[KATARIBE 20948] [HA06P] 『飛べない翼に意味はある?』

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Date: Fri, 10 Nov 2000 23:38:14 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20948] [HA06P] 『飛べない翼に意味はある?』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200011101438.XAA53871@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20948

2000年11月10日:23時38分08秒
Sub:[HA06P]『飛べない翼に意味はある?』:
From:E.R


こんにちは、E.Rです。
ぎゃろさんこんにちは。

というわけで、玉緒ちゃんお借りしました<おい

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エピソード『飛べない翼に意味はある?』
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登場人物
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 瑞鶴の猫(ずいかくのねこ):傍若無人。名前は無い。
 比企玉緒(ひき・たまお):婉曲に言えば不可思議なる女子高生。

本文
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 木枯らし、と、簡単に言うけれども。

 瑞鶴の猫   :(やだやだ……)

 ぶるり、と、一つ身を震わせる。
 瑞鶴の前の軒下の定位置から多少ずれたところ、日のあたるところに、猫は
転がっている。
 まだ三時だというのに、日の光は微妙にセピア色がかっている。

 瑞鶴の猫   :(……今年の冬は、暖房係がいないねえ)

 やれ難儀だ、と、首を竦めたところで。
 すう、と、蔭が差す。

 瑞鶴の猫   :(?)
 玉緒     :「…………(ふらふらとした足取りを止める)」

 伸ばした三つ編みの髪が重たげに見える、青白い少女が猫を見ている。
 
 瑞鶴の猫   :「なう(おや初顔だね)」
 玉緒     :「…………」

 ……まあ、覚えていないということは幸いである。

 瑞鶴の猫   :「ふすん(用が無いならお行きよ、そこにいると邪魔だよ)」
 玉緒     :「猫の翼」

 す、と、手から何故か、フライドチキン(らしきもの)が出て来たり(汗)。
 
 瑞鶴の猫   :「なう(おや、気が利くじゃないか)」

 差し出されたそれに、かぶりつこうとした瞬間。

 玉緒     :「飛べない翼に意味はあるのかしらね」
 SE     :ぽん☆
 SE     :しゃっ(爪を一振り)
 瑞鶴の猫   :「ふがあうっ(何をおしだいっ)」
 
 背中の上、人間で言うなら肩甲骨の間を叩かれての反応である。
 ……口の前に手が出る、というのは人間に限ることではない(おいおい)。

 玉緒     :「いい攻撃(うっとり)」
 瑞鶴の猫   :「………ふがあああ(あんた莫迦にしてるのかい?)」

 と………

 SE     :ぽんっ☆
 瑞鶴の猫   :「……?」

 何かが、背中の上で弾ける感覚があった。
 弾けて広がる感覚。

 玉緒     :「飛べない翼に、意味はあるのかしらね……」
 瑞鶴の猫   :「きしゃあっ(ちょっとあんた何をおしだいっ)」

 しゃっと爪を伸ばして飛びかかる猫。
 に対して……玉緒の首は、逃亡した。
 つうかまあ、首に繋がって内臓とかが一挙に持ちあがったわけだが。
 足に飛びかかって一つ引っかいて、そしてたん、と、地面に戻った猫の頭を、
内臓の先がするんと撫でる。

 瑞鶴の猫   :「ふがあぁぅっ(ずるいじゃないかっ)」
 玉緒     :「翼がなくても飛べるのと、翼があっても飛べないのと」

 ふわんふわん、と、風船のように玉緒の首は弾む。
 そのふわんふわんに誘われるように、猫の背中の上の何かがぱたぱたと動く。

 瑞鶴の猫   :「…………?」

 肩越しに、後ろを見やる。

 SE     :ぱたぱたぱた

 白い、何か厚みのあるもの。
 隅々まで優雅な曲線を描く、それ。
 泰西画の天使の持つような翼……

 瑞鶴の猫   :「ふがああっ(ああうすらみっともないっ)」

 ……そーくるか(汗)。

 玉緒     :「飛べない身体もあるのに……」

 ひるん、と、首の穴から内臓を身体の中に収めて。

 玉緒     :「……眠いわ(ふらふら)」
 瑞鶴の猫   :「ふがあっ(だからちょっとお待ちよっ)」
 玉緒     :「大事無いわ、すぐ枯れるから……ああ眠い(ふらふら)」
 瑞鶴の猫   :「……がうっ(人の言うことをちったあお聞き(憮然)」

 反応、無し。

 瑞鶴の猫   :「…………ふすんっ(ったく最近の若い者は)」

 幾世代にも共通の愚痴をこぼしてから、猫はふむ、と、思案顔になる。

 瑞鶴の猫   :「…………(思案中)…………なう」

 よっと、翼を広げる。そして背中のどこやらをくっと曲げる。
 翼の先端が、やはりくっと曲がって、猫の目前に来た。
 それを、しゃん、と、猫の爪が捉えて。

 瑞鶴の猫   :(やれやれ)

 そのまま、身体に巻きつける。

 瑞鶴の猫   :「……ふすん(ああ、ちっとは暖かいかね)」

 ……まあ、そういう猫ではある。


 猫は、そのまままた目をつぶる。
 日の光は、ゆっくりと傾いてゆく。

 秋深し。
 そんな頃の風景である。


時系列
------
2000年11月初め

解説(仮)
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……というわけで、飛べない翼は、羽根布団になるそうです(違)。

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つーか。
かけるんのログに反応したのと。
現在、目の前にフリースの翼があったりするのと(爆)。
てか、なんかこー似てません?
左右に開いた翼と、左右に開いた双葉と(おいおいおい)

……人間、何か反応すれば何か書けるものです(達観)。

であであ。



    

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