Goto (kataribe-ml ML) HTML Log homepage
Date: Fri, 29 Sep 2000 15:53:16 +0900
From: masaki Yanagida <yanagida@gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
Subject: [KATARIBE 20719] [HA06][EP] 『就職』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200009290653.AA00200@yanagida.gaia.fr.a.u-tokyo.ac.jp>
X-Mail-Count: 20719
ども、D16です。
なんとか就職きまりそうなんで分身の方も。
**********************************************************************
エピソード『就職』
=================
一十(にのまえ・みつる)
風水に長けた修験者。現在就職活動中。
結城頼(ゆうき・らい)
一十の建設省特殊物件課における上司。
○建設省特殊物件課
------------------
結城 :「で、一応表試験には通ったんだって?」
ごった返しになったオフィス。あちこちで電話が鳴っている。
吹利合同庁舎内に居を構える建設省特殊物件課。畿内において霊的国家直轄
事業を抱える部署だ。昼間から忙しいのも伺える。
デスクの前にはスーツ姿の一の姿がある。手にはブリーフケース。就職活動
の季節には少し遅い。
一十 :「はい、順位はもうご存じですか?」
結城 :「まぁ、な。裏も来てる」
一十 :「どうですか?」
採用の対象になるか。それを聞きたかった。
結城 :「それよりこっちには来る気あるのか?」
一十 :「へへへへ」
結城 :「第一希望は……。筑波か。エージェンシー化があるから
:無理かもな」
一十 :「それは一応覚悟してるんですけどね」
結城 :「で、次が林野か……。で、ここは第三希望」
一十 :「ここの直轄事業は大峰近辺でやるでしょう?」
結城 :「まぁな」
一十 :「正直、どうしようか迷ってます。選べるわけでもないで
:すけどね」
結城は手元の書類に目をやると、ふと視線を外した。
一十 :「(やっぱりな)」
数日前の実技、山の中で相対した大峰の修験は凄腕だった。
方陣でしのぐ一の業は、キノエとキノトがいなくては通用しない。
何とか引き分けの形に持ち込めたのは、僥倖以外の何者でもなかった。
結城 :「……なぁ、一君。こっちの方(そう言って結城は片手拝
:みの形に手を構えた)では同期に大峰の方からいいのが来
:た。正直いって、順位もあるが現在の君の拝みの腕じゃ、
:ウチでは取れない」
予想していた台詞だった。
そして、心が座った。
一十 :「やっぱりそうですか……。なら、治山に行きます」
結城 :「まぁ、あっちでもウチと同じようなことはしてる。より
:渓流に近い方だ。なじみ深いのはそっちじゃないか?」
一十 :「そうですね。それに自分の風水に近い方は治山の方か
:も知れません」
結城 :「確かにね」
同僚が数人席を立った。切れ切れに駒ヶ岳や、三宅といった声が聞こえた。
一十 :「ここで使って貰ったこと、いい経験でした。これからも
:よろしくお願いします。
: ……採用されたら」
結城 :「まぁ、そういう風に神妙にして五分間面接騙し通すんだ
:な。間違って採用しても見抜けなかった方が悪いんだし」
顔を見合わせて笑う。
一十 :「それじゃ」
席を立った。
*********************************************************************
こんなとこ。
治山、治水は現代の風水だと自分では思ってます。
理想とする自分に近づけた、んだろうか?
D16
e-mail:d16@trpg.net
URL:http://www.trpg.net/user/D16_Web/index.html