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Date: Sat, 04 Nov 2000 17:44:37 +0900
From: Takuji -Gombe- HOTTA <gombe@gombe.org>
Subject: [KATARIBE 20903] [HA06P] 『終業式』完成版
To: kataribe-ml@trpg.net, sf@kataribe.com
Message-Id: <200011040844.AA00857@gombe-pc.gombe.org>
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ごんべです。
白犬関係、完成版を流します。
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エピソード『終業式』
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登場人物
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白雲 (はくうん)
:魍魎喰らいの仙犬。通称、白犬。
一見普通の犬だが、不老長寿を体得している。
前野 みかん (まえの・みかん)
:人狼の少女。
前野浩に拾われ、妹として暮らしている。
本編
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だんだんと風も温んできている、春の昼下がりの、川の土手。
先刻まで降っていた雨も止み、お散歩をしているみかんと白犬の姿があった。
みかん :「……でね、きのうはしゅーぎょーしきだったの」
白雲 :『ほほぉ』
幼い少女と、大きな大きな犬。
一風変わった取り合わせだが、言葉が通じるという点でお互いにとても貴重
な話し相手になっている。
ちなみに言えば、白犬の方が遥かに年上ではある。
みかん :「でね、そのあとね、つうちひょうをもらってね。それで
:おしまいなの。今日からはるやすみなんだよっ☆」
白雲 :『満足の行く結果は、出せたのかね?』
みかん :「うんっ、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、ほめてくれたのっ」
白雲 :『そうかい。それは良かったじゃないかね』
みかん :「えへへ……(てれっ)」
照れることしきり。昨夜の一家団欒が目に見えるようである。
みかん :「それでねっ、らいしゅうのらいしゅうになったら、また
:がっこうがはじまるの。3年生になるんだよっ」
白雲 :『3ねんせい……?』
白犬は、気になったことを問いかけてみた。
白雲 :『お嬢ちゃんは、いつ大人になるのかね?』
みかん :「へ?」
いきなり言われても、びっくりする……のだが。
白雲 :『お兄さんやお姉さんのような姿に、なることだが』
みかん :「んーっと……」
指折り数えてみる。
みかん :「しょうがっこうをそつぎょうして、ちゅうがっこうがお
:わって、こうこうせいになって……」
白雲 :『……それを、全部済ませるのかね?』
みかん :「うん……ちかげおねえちゃんが去年までこうこうせいだっ
:たから……10ねんくらいかな?」
白雲 :『お嬢ちゃんは……』
白犬は、言いかけた言葉を飲み込んだ。
お嬢ちゃんは……人狼だから。
人狼は、もっと早く大人になれる。大人の姿をとれる。
早く大人になりたくは、ないかね?
……しかし、そのことを言うのは、止めた。
白雲 :『……早く、大人になれると良いね』
みかん :「うんっ。でも、がっこうでみんなとあそぶ方が、もっと
:たのしいとおもうのっ」
白雲 :『そうかね』
白犬は、思う。
白雲 :「(……平和な世の中に、なったものだ……)」
願わくば、この平和な時代が続いてくれますよう。
人狼が大人の姿を得ることに焦らずとも良い、平和な世の中が。
白雲 :『今日は、お出かけすることは言ってあるのかね?』
みかん :「うん、はるやすみはお昼はお出かけしていいっていわれ
:たのっ(嬉)」
白雲 :『じゃあ本町の方に行くが、一緒に行くかね?』
みかん :「うんっ☆」
願わくばこの幼い人狼の未来に、幸多からんことを……。
解説
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小学校の終業式が終わって新学期に夢膨らむみかんと、犬属の先輩として彼
女を微笑ましくも複雑な心境で見守る白犬の、とある春の日の1シーンです。
ちなみに、みかんちゃんの実際の成長予定は……
「ひ、ひみつ★」(ハリ=ハラさん)
だそうです(笑)。
時系列
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2000年3月25日(土)の午後。
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以上、よろしくお願いします。
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Takuji HOTTA ("Gombe") = 堀田 拓司 ("ごんべ")
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