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Date: Fri, 16 Feb 2001 09:19:39 +0900
From: "isana ." <isana__@hotmail.com>
Subject: [KATARIBE 21307] [HA06EP] 『植物園迷路』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <F167pyYYSTdsxAedIku0000e409@hotmail.com>
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killistさん、こんにちは。
勇魚です。
とりあえず、問題はないみたいなんで、ちょっと顔合わせを画策してみました。
というわけで。
いつもグリーングラス……というのもなんなので、今回は薬学部植物園から始めてみ
ました。
……そういえば、研究室の話とか植物園の話とか、全然書いてこなかったなぁ、これ
まで。
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EP『植物園迷路』
ユラ :「……あれ」
土曜日、昼下がりの研究室。
試薬用の冷蔵庫を開けたユラは、小さく舌打ちした。
ユラ :「煎液にごってるよ、黴……だな、こりゃ」
すばやく手袋をはめ、冷蔵庫の隅っこからボトルを一本取り出す。透明なボトルの
中で、ゆるゆると白い靄が渦を巻く。ボトルの中は植物成分の高濃度抽出物。もちろ
んかなりに高栄養なわけで、うっかりするとすぐ黴が湧く。
ユラ :「……だから-20℃に入れとかなきゃだめだって
いったのに……
あーあ、作りなおしかぁ」
研究室の窓の下が植物の巣になっている。そこに身を乗り出し、隅っこに生えてい
る小さな株の数を勘定し……
ユラ :「足りない……」
グリーングラスに戻って庭から持ってくるか、でもそうしたらあれこれと手間がか
かって夕食に間に合わなくなるかもしれない。今日は早めに研究室仕事を終わらせ
て、一緒に晩御飯作るって、美都さんと約束したのに……
そこまで考えて、ユラはぽんと手を打った。古巣の薬学部植物園になら、まだある
かもしれない。今必要な薬草を植えておいたのは、植物園でもずいぶん奥のほうだか
ら、もう1年ちょっと行ってみてないけれど、でもまぁ、あんな奥のほうまで手を入
れる人間がいるとも思えないし、枯れてなきゃまだあるだろう。よし。
白衣を脱いでコートを羽織り、一瞬考えてそれを脱いで、小汚いウインドブレー
カーに袖を通す。そういや、薬草と毒草紙一重のものも植えた覚えがあるしな。ナー
スサンダルじゃまずかろう。軍手も2組ばかり持っていくか……
外に出たユラの背後であまり立て付けのよくない古びた扉がばたんと閉まり、そし
てこれだけは立派な「医学部・代替補完医療講座」のパネルががたがたと風に煽られ
ていた。
植物園の、奥のほうに行くにつれて、ユラの鼻の頭に小じわが寄り始めた。
歩くにつれて眉根が寄り、とうとう完全に顎が落ちた。
ユラ :「これは……すごいわ」
どうやら、ユラがここを出ていった後、とんでもない後任が来たらしい。
担当区域はほぼ様変わりしていた。植えた覚えのあるものもいくつかは残っている
が、かなりのものが植え替えられている。しかも……
ユラ :「毒物縛り、か。すごいな」
生育状態は理想的。
後任者はよほど腕がいいらしい。
ユラ :「ううん……こりゃ、もうあたしが植えたの、ないかな」
ぶつぶつ呟きながら、ウインドブレーカーの前のジッパーを完全にあげ、フードを
被る。その上で軍手。
ユラ :「マスクも持ってきたほうがよかったかな(苦笑)」
小さく息をつくと、覚えのある場所めがけて、毒草の藪の中に踏み込んだ。
と。
二足も歩かないうちに藪の向こうががさりと揺れ、枝が分かれて痩せた顔が覗い
た。
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反応がわからないので、ちょっとここで切って見ます。
どんな感じでしょう?
ではまた。
from 勇魚 <isana__@hotmail.com>
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