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Date: Thu, 5 Oct 2000 23:32:55 +0900 (JST)
From: "E.R" <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20774] [HA06P] 『そもまたおもしろく』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200010051432.XAA26429@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20774
2000年10月05日:23時32分55秒
Sub:[HA06P]『そもまたおもしろく』:
From:E.R
こんにちは、E.R@ぐみゅうううう です。
先程、OTEさんと、IRCで話していて。
えぴそどをぼかぼか書いてみたい、と、言っておいででしたが。
んじゃ、ぼかぼか書いている(らしい)己だと、どやって、どの程度、書いてるのかな、と。
ふと考えて……
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エピソード『そもまたおもしろく』
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登場人物
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瑞鶴の猫:傲岸不遜。名前は無い。
白雲 :仙犬。犬格すこぶる佳し。
本文
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某日。
神無月の初め。
煙るように雨が降る。
瑞鶴猫 :「…………(大欠伸)」
白雲 :「…………(ふすん)」
長の閉店の割に、瑞鶴の前には、あまり埃が溜まっていない。
この連中がたむろす為なのか、それとも四大のせいなのか。
瑞鶴猫 :「…………なう(よく降るねえ)」
白雲 :「おん(本当に)」
毛が、細かい雨を含んで重く湿っている。
瑞鶴猫 :『夏じゃなくて幸いだね』
白雲 :『……全く(苦笑)』
雨を見る。
あたりを薄墨に染める、雨を見る。
瑞鶴猫 :「…………」
うっとおしいねえ、と呟きかけて、猫は黙る。
『こんな日も良いね』
『こんな、長雨の日も……こんな季節なら良いね』
瑞鶴猫 :『…………誰だったかね』
白雲 :『?』
『ただ、本が濡れるのがねー』
『困りもんよ、この商売』
そう、笑いを含んで言った声…………
瑞鶴猫 :『……ああ、先代だ』
客の居ない時に、そっと戸口に凭れて。
外を見ていた……
あれはもう、遥かに昔のこと。
ひとよりも。
ここを通るひとよりも。
長く、長く生きようとは……正直思いもしなかったのだが。
『さみしさもまたおかし、だね』
『おもしろきことも無き世もまたおかし』
『さみしと思う我もまた、いとおかし、かねえ……』
あの時。
ひともまた、さみしかったのだろうか。
そっと、喉を震わせて笑う。
あの日のひとに向って。
今日の自分に向って。
瑞鶴猫 :『……互いに、長生きしたかね』
白雲 :『どうした、急に』
瑞鶴猫 :『ひとを思うて、なあんとなくさみしいよ』
白雲 :『ふむ……』
ぱたり、と、大きな尻尾を一つ振って。
白雲 :『それもまたおもしろかろう』
瑞鶴猫 :『…………そうだねえ……』
虹彩の細く尖った目を、薄く閉じる。
静かに降る雨の。
その静けさに。
そのたおやかさに。
瑞鶴猫 :「…………(ごろごろと喉を鳴らす)」
白雲 :「…………(ふすん)」
ある、雨の午後のことである。
時系列
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2000年10月初めの週
解説
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猫又街道一直線の瑞鶴猫と、仙犬の会話。
……なんか、そういう風景です。
BGMは、Mandrin rain(B.Hornsby and the Range) 指定。
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という、話です。
話自体は、風呂に入っている間に考えまして。
打ち込み時間、大体15分、かな?
「おもしろき こともなきよを おもしろく」
そして長雨。
それを目を細めて眺めている猫。
それだけの、本当にそれだけの話です。
瑞鶴猫、と書いただけで、でも既に、この猫の性格も素性も、なんとなくわかる。
その程度に、既に書いてきているからこその、手抜き可能、という面はあります。
#瑞鶴猫:(大欠伸)、で、風景が一つ書けるからなー(苦笑)
そして、そやって、ぼかぼかと。
えぴそどを書いております、己は(苦笑)
であであ。