[KATARIBE 21117] [HA06P] 『交番の風景』

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Mon, 18 Dec 2000 00:12:56 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 21117] [HA06P] 『交番の風景』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200012171512.AAA08651@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 21117

2000年12月18日:00時12分55秒
Sub:[HA06P]『交番の風景』:
From:E.R


こんにちは、E.R@昇天目前 です。
久志さん、ありがとうございます。

……というわけで、えぴそどです。
でも、うちのほうは、本当に一般人です。
(06に所属してません、はい)

*******************************
交番風景
========
登場人物
--------
 本宮史久
 軽部真帆(かるべ・まほ):通りすがりの一般人。


本文
----

 某日、道に迷う。
 ……道に迷うのなんて、初めてじゃないんだけど。
 というより、迷わないほうが珍しいのかもしれないけど。
 でも……流石に二進も三進も行かなくなって、交番に入ったのは、これが初
めてかもしれない。

 真帆     :「…………あの、申し訳ありません……」
 
 小さな交番。硝子戸越しに、中の様子はすっかり見えるような。
 妙に穏やかな印象のお巡りさんが、こちらを見る。
 まだ、若い。

 史久     :「はい、どうしました?」
 真帆     :「あの、道に迷いまして……多分、この近所だと思うんで
        :すけど」

 昔の友人から来た手紙の住所と、地図。
 ……どうして地図って、何丁目、何番地、の、番地までもれなく書いてない
んだろう……(いや、やつあたりって分かってます)。

 史久     :「はい…(地図見る)…ちょっと、調べますんでかけてまっ
        :ててくださいね(にこやか)」
 真帆     :「……すみません(うう)」

 わざわざ立ちあがって、横にあった椅子を押し出してくれる。
 思っていたより、背が高い。

 史久     :「外、寒いですよね」

 咄嗟にはあ、とか何とか口走るのにおっかぶせるように。

 史久     :「ほうじ茶煎れてたんです、どうぞ(^^)」
 真帆     :「あー……有難うございます(恐縮)」

 ふわ、と、香ばしい匂い。
 実際、迷いまくってかなり身体が冷えてたから、このお茶は有り難かったん
だけども。
 一口、含んで。

 真帆     :「…………美味しいですね(汗)」

 ……交番は謎だ……
 地図を指で辿っていたお巡りさんが、顔をあげてにこにこと笑う。

 史久     :「ええ、こー買ったほうじ茶じゃなくって、自分で作るっ
        :てのもなかなか粋ですよ」

 ……あ?

 真帆     :「……って、御自分で作られたんですか(汗)」
 史久     :「作ったといいますか、あぶったんですが」

 うーむ、最近の警察ではお茶まであぶっているのか……

 史久     :「こう、紙にのせて近づけすぎつ遠すぎずであぶるんです。
        :匂いがよくていいですよー、一度ためしてみてくださいね
        :(^^」
 真帆     :「成程……良いことを教わりました(ふかぶかと礼)」

 お茶に詳しいお巡りさん、というのも不思議だが……不思議と思うこちらが、
間違っているのかもしれない、とも思う。

 史久     :「あ、そうそう道調べないと。えっとここですね、この通
        :りをずーっと行って…」
 真帆     :「あ……あ、はい……」

 慌てて湯呑を持ち替えて、お巡りさんの指の辿る線を見る。
 
 史久     :「あ、結構入り組んでるんで紙に地図かきましょうか?」
 真帆     :「……お願いします(汗)」

 地図を見て迷うほどには、方向音痴ではない。
 ………………とは、思いたい………………

 史久     :「はい、いいですよ(カリカリ)……(赤ペンで道なぞって、
        :目印の建物にチェック入れて)」
 真帆     :(うわーなんか丁寧だな(汗))
 史久     :「この通りに行けば大丈夫です、いちおう目印の建物の名
        :前も書いておいたんで、分からなくなったら名前みてくだ
        :さい」

 丁寧な字で、確かに幾つかの建物の名前が書いてある。
 正直……無茶苦茶感動した。

 真帆     :「有難うございます(礼っ)」

 何時の間にか、適温に冷めたお茶を、最後に飲みほして。
 あ、これ、洗おうかな、と一瞬思った矢先に、お巡りさんが茶托ごとすっと
持ち上げて流しに持って行ってしまった。

 史久     :「はい、気をつけて(^^)」
 真帆     :「有難うございました」

 もう一度頭を下げながら、交番を出る。
 お巡りさんは、にこやかに手をふって見送ってくれた。

 真帆     :(ううむ、あーゆーお巡りさんっているんだなー)

 ちょっと感動。改めて。

 真帆     :(……日本っていいなあっ)

 一瞬莫迦なことを思いながら、改めて書いてもらった地図を見る。
 きちんと「現在地」と、書きこんである。

 真帆     :(あ、なんだ、近くじゃん本当に)

 
 某日、交番で道を聞いて、お茶のあぶり方を習う。
 …………収穫だったと思う、うん。


***************************************

 いじょ。
 であであ。



    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage