[KATARIBE 20341] [WP01N] 『崇拝者』

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Date: Mon, 31 Jul 2000 11:57:01 +0900 (JST)
From: 久志  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 20341] [WP01N] 『崇拝者』 
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200007310257.LAA20127@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 20341

2000年07月31日:11時57分01秒
Sub:[WP01N]『崇拝者』:
From:久志


 久志@パソ復活!です。
とりあえず、EP書きたい病にかかっているものの
手が進んでくれないという状態(うがぁ)

 ってことで、少し手慣らししてみよう。
とっしーな話です。

 いつぞやいーさんが尽くされることに対する話をしていたのを見て
ちろっとひらめいてみました。崇拝されて尽くされるってことに対して
のとっしーなり見方、なのかなぁ。

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『崇拝者』
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登場人物
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 呉敏也(くれ・としや): 
    :終末の住人、トラウマを具現化する力を持つ。親友であるミヤイが
    :対として目覚めて襲われた為誤って殺してしまう。
 楢原陣(ならはら・じん):トシヤのシンパ

前へ
----

 熱狂とか、心酔とか、嫉妬とか、敵意とか。
 色んな視線を浴びてきた。

 以前は、そんな視線に何を返せばいいかわからなかっただ。敵意ならわかる、
嫉妬もわかる、他はどう応じればいいか俺にはわからなかった。なんでかって
俺自身が真っ向から向かってなかったからだろ。

 ライブハウスの中を埋め尽くしてるのは、中学やら高校やら果てはもっと歳
のいったヤツラだった。

 尽くしたい。
 信じたい。

 裏を返せば、それだけ俺に何かを求めてるってことだ。
 ヤツラが何を求めてるのかはわからない。俺は手前にそんな価値があるなん
てさらさら思ってないし、これからも俺に価値があるとは思わない。
 でも。

「トシヤ」
「ああ、こっちはいい」

 腕に頭に体に白い布を巻きつけた衣装。ライブが終わる頃には血で真っ赤に
染まっているだろう。だんだん緊張が高まってくる、既に楽屋にも中の熱気が
伝わってくる。

「今日はいつにも増して熱い客ばかりだな。皆、お前を待ちかねてるな」
「……へっ、ヤツラも陣も、おめでたいな」
「さあな、あいつらには、まるでお前が救世主にでも見えるんだろうよ」
「言ってろよ」

 立ち上がる。ステージからは圧迫されるような空気と視線が満ちている。

「そんなら、ヤツラのいう救世主らしく派手にやってやるよ」
「トシヤ」
「何だ?」
「……なんというか、お前変ったな」
「そうか?」
「ああ、何が変ったとはうまく言えないが、なんだか変ったよ」
「そう、かもしれねえな。行くぜ」
「ああ」

「崇拝者か……俺もその一人かもな」


 尽くしたいとか頼りたいとか、そんなの価値がどうこういうもんじゃねえの
はわかってるよ。ヤツラが欲しいのは価値がどうとかいうもんじゃねえだろ。
腹が減ってしょうがねえ時に何かを食うように、テメエの心で飢えたもんを満
たす為に食うものが要るんだろ?それが俺なだけだ。

 もう今までできなかったことに対する後悔はし尽くした。だったら前に進む
しかねえだろ?

 崇拝者。
 構わねえさ、好きなだけ貪り食え。
 骨も残さず食い尽くせ。

 つんざくような歓声が耳の奥に響いた。

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いじょ



    

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