住人”と“消えた一般人”。

 直人     :「そうだとしたら、我々の行動も注意しなければいけません。
        :早急に松本さんの彼氏を探してください。彼が生きていれば
        :話も聞きたい」

時系列
------
 1999年(3回目)6月。

解説
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 すごい中途半端ですが、ここらで止めておきます。
 珠希ちゃんが統和さんを引き合わせるかとか、一弥さんが珠希ちゃんや竜也の
助力を求めるかってのが分からなかったので。

 がんがん進めちゃいましたが、情報整理の消化シーンだと思うので。

 修正、加筆お願いします。あ、一弥さんの調査シーンが入ると良いのかも……。

#しかし……6月の話なのか……今稼働中の「共同戦線」とかぶってるかな……?

 ではまた


    

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