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Date: Mon, 13 Nov 2000 00:39:50 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20964] [HA06P] 『欠伸』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200011121539.AAA44206@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20964
2000年11月13日:00時39分50秒
Sub:[HA06P]『欠伸』完成版:
From:E.R
こんにちは、E.Rです。
…うーむ。
半分は行きました、流石に(おい
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エピソード『欠伸』
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登場人物
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金元吉武(かなもと・よしたけ):武芸な人。ひたすら無口。
ことらん(ことらん):白虎精(にみえないこと多し)。まねしっこ
瑞鶴の猫(ずいかくのねこ):不精と態度のでかさでは類の無い猫。名前は無い。
本文
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某日、午後もかなりまわった頃。
シャッターの下りたままの店先に。
吉武 :「…………」
数分前に降り出した雨は、今や叩きつけるような勢いになっている。
先程までの蒸し暑さが、雨となって落ちてゆく。
吉武 :「…………」
丁度、ぱらぱらと雨が落ち出したときに、ここの軒先が目に入ったのだが。
吉武 :「………………」
瑞鶴の猫 :「…………」
先客が、二名……というか二匹。
瑞鶴の猫 :「…………(ふすん)」
揃えた前肢の上に頭を乗せて、気持ちよさそうに潰れているぶちゃ猫と。
ことらん :「……えぅ……」
まるで置物の猫のように行儀良く前肢を揃えて座りこみ、丸い目で雨を見て
いる白い子供の虎と。
雨は、なかなか止まない。
ざあざあと途絶えることの無い音が、ふっとその音自体の中に消えてゆくよ
うな…………
と。
瑞鶴の猫 :「…………(大欠伸したついでに大きくのび)」
吉武 :「…………(何となく見ている)」
ことらん :「…………(じーーーーっと見ている)」
瑞鶴の猫 :「…………(ふすん)」
伸ばした手足を、また元のように丸めこんで、気持ちよさそうに猫が目を瞑
る。
と。
ことらん :「……えぅ(よいしょ、で頭を両前肢の上に乗せる)」
吉武 :「…………」
瑞鶴の猫 :「…………(薄目を開けて見ている)」
ことらん :「…………(大欠伸したついでに大きくのび)」
吉武 :「…………(やっぱり見ている)」
瑞鶴の猫 :「…………(なにやってんだかねえ)」
ことらん :「…………(ぶしゅんっ)」
鼻の鳴らし方が、いまいちかも(苦笑)
瑞鶴の猫 :「……なう(わざとの欠伸をする奴があるかい)」
ことらん :「…………(くびかしげっ)」
ざあざあと叩きつけるような……単調な音。
ひんやりと、涼気を含んだ風が流れる。
まるで、心地よい眠気を誘い出すように。
瑞鶴の猫 :「…………(大欠伸)……(一度身をゆする)」
ことらん :「…………(まねして大欠伸っ)……がぅ……」
吉武 :「…………(ついつい欠伸)」
細めた目をちょっと動かして、猫が吉武を見上げる。
吉武 :「(…………つられたかな)」
雨はまだ降っている。
叩きつけるような単調な音が続いている。
夕立の日の風景である。
時系列
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2000年8月半ば。
解説
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蝉時雨ならぬ、本当の雨の音も、長く聞けば眠気を誘います。
閉店した瑞鶴前の、相変わらずの風景です。
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であであ。