[KATARIBE 21079] [HA06P] エピソード『晩酌』(第二回)

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Date: Mon, 11 Dec 2000 11:01:26 +0900
From: アキト <akito@trpg.net>
Subject: [KATARIBE 21079] [HA06P] エピソード『晩酌』(第二回)
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つづきでし。

これでようやっと、秋石君が呟きはじめる準備が整いました。
といってもまだ何をやってたかはぜんぜん未定なんですけどね(爆)

びぎなーなのでぽつぽつとしか書けませんが、がんばってみまし。

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エピソード『晩酌』
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登場人物
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秋石佐波(あきいし・さわ)
    :生きているのに死んでいて、でもやっぱり生きている人。
    :大学2年生。最近までどっかで同棲もどきをしていたらしい。

猫(ねこ)
    :猫。

奇妙な取引
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その晩、風見アパートの一室では一人と一匹が向き合って座っていた。
雑然としてはいるがそれなりに片付いた部屋の床に皿が二枚置かれ、一人と一匹はその皿の前に座る形だ。

一匹の前に置かれた皿にはほぐされた干物が、一人の前に置かれた皿には開いた魚のままの干物が置かれている。その大きさと形からするに、鯵の干物だろうか。
部屋には炙った干物の香りがほんのりと漂っている。しかし、それも少し開いた窓から吹く風でやがては消え去ってしまうにちがいない。

 秋石  :「さて、それじゃあ俺もぼちぼちやるかね」

そう呟くと、佐和は泡盛を湯飲みに注ぎはじめた。
10代のころはもっぱらウォッカなどだったが、最近は泡盛に凝っている。

 秋石  :「……干物で酒をやるってのも久しぶりだな」

またぽつりと呟くと、鯵の干物を箸でつついては、ちびちびと飲みはじめた。
向かいでは先ほどから猫がほぐしてもらった干物をあぐあぐと食べている。

 秋石  :「旨いだろ? それは俺の田舎から送ってきた上等なやつなんだぞ」

声をかけられると、猫はついと佐和に視線を移し、一声鳴いた。

 猫   :「にー」

それは、まるで人語を解しているかのような絶妙の間の取り方だった。

 秋石  :「そうか、わかるのか」
 猫   :「にー」

またも絶妙な間であいづちが返ってくる。
もっともあいづちをうつとすぐ目の前のごちそうに視線を戻してしまうのだが。

 秋石  :「ま、わかろうがわかるまいが構わないんだが……
     : ふむ。どうだおまえ、その干物のお代として
     : ちっとばかり愚痴に付き合ってくれないかな?」

するとまた猫は顔をあげて、視線を佐和に移した。
ただ今度はあいづちはなく、またすぐ干物に向うこともない。
しばし対峙する一人と一匹。

 秋石  :「ふむ、それじゃあ割が合わないってのか。
     : そんならこっちの鯵をもう一尾くれてやろう」

佐和は自分の皿から箸をつけてない鯵を一尾つまむと、猫の皿に移してやる。
猫はそんな佐和の挙動をじっと見守っている。

 猫   :「にー」

自分の皿に鯵が置かれ、邪魔者の手が遠のくと、一声鳴いてまた皿に向かった。

 秋石  :「ふむ。
     : これで商談成立、ってとこか」


解説
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お酒は二十歳になってから。未成年の飲酒は法律で禁じられています(笑)

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アキト
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