[KATARIBE 20957] [HA06N] 『猫的日和』完成版

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage


Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Mon, 13 Nov 2000 00:13:38 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20957] [HA06N] 『猫的日和』完成版 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200011121513.AAA42205@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20957

2000年11月13日:00時13分37秒
Sub:[HA06N]『猫的日和』完成版:
From:E.R


こんにちは、E.Rです。

先日、時系列を流しました。
そこで今回は、完成版を流そうと思います。

幾つかは、人物紹介に対して反応がありませんでしたが、
既に数ヶ月単位で、期間が空いておりましたので、
それぞれ、こちらでてけとに処理しております。
故に、暫定版とは、その場合もしていません。
が、勿論、変更については、問題なしですので、そこんとこ宜しくです。
#区別するのがめんどいというのが一番の理由で(ばきいっ)

*********************************
「猫的日和」
===========
登場人物
--------
瑞鶴の猫(ずいかくのねこ):書店瑞鶴の軒先に住み着く猫。傍若無人。名前は無い。

本文
----

 片耳は、ぴこぴこと動いて音を聴く。

 どうも、音が溜まっている。

 あれから、月が満ちて欠けてを二度。
 勝手に扉を閉じて、護ってくれ……と言ったは良いかもしれないが、
封じられた扉の中にはすっかり音が溜まってしまっている。
 それが反響しているのか、どうも耳元で鳴りつづけている。

 ここでは眠りにくい。

(難しい選択だねえ)

 顎の下に前肢を揃えて、うとうとと考える。
 ちいさいのが一人、よくここに食事を持ってくる。

(安眠と食事と、どっちがいいかねえ)

 ちょっと、迷う。
 そして、ええいと伸びをする。

(寝るかね)

 耳元で鳴る音なぞ、耳を伏せればなんとでもなる。
 一度、耳をくるりと撫でて、尻尾を体に巻きつけなおして。
 和音に似た昔の音を、うっすらとそれでも聞き流しながら。

 瑞鶴の、半分はがれかけた閉店の張り紙の下で。
 ねこが、丸くなっている。

時系列
------
2000年6月初め

解説
----
瑞鶴が主を失って二ヶ月。ゆっくりと本が湧く瑞鶴の中に
溜まってゆく音もまた、あるようです。

*************************************

ではでは。



    

Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage