[KATARIBE 20804] [KMN] 『まだ少し早いけれども』

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Date: Tue, 17 Oct 2000 01:08:33 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20804] [KMN] 『まだ少し早いけれども』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200010161608.BAA46692@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20804

2000年10月17日:01時08分33秒
Sub:[KMN]『まだ少し早いけれども』:
From:E.R


こんにちは、E.R@即断即決即実行……但しEP等のみ です。

先程(10月17日午前0時前後)、IRCチャンネルで、
ある落ちメッセージがありました。
それを使っての、EPです。

****************************
「まだ少し早いけれども」
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「斧淵さん、回覧」

 昼休み。
 ぼんやりと座っていたら、肩を叩かれた。

「はい?」
「こっちからまわしてるから……そっちのほうにまわして」
 すいすい、と、指で示して、三島さんがそう言う。
 三島さんは、私の左隣の席に座っている。
 薄い冊子を、改めて見る。

「…………年賀状?」
『21世紀最初のお年玉付き年賀はがき』
 そう銘打った下に、数種類の年賀葉書。
「あれ、来年は……巳年ですか」
「そうみたい」
「…………年賀状?」
 聞きつけた諸橋さんが、妙な顔になる。
「そう、年賀状」
「うそー」

 今年の夏は、妙に締め切りのある仕事が相次いだ。
 お蔭で、正社員、バイト共に、夏中ばたばたしていた気がする。

「……もう、そんな時期ですか……」
 
 ふと気がつくと、秋もすっかり深まっている。

「早いよねー」
「今年はまた、夏が長かったしね」
「今でも、時々暑いし」
「その割に、夏〜、って実感する日が少なかったけど」

 以前。
 本当に以前。
 春も夏も秋も冬も、とても長かった時があった。
 緑の匂いも、水の冷たさも、かさこそと弾む葉の音も。

 本当に、本当に昔のことなのに、けれども、その感覚だけは残っている。
 長かった夏の記憶。
 長かった秋の記憶。

「彼岸花はとうに枯れたしねー」
「あれっ、今年見逃したっ」

 からころと過ぎる一年の速さを、花で一瞬だけ留める。
 いつから、そんな風になったのだろう。

「しかし、こう暑いと、年賀状なんて実感無いよね」
「……本当に」

 昼の陽射しはまだ充分に暑い。

「しかし、これで来年新世紀、ってのがねえ」
 ふと、諸橋さんが苦笑する。
「実感無いね」
「全く」
「……そうですね」

 ほんとうに
 長い長い間、生きてきた気がする。
 こんな節目にぶつかると。
 
 ほんとうに…………

「あ、斧淵さん、それ欲しい枚数書いてね」
「はい」

 答えて……思わず苦笑する。
 年賀状を出す相手なぞ、どこにいる。


 結局、何も書きこまずに隣に回した。
 ここで買わない人もいるようなので……目立たなかったとは思うけど。

 
 ゆっくりと。
 何度目かの世紀の節目に近づいてゆく。
 まだ少し早いけれども、確実に。


 そして私は……
 …………いつまでこうやっていられるのだろう?


*****************************************

 というわけです。
 そう、もう年賀状の季節なんですね(滝汗)
 ………夏を返せーーっ(爆)<休みがほぼ無かった奴
 ……………秋もかなり返せー(ちょっと小声)
#仕事の手際が悪かったのは誰だろうなあ(ぐう)

 というわけです。
 であであ。


    

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